本作は東宝東和配給で公開されたが、東京など大都市圏では1本立てのロードショーだが、地方ではこうした場合、同じ配給会社の別作品と抱き合わせ、つまり2本立てで公開されるのが常で、実はこの時、『カプリコン・1』は併映作品であり、レコードでいえばB面扱い。メインはリチャード・ハリス主演の『オルカ』だった。『オルカ』は、この2年前に大ブームを起こしたスピルバーグ監督の『ジョーズ』(1975)にならった海洋パニック・アドベンチャーで、シャチの一種である凶暴なオルカを捕ろうとする人間の愛憎劇とオルカ親子の愛情(そして復讐)を描いた重いドラマだった。ところがフタを開けてみると、その重いドラマの『オルカ』よりも、権力批判を加味したエンターテイメントの『カプリコン・1』の方が人気が高く、批評家筋にも広く支持されたのであった。
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『カプリコン・1』1977年の作品とは思えない映像。CGのない時代だよね?スピードとかMANvsWILDの要素も入ってる(笑)し、小ギャグとか映画らしい映画でめちゃ楽しめた。人類は月に行ってない陰謀論からの脚本だと思うけど、メリケンだとほんまにやりそうだもの。好きだわ。
— nairogo (@nairogo) May 5, 2016
24:カプリコン・1(77年米)/ 監督:ピーター・ハイアムズ 出演:エリオット・グールド ジェームズ・ブローリン / 有人火星探査計画を政治的な理由で捏造し、「存在してはならない者」として追われる宇宙飛行士達の抵抗と捏造の真実を迫うジャーナリスト。陰謀ものの傑作。
— にーやん (@Calamity_Ys) May 6, 2016
語感は似てるが・・・カプリコンとグリコのカプリコは無関係
しかしグリコのカプリコも形状は円錐形で(逆ロケット型?)といってもいいから、カプリコを食べると『カプリコン・1』を思い出すって人もいるのでは (いないか)。とにかく、昭和40年代に小・中校生だった我々には懐かしいアイテムだ。
「捏造余話」その1 ヤラセでなく実際に元妻を殺したO・J・シンプソン
NFLのスーパースター、O・J・シンプソン。
無罪になったとて芸能界復帰はままならず、では大人しく過ごしていたかと言えばそうでもなく、かさんだ弁護費用のタシにと売りに出した、ハインズマン・トロフィー(カレッジ・フットボール界における最大の栄誉)を取り戻すために、某ホテルに忍び込んで逮捕。2008年に合計33年の懲役刑を言い渡されてしまう。かくして、O・Jは今もまだムショの中ってわけである。
O・J・シンプソン事件の真相―スーパースターの大いなる疑惑 : シーラ・ウェラー, 大沢 晶 : 本 : Amazon
無罪―O.J.シンプソン事件と21世紀のアメリカ : 井上 一馬 : 本 : Amazon.co.jp
「捏造余話」その2 『カプリコン・1』公開後38年目の新展開=『ムーン・ウォーカーズ』
そして、昨年(2015)、このキューブリック発の都市伝説を映画化した作品が作られた。それが『ムーン・ウォーカーズ』だ。ただしこちらはアポロの月面着陸の捏造疑惑を糾弾する、といった感じのシビアなテイストではなく、大胆にコメディ化にしたもので、その伝説自体を遊んでしまおう、という奇抜かつブロークンな出来映え(ソコが魅力)。とはいえ、そう考えるとピーター・ハイアムズ監督が着想した『カプリコン・1』は、そのエスプリな想像性は、かなり時代を先駆けていたとも言えそうだ。
そのハイアムズ監督は『2001年宇宙の旅』の続編にあたる『2010年』(1984)を監督している。ネット上の情報によれば、キューブリックとハイアムズには交流があり、その流れで『2010年』をハイアムズが監督することになったようだが、だとすればこの『カプリコン・1』の「火星着陸ヤラセ大放送の陰謀劇」にもキューブリックが一枚噛んでいるのでは。