70年代、80年代のアイドル黄金期以降、実在アイドルをテーマにしたコミックスはほとんど出版されなくなった。この時期も個性的なアイドルが数多く存在していたのだが、娯楽やエンターテインメントが多種多様になっていく中で、あえてコミカライズする必要性を感じなくなったのであろう。
この手のキワモノメディアは「中山美穂のトキメキハイスクール」「リサの妖精伝説(立花理佐)」といったゲームや、「アイドル伝説えり子」「アイドル天使ようこそようこ」といったアニメに流れていく現象も見られた。
存在感を失い、迷走する実在アイドルコミックス。知られざる名作・迷作をレビューし、失われた時代を回顧しよう。
この手のキワモノメディアは「中山美穂のトキメキハイスクール」「リサの妖精伝説(立花理佐)」といったゲームや、「アイドル伝説えり子」「アイドル天使ようこそようこ」といったアニメに流れていく現象も見られた。
存在感を失い、迷走する実在アイドルコミックス。知られざる名作・迷作をレビューし、失われた時代を回顧しよう。
『アイドル伝説えり子』 (角川書店)
アイドル・田村英里子とタイアップして制作されたオリジナルアニメ「アイドル伝説えり子」のコミカライズ版。
芸能プロダクション社長で元歌手の父が事故死。彼が遺した歌「ロコモーションドリーム」を多くの人に届けたいと、芸能界デビューしたえり子のサクセスストーリーを描いている。
アニメ版と同様に、大げさなリアクション、次々と襲い掛かる不幸、泥沼化して行く大映ドラマ風のストーリーが展開。思わず失笑してしまうほどクソ真面目なシーンが印象的だ。
なお、「ロコモーションドリーム」は田村英里子が実際に歌っている曲であるが、これを遺したのか……と思ってしまうほど、普通のアイドルソングである。「リトルダーリン」くらいの名曲だったらよかったのに……。
同作品やふんどしルックなど、何かと話題の多かった“えりりん”だが、現在はアメリカを拠点に役者として活躍中。TVドラマ「HEROES」 映画『DRAGONBALL EVOLUTION』などに出演している。
芸能プロダクション社長で元歌手の父が事故死。彼が遺した歌「ロコモーションドリーム」を多くの人に届けたいと、芸能界デビューしたえり子のサクセスストーリーを描いている。
アニメ版と同様に、大げさなリアクション、次々と襲い掛かる不幸、泥沼化して行く大映ドラマ風のストーリーが展開。思わず失笑してしまうほどクソ真面目なシーンが印象的だ。
なお、「ロコモーションドリーム」は田村英里子が実際に歌っている曲であるが、これを遺したのか……と思ってしまうほど、普通のアイドルソングである。「リトルダーリン」くらいの名曲だったらよかったのに……。
同作品やふんどしルックなど、何かと話題の多かった“えりりん”だが、現在はアメリカを拠点に役者として活躍中。TVドラマ「HEROES」 映画『DRAGONBALL EVOLUTION』などに出演している。
【HD】 田村英里子/ロコモーション・ドリーム (1989年)
実際の田村英里子が歌うとこんな感じ。
via www.youtube.com
『はじけてB.B.』 (小学館)
安室奈美恵、MAX、SPEEDをはじめ、時代を象徴するアイドルを次々と送り出した沖縄アクターズスクール。『はじけてB.B.』は同スクールを舞台にしたサクセスストーリー。
主人公に実在のタレント・石川愛理を据え、幸地優美、今では小栗旬夫人となった山田優らを中心に芸能界で奮闘する少女の姿を描いている。
実在のアイドルをテーマにした少女漫画としては成功例だと言えるが、実物と見比べた時の違和感は相当なものがある。とくに見る者の目をくぎ付けにするのが、“一茶にーちゃん”こと「DAPUMP」のISSAである。主人公のお兄ちゃん的なポジションを務め、バイクで家まで送ってくれたり、アドバイスをくれたりするのだが、なにしろ顔が少女漫画調。「素敵!」と心をときめかせるどころか、失笑してしまうのだ。
なお、現在本物の“一茶にーちゃん”は8人グループとなった「DAPUMP」において、唯一残った初期メンバーとして牽引中。「イオンモール土浦を皮切りにライブツアーがスタート」という告知を見て、せつない気持ちになったのは私だけではないだろう……。
ちなみに主人公の石川愛理は芸能活動を休止し、ファッション業界にて活躍しているそうだ。
主人公に実在のタレント・石川愛理を据え、幸地優美、今では小栗旬夫人となった山田優らを中心に芸能界で奮闘する少女の姿を描いている。
実在のアイドルをテーマにした少女漫画としては成功例だと言えるが、実物と見比べた時の違和感は相当なものがある。とくに見る者の目をくぎ付けにするのが、“一茶にーちゃん”こと「DAPUMP」のISSAである。主人公のお兄ちゃん的なポジションを務め、バイクで家まで送ってくれたり、アドバイスをくれたりするのだが、なにしろ顔が少女漫画調。「素敵!」と心をときめかせるどころか、失笑してしまうのだ。
なお、現在本物の“一茶にーちゃん”は8人グループとなった「DAPUMP」において、唯一残った初期メンバーとして牽引中。「イオンモール土浦を皮切りにライブツアーがスタート」という告知を見て、せつない気持ちになったのは私だけではないだろう……。
ちなみに主人公の石川愛理は芸能活動を休止し、ファッション業界にて活躍しているそうだ。
『ヒナに胸キュン イエローキャブ物語』 (小学館)
90年代に入り、一世を風靡したのがイエローキャブを中心としたグラビアアイドル。一般的なアイドルが心を熱くするのに対し、彼女らは青少年の股間を熱くしてくれた、さもありがたい存在だと思う。
そんなグラビアアイドルの先駆けである“ヒナ”こと雛形あきこも、ヤングサンデー誌上にてコミカライズ。「なんのために……」という疑問に答えを見出すことはできないが、とにかく単行本まで出ているのである。
作中では、雛形のスカウト秘話から始まり、グラビアやドラマ、歌などに挑戦するひたむきな姿が描かれている。故・堀江しのぶさんのエピソードも盛り込まれており、ひとことで言えば、「イエローキャブのちょっとええ話」といった内容。当時、ヤンサンの愛読者であった筆者は、この漫画を読んで雛形でヌくのをやめたほどだ。感動はエロを殺すのである。
なお、漫画自体は“いい話”であるにもかかわらず、裏表紙にはなぜか黒タイツに身を包んだネコ耳雛形が多数登場する。いったい何を伝えたかったのか、何をしたかったのか。いろいろと考えさせられる一冊であることは間違いない。
そんなグラビアアイドルの先駆けである“ヒナ”こと雛形あきこも、ヤングサンデー誌上にてコミカライズ。「なんのために……」という疑問に答えを見出すことはできないが、とにかく単行本まで出ているのである。
作中では、雛形のスカウト秘話から始まり、グラビアやドラマ、歌などに挑戦するひたむきな姿が描かれている。故・堀江しのぶさんのエピソードも盛り込まれており、ひとことで言えば、「イエローキャブのちょっとええ話」といった内容。当時、ヤンサンの愛読者であった筆者は、この漫画を読んで雛形でヌくのをやめたほどだ。感動はエロを殺すのである。
なお、漫画自体は“いい話”であるにもかかわらず、裏表紙にはなぜか黒タイツに身を包んだネコ耳雛形が多数登場する。いったい何を伝えたかったのか、何をしたかったのか。いろいろと考えさせられる一冊であることは間違いない。
笑顔の予感-Akiko Hinagata
雛形あきこの名曲「笑顔の予感」をお聞き下さい。
via www.youtube.com
作者 河原歩
最終巻発売日 1990年08月31日