2020年1月23日 更新
バブル期に一世を風靡した映画「ホイチョイ三部作」を振り返る!
1987年から1991年にかけて公開され大ヒットを記録した「ホイチョイ三部作」と呼ばれる映画「私をスキーに連れてって」「彼女が水着にきがえたら」「波の数だけ抱きしめて」を振り返ってみましょう!
バブル期に一世を風靡した映画「ホイチョイ三部作」
皆さんは「ホイチョイ・プロダクションズ」をご存知でしょうか?馬場康夫を中心としたクリエイター集団で、元々は80年代前半に漫画「気まぐれコンセプト」を青年誌で連載するなどしていました。80年代後半になると映画に進出、1987年から1991年にかけて「私をスキーに連れてって」「彼女が水着にきがえたら」「波の数だけ抱きしめて」という3本の映画を制作し、いずれも大ヒットを記録。社会現象となりました。この記事では「ホイチョイ三部作」と呼ばれる、上記の3本の映画について振り返ってみましょう。
『私をスキーに連れてって』
1987年に公開された、ホイチョイ三部作の第1作「私をスキーに連れてって」。略称として「私スキ」などとも呼ばれています。タイトル通りスキーをテーマにした映画で、80年代スキーブームの火付け役となりました。原田知世と三上博史のW主演で繰り広げられる恋愛模様は、当時の女性を中心に「こんな恋がしたい」「こんな青春を送りたい」という憧れの的に。ロケ地となった群馬県・万座温泉スキー場などは若いスキーヤーたちで大盛況となりました。
「私スキ」を象徴するシーンのひとつ「バーン」のシーン。スキー場では、実際にこれを真似する若者が続出。映画で使用された松任谷由実の楽曲「恋人がサンタクロース」「ロッヂで待つクリスマス」「BLIZZARD」などをバックに、映画の主人公になりきるカップルが、当時のゲレンデのあちこちで見受けられました。
ちなみに、この映画の公開でブームとなったのはスキーだけではありません。映画でコールサインに使用されたアマチュア無線機や、移動に使われた4WD自動車(トヨタ・セリカGT-FOUR)、さらに滑った後のビール(サントリーがスポンサーだったため)など、実際にゲレンデに行くにあたって買い求める人が続出。特に自動車は「スキーに行くならセリカ」と言われるほどに人気を博しました。また、90年代以降に量産される「トレンディドラマ」の布石となったという指摘もあります。確かに、月9あたりでドラマとして放送されていたとしても大ヒットしたでしょうね。
『彼女が水着にきがえたら』
1989年に公開された第2作「彼女が水着にきがえたら」。主演は「私スキ」でも主演を務めた原田知世、そして「東京ラブストーリー」でブレイクする直前の織田裕二が担当しています。前作がウインタースポーツ(スキー)を題材としていた一方で、本作は「水着」とあるようにマリンスポーツ(スキューバダイビング)がテーマ。映画を彩るサウンドも、前作の松任谷由実から夏の王者・サザンオールスターズに代わっています。
スキューバダイビングを通じ、東京湾に眠る宝探しをするというストーリーである本作。作中ではバブル絶頂期という世相を反映し、豪華クルーザー、ホーバークラフト、ボディコンやハイレグに身を纏った美女たちといった、当時を知る者であれば誰もが懐かしさを覚える要素がズラリと並んでいます。「私スキ」にも見られた「若者が思い切り羽目を外して青春を謳歌する」という作風はこちらでも踏襲されており、本作に影響を受けてスキューバダイビングに挑戦する若者が続出したと言われています。但しスキーほどの手軽さが無かったため、社会現象としての影響度は「私スキ」に軍配が上がるでしょうか。
『波の数だけ抱きしめて』
1991年に公開された第3作「波の数だけ抱きしめて」。主演は中山美穂、そして前作に引き続き織田裕二が担当しました。舞台はバブル期前夜の1982年。学生最後の思い出として、湘南でミニFM局の開局を目指す若者たちを描いた青春群像劇で、アメリカ西海岸(ウェスト・コースト)文化全盛の時代らしく、映画を彩るBGMは「J.D.サウザー」「ネッド・ドヒニー」といったAORの名曲の数々が採用されています。
時代設定的に前2作とは毛色の異なる「波の数だけ抱きしめて」ですが、泉麻人が時代考証を担当しており、720型のダットサントラック(車)、ヤマハ・ポップギャル(バイク)、KENWOOD製カーオーディオなど、セットや小物の時代考証の細かさに目を惹かれます。小物の細かさはホイチョイ・プロダクションズ作品の特徴のひとつであり、前述のBGMとの相乗効果で、1982年の湘南にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えさせてくれました。また、日焼けして小麦色になった出演者たちの容貌も、色白が好まれる現代とは一線を画しています。
波の数だけ抱きしめて⑦ / You're Only Lonely - J.D. Souther
このように、80年代及びバブル期の世相を語る上で外すことの出来ない「ホイチョイ三部作」。かつて夢中になった方も、この記事で初めて作品について知った方も、実際に映画に触れてみると懐かしい&新しい発見があると思いますよ!
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