セックス・ピストルズ(SEX PISTOLS)結成の背景
その頃(70年代中盤~後半辺り)のイギリスは深刻な経済不安に陥っており、景気も低迷。特にロンドンの街には職にあぶれて行き場をなくした若者達が溢れかえっていた。
そんなイギリスの若者達の怒りとフラストレーションを満たすのに、もはや難解で長ったらしい「プログレッシヴ・ロック」は無用の長物でしかなかった。経済的・社会的不安・不満が高まるにつれて「プログレ」は、一気に若者達の間で嫌悪の対象となって行った。
不条理で苛立たしい世の中への怒りをストレートに代弁する人間が必要とされていたのである。
1970年代半ばのロック・シーンは、ハードロックとプログレッシヴ・ロックが二大主流で、超絶技巧のギターテクニックや、初期の高価なシンセサイザーやスタジオ録音技術を駆使する「スーパー・バンド」と聴衆の間には溝が生まれつつあった。
「皮肉な歌詞」というのは、プログレッシヴ・ロックにもよく書かれたりもしますが、ストレートに「怒り爆発!」を表現するには物足りないかもしれないですね…。
スーパー・バンドの巧みな演奏を見て聴いて、「だから何? これで明日が生活が安定して明るくなるっていうわけ?!」…という感じでしょうか。
景気も悪く、職もなく、未来も見えない…なんでこんな状態なんだ?!
と若者の「怒り爆発!!」には、やっぱり、それほどの威力を持った音楽にバンドが必要とされた時代だったのでしょう。
「ピンク・フロイドなんて嫌いだ」Tシャツを着たポール・クック
ピンク・フロイドは、プログレッシヴ・ロックの代表的なバンド。
ちなみに、ピンク・フロイドの「吹けよ風、呼べよ嵐(One of These Days)」は、アブドラ・ザ・ブッチャー(プロレスラー)のテーマソング。
セックス・ピストルズ(SEX PISTOLS)の誕生
当時、ロンドンのキングス・ロードで『SEX』というブティックを経営していたマルコム・マクラーレンは、店に出入りしていた不良少年のスティーヴ・ジョーンズとポール・クックが結成したアマチュアバンドに目をつけた。それに積極的に介入し、当時『SEX』の店員だったグレン・マトロックと、オーディションで選んだジョニー・ロットンを加入させ、1976年11月にバンドの形を整えさせた。彼らは貸しスタジオで練習を重ね、セックス・ピストルズという名前でライブデビューした。
セックス・ピストルズ メンバー
ジョニー・ロットン(ジョン・ライドン)
ジョニー・ロットン(ジョン・ライドン)
ジョニー・ロットンという名前は彼がセックス・ピストルズに加入したとき、ギタリストのスティーブ・ジョーンズが彼の歯の汚い状態を見て「腐ってる!お前の歯、腐ってるぞ!(You're rotten! Look at you, your teeth are rotten!)」と発言したことがきっかけで彼のニックネームとなった。
2002年、BBCが行った「100名の最も偉大な英国人」投票にて第87位に選ばれている。
「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第14位。(Wikipedia参照)
スティーヴ・ジョーンズ
スティーヴ・ジョーンズ
2011年、「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において第97位。
ジョニー・ロットンのバンド参加前は、ボーカルも。
ローリング・ストーンズのキース・リチャーズの家に忍び込み、ギターやアンプ、高級コートなどを盗んだこともあったという。(Wikipedia参照)
ポール・クック
ポール・クック
他のメンバーたちと違い生真面目な物静かな性格で、また彼の担当であったドラムにしても、「まるでローリング・ストーンズのチャーリー・ワッツもどきの単調さ」という評価もあった。(Wikipedia参照)
グレン・マトロック
グレン・マトロック
シド・ヴィシャス加入以前、及び1996年の再結成以降のベーシストとして活動。
ピストルズの楽曲の半数以上を作曲し、ライブでも「ライアー」などでタイトにグルーヴするベースラインを弾いている。しかし他のメンバーと比べ演奏能力や向上心があり世間的常識もあったため、メンバー内で浮いた存在となってしまう。特にジョニー・ロットンとの仲は最悪となり、1977年の『勝手にしやがれ!!』のレコーディング前に脱退。
シド・ヴィシャス
シド・ヴィシャス
本名はジョン・サイモン・リッチー(John Simon Ritchie)。
「シド」という芸名は、ジョニー・ロットンが昔飼っていたハムスターの名前が由来で、ロットンの父親に噛みついたことから「ヴィシャス(凶暴な)」という苗字がつけ加えられた。
そのカリスマと過激なパフォーマンスに人々は魅了され、彼はパンク・ロックの伝説となった。
(Wikipedia参照)。