江口寿史の漫画『ストップ!! ひばりくん!』(1981年)
『ストップ!! ひばりくん!』のあらすじ
身の危険を感じて逃げようとする耕作の前に美少女が現れにっこり微笑んだ。一目惚れしてしまった耕作は大空家で生活する決心をしたが、それが運の尽きだった。つばめ・つぐみ・すずめと美人ぞろいの大空家の姉妹の中で、耕作が最初に会った一番の美少女・ひばりは実は男だった。
ひばりは学校では女で通しており、ごく一部の者以外はその秘密を知らない。その上ひばりは耕作を好きになったそぶりを見せ、積極的にアタックしてくる有様。ひばりの引き起こす騒動に巻き込まれて耕作の気の休まる暇もない日々が続く。
出典:wikipedia/ストップ!!ひばりくん!
『ストップ!! ひばりくん!』は長期の中断を経て、27年かけて完結した。
ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション1(小学館クリエイティブ)
『週刊少年ジャンプ』(WJ、集英社)誌上において1981年(昭和56年)45号から 1983年(昭和58年)51号まで多くの休載を挟みながら連載。休載の多さにより約2年強の連載期間ながら、全49話と1年分にも満たない。
連載打ち切りへ
しかし、可愛く描きすぎたことによってひばりくんというキャラクターがスーパーマンとして一人歩きを始め、情けない行動を取らせられなくなり行き詰まるようになる。
また可愛く描く事を含めた絵へのこだわりがアシスタントの使用を困難にして原稿の完成が遅れ、1話を1週間で完成させる事ができなくなっていった。江口は隔週での連載を希望するが、西村繁男が編集長を務める当時の編集部には受け入れられず、その結果、落稿や休載が目立つ様になっていく。
このことは劇中にも表れており、序盤で唐突に本編とは何の関係も無い話を描いてページを埋めていた。
ジャンプ・コミックス版の最後に収録された「メイキング・オブ・ひばりくん!」では、終始一貫して江口が締切を守れない言い訳ともとれる内容が描かれており、最後には製作現場が崩壊した挙句、お粗末な原稿の仕上がりを詫びる担当と怒り心頭の編集長の傍らで「いきのいいネタを探しに千葉の勝浦に行く」と江口が逃げ出している。
実際に、江口が連載を投げ出し、締め切り日に逃亡した事から、編集部も打ち切りという形で連載終了を決定した。
完結まで
1983年以来、本作は未完のままの状態であり、連載末期の分も長らく単行本未収録の状態が続いていた。2007年のインタビューで、江口は他の作品の続編への意欲を示したが、本作の続編執筆に関しては「ひばりくんは難しいけど」と否定的な発言をした。
2010年2月27日に発売された「ストップ!! ひばりくん!コンプリート・エディション」の最終巻(第3巻)では、ラスト5ページが加筆された最終話の完全版が収録された。これにより未完であった本作が27年越しで完結した。
ストップ!!ひばりくん! コンプリート・エディション 3(小学館クリエイティブ)
2010年2月27日に発売された「ストップ!! ひばりくん!コンプリート・エディション」の最終巻(第3巻)では、ラスト5ページが加筆された最終話の完全版が収録された。これにより未完であった本作が27年越しで完結した。
『ストップ!! ひばりくん!』の主な登場人物
大空 ひばり(おおぞら ひばり) 大空家の「長男」
大空 ひばり(おおぞら ひばり)
本作の主人公。耕作が大空家に越してきた直後から猛アタックをかける。一見美少女にしか見えないが、大空家の「長男」であり、ひばりが男の子であることは家族や一部関係者以外には知られていない。
知力体力とも抜群の優等生で、成績は常にトップ、才色兼備の学園のアイドルとして生活を送っている。なお、自身が男だという自覚は一応ある模様。
坂本 耕作(さかもと こうさく)
坂本 耕作(さかもと こうさく)
本作におけるもう一人の主人公であり語り部。成り行きで大空家の一員として生活することになる。アブノーマルなひばりのアタックに苦悩する、根は優しく一本気で純情な九州男児(熊本県出身)。
強くなるためボクシングに入部し、マネージャーの可愛理絵が好きになる。お酒に弱く酒癖が悪く、その勢いでひばりの正体をばらそうとした事もある。ひばりを男の子とは知りつつも、次第に、ひばりを意識するようになる自分に戸惑うようになる。
長期の中断を経て、27年かけて完結した。
『週刊少年ジャンプ』(WJ、集英社)誌上において1981年(昭和56年)45号から 1983年(昭和58年)51号まで多くの休載を挟みながら連載。休載の多さにより約2年強の連載期間ながら、全49話と1年分にも満たない。
「ひのまる劇場」の次に当たる江口3作目となる連載作品であり、江口が『WJ』で連載した最後の作品。また江口が連載を放棄してそのまま未完となっている最初の作品であった。
単行本はジャンプ・コミックス(JC)より全4巻。
1983年には東映動画によりアニメ化もされた江口の代表作の一つであり、後に完全版・文庫版・廉価版と様々な形で再版されている。
また2005年には『江口寿史 JUMP WORKS』の1巻としてCD-ROMの付録などを付けた総集編が発売されている。
母との死別をきっかけとしてヤクザの大空組に世話になる事となった高校生坂本耕作と、事実を知らなければ美少女としか見えない大空組の長男大空ひばりを中心とした日常生活を描く。
当時、少年誌でラブコメディが全盛を誇っている事を憂いた江口がラブコメのヒロインを「女装した男の子」にする事によってギャグとし、ちゃかす事によってラブコメのアンチテーゼとして描いたギャグ漫画で、タイトルは関谷ひさしの『ストップ! にいちゃん』に由来する。
当初はオカマキャラを前面に出したギャグ漫画として考えていたが、ひばりくんを可愛く描けば描く程ギャグとなる事に気付き、出来る限りの可愛さでひばりくんを描くようになる。こうした「オカマの面白さ」を扱った作品として、後に「BREAK DOWN」等を描いている。
出典:wikipedia/ストップ!!ひばりくん!