あらすじ
1986年に映画監督としてデビューしたジュゼッペ・トルナトーレ(Giuseppe Tornatore)監督が脚本、撮影、編集を手掛けた『ニュー・シネマ・パラダイス』には4つのバージョンが存在します。
1. 1988年にイタリアで公開された「オリジナル版」
2. 1989年に日本で公開された「劇場公開版」
3. 2002年に日本で公開された「ディレクターズ・カット版」
4. 2006年にフィレンツェで開催された『フランス映画2006』で上映された「完全版」
日本では「劇場公開版」と「ディレクターズ・カット」が公開・ソフト化されています。
「オリジナル版」は興行成績が振るわず、20分弱に及ぶシーンをカットし国際的に公開し大成功を収めました。
「完全版」は現在フィレンツェ某所に保管されているそうです。
ここでは日本で公開された「劇場公開版」のあらすじ、そして「ディレクターズ・カット版」では「劇場公開版」ではカットされてしまったストーリーをご紹介します。
1. 1988年にイタリアで公開された「オリジナル版」
2. 1989年に日本で公開された「劇場公開版」
3. 2002年に日本で公開された「ディレクターズ・カット版」
4. 2006年にフィレンツェで開催された『フランス映画2006』で上映された「完全版」
日本では「劇場公開版」と「ディレクターズ・カット」が公開・ソフト化されています。
「オリジナル版」は興行成績が振るわず、20分弱に及ぶシーンをカットし国際的に公開し大成功を収めました。
「完全版」は現在フィレンツェ某所に保管されているそうです。
ここでは日本で公開された「劇場公開版」のあらすじ、そして「ディレクターズ・カット版」では「劇場公開版」ではカットされてしまったストーリーをご紹介します。
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劇場公開版
ローマ在住の初老の映画監督サルヴァトーレ(Jacques Perrin)は、ある晩、家に帰ると故郷の母からアルフレード(Philippe Noiret)が亡くなり、明日葬儀が営まれるとのメッセージを受け取った。サルヴァトーレは子供のころにアルフレードと過ごした時間を想い出した。
第二次世界大戦終結から間もない頃、幼いサルヴァトーレ少年(Salvatore Cascio)は、シチリア島にある小さな村で母と妹と暮らしていた。トトという愛称で親しまれていたサルヴァトーレの父は、出征したきり消息がわからなくなり、トトたち家族はぎりぎりの生活を送っていた。
村の中心の広場に面した教会の建物は、村の唯一の娯楽施設である映画館としても利用されていた。そこで映写技師をしていたのがアルフレード。上映される映画は、教会の司祭によって厳しく検閲され、キスシーンなどはことごとくカットされていたため、観客たちは毎度大きなブーイングの声をあげていた。
小さなトトも、村人たち同様に映画に魅了された。トトは何度も映写室に入り込んではアルフレードに叱られていた。しかしそのうちに二人の間には友情が芽生え、トトはアルフレードが映写機を操作するのを見様見真似で覚えていった。アルフレードは、そんなトトに映画の魅力を惜しみなく伝えた。
そんなある晩、映写中にフィルムの発火事故が発生。トトの必死の救助でアルフレードは一命を取り留めたものの、やけどにより視力を失ってしまう。そして村人たちの憩いの場だった映画館は焼失してしまった。新しい映画館「新パラダイス座(Nuovo Cinema Paradiso)」がオープンすると、トトはアルフレードに代わって、子供ながらに映写技師として働くことになった。
年月が過ぎて青年となったトトは、ムービーカメラを手に入れて映画を撮影するようになった。撮影中に駅で見かけた美少女エレナ(Agnese Nano )に心を奪われたトトは、一途に彼女を思い続ける。初恋が成就してエレナと一緒に過ごせる時間に安らぎを覚えていただトトだったが、そんな幸せな時間は長くは続かなかった。エレナは大学に通うため引っ越すことになり、トトもまた兵役のため生まれ育った故郷を離れることになった。入隊の前日二人は駆け落ちを計画したが、約束の時間になってもエレナは現れなかった。
兵役を終えてシチリアに戻ったトトだったが、映画館にも自分の居場所はすでになくなっていて、エレナの消息についても手掛かりさえなかった。生きる気力を失っていたトトに、アルフレードは村を出て自分の道を模索するよう叱咤激励する。トトはアルフレードのこの言葉に後押しされて電車でローマを目指す。そしてトトは映画監督として大成してからもなお、アルフレードとの約束通り、30年もの長い間故郷に戻ることはなかった。
それから30年。ローマで映画監督として成功し、中年となったトトは、アルフレードの葬儀に参列するため、年老いた母の待つ故郷の村に帰ってきた。そこで彼は「新パラダイス座」がすでに閉館し、建物の解体も近いことを知る。サルヴァトーレはアルフレードが彼に遺した形見を渡される。
アルフレードの葬儀に参列するため故郷に戻ったトトは、アルフレードが自分に残してくれたフィルムを手にする。そこにはかつて検閲でカットされてしまった数々のラブシーンが収められていた。トトは改めてアルフレードと築いた深い友情を思い目に涙を浮かべた。
第二次世界大戦終結から間もない頃、幼いサルヴァトーレ少年(Salvatore Cascio)は、シチリア島にある小さな村で母と妹と暮らしていた。トトという愛称で親しまれていたサルヴァトーレの父は、出征したきり消息がわからなくなり、トトたち家族はぎりぎりの生活を送っていた。
村の中心の広場に面した教会の建物は、村の唯一の娯楽施設である映画館としても利用されていた。そこで映写技師をしていたのがアルフレード。上映される映画は、教会の司祭によって厳しく検閲され、キスシーンなどはことごとくカットされていたため、観客たちは毎度大きなブーイングの声をあげていた。
小さなトトも、村人たち同様に映画に魅了された。トトは何度も映写室に入り込んではアルフレードに叱られていた。しかしそのうちに二人の間には友情が芽生え、トトはアルフレードが映写機を操作するのを見様見真似で覚えていった。アルフレードは、そんなトトに映画の魅力を惜しみなく伝えた。
そんなある晩、映写中にフィルムの発火事故が発生。トトの必死の救助でアルフレードは一命を取り留めたものの、やけどにより視力を失ってしまう。そして村人たちの憩いの場だった映画館は焼失してしまった。新しい映画館「新パラダイス座(Nuovo Cinema Paradiso)」がオープンすると、トトはアルフレードに代わって、子供ながらに映写技師として働くことになった。
年月が過ぎて青年となったトトは、ムービーカメラを手に入れて映画を撮影するようになった。撮影中に駅で見かけた美少女エレナ(Agnese Nano )に心を奪われたトトは、一途に彼女を思い続ける。初恋が成就してエレナと一緒に過ごせる時間に安らぎを覚えていただトトだったが、そんな幸せな時間は長くは続かなかった。エレナは大学に通うため引っ越すことになり、トトもまた兵役のため生まれ育った故郷を離れることになった。入隊の前日二人は駆け落ちを計画したが、約束の時間になってもエレナは現れなかった。
兵役を終えてシチリアに戻ったトトだったが、映画館にも自分の居場所はすでになくなっていて、エレナの消息についても手掛かりさえなかった。生きる気力を失っていたトトに、アルフレードは村を出て自分の道を模索するよう叱咤激励する。トトはアルフレードのこの言葉に後押しされて電車でローマを目指す。そしてトトは映画監督として大成してからもなお、アルフレードとの約束通り、30年もの長い間故郷に戻ることはなかった。
それから30年。ローマで映画監督として成功し、中年となったトトは、アルフレードの葬儀に参列するため、年老いた母の待つ故郷の村に帰ってきた。そこで彼は「新パラダイス座」がすでに閉館し、建物の解体も近いことを知る。サルヴァトーレはアルフレードが彼に遺した形見を渡される。
アルフレードの葬儀に参列するため故郷に戻ったトトは、アルフレードが自分に残してくれたフィルムを手にする。そこにはかつて検閲でカットされてしまった数々のラブシーンが収められていた。トトは改めてアルフレードと築いた深い友情を思い目に涙を浮かべた。
ディレクターズ・カット版
故郷へ戻ったトトは、老朽 のため取り壊しが決定した新パラダイス座に足を運んだあと、バーに立ち寄った。ふと窓の方に目をやると、そこにはエレナそっくりの若い女性が。エレナへの想いをずっと胸に秘めているトトは未だ独身を貫いていた。トトは後日、この若い女性を探して彼女の後を追った。彼女の父親らしき人物の姿を見てトトは愕然とする。トトは彼女がエレナの娘であること、そしてエレナは子供のころトトの友人だったボッチャの妻になっていることを知る。
トトはエレナ(Brigitte Fossey)に電話で再会を求めたがエレナは会わないと言う。海辺で物思いにふけるトトのもとにエレナが現れ、二人は30年ぶりの再会を果たした。トトはエレナがあの日現れなかった理由を問いただした。エレナの予期せぬ答えにトトは動揺した。エレナはあの日、約束の時間から少し遅れて、映画館を訪れたこと、トトと駆け落ちするつもりだったこと、そしてトトと別れるようにアルフレードから忠告されたことをトトに告げた。そしてエレナは、それでも自分の思いをトトに伝えたくて転居先の住所のメモをこっそりと映写室に残したことを伝えると、トトはエレナを抱きしめた。
再び「新パラダイス座」を訪れたトトは、あの日エレナが残したというメモを探した。メモにはエレナのトトへの熱い思いが綴られていた。トトは二人の仲を引き裂いたアルフレードに怒りを覚えていたが、エレナはあの時別れたから、トトは今のように美しい映画を撮る、映画監督になったのだと悟していた。
ローマへ戻る前日トトはエレナに電話をして、自分の思いを伝えようとしたがエレナは二人が再会したあの夜のことは忘れようと言い、トトは傷心のままローマへ。アルフレードが自分に遺してくれたというフィルムを上映したトトは、やさしいほほえみと共に涙を浮かべた。映し出されたものは、かつて検閲でカットされたために観ることができなかったラブシーンの数々だった。
トトはエレナ(Brigitte Fossey)に電話で再会を求めたがエレナは会わないと言う。海辺で物思いにふけるトトのもとにエレナが現れ、二人は30年ぶりの再会を果たした。トトはエレナがあの日現れなかった理由を問いただした。エレナの予期せぬ答えにトトは動揺した。エレナはあの日、約束の時間から少し遅れて、映画館を訪れたこと、トトと駆け落ちするつもりだったこと、そしてトトと別れるようにアルフレードから忠告されたことをトトに告げた。そしてエレナは、それでも自分の思いをトトに伝えたくて転居先の住所のメモをこっそりと映写室に残したことを伝えると、トトはエレナを抱きしめた。
再び「新パラダイス座」を訪れたトトは、あの日エレナが残したというメモを探した。メモにはエレナのトトへの熱い思いが綴られていた。トトは二人の仲を引き裂いたアルフレードに怒りを覚えていたが、エレナはあの時別れたから、トトは今のように美しい映画を撮る、映画監督になったのだと悟していた。
ローマへ戻る前日トトはエレナに電話をして、自分の思いを伝えようとしたがエレナは二人が再会したあの夜のことは忘れようと言い、トトは傷心のままローマへ。アルフレードが自分に遺してくれたというフィルムを上映したトトは、やさしいほほえみと共に涙を浮かべた。映し出されたものは、かつて検閲でカットされたために観ることができなかったラブシーンの数々だった。
『ニュー・シネマ・パラダイス』の魅力
サルヴァトーレ・カシオ
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少年期のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオ(Salvatore Cascio)は『ニュー・シネマ・バラダイス』が公開された当時9歳。スクリーンデビュー作となった同作品の世界的なヒットを受けて、カシオは90年に英国アカデミー賞で最優秀男優賞を受賞しました。
その後も俳優活動を続けましたが99年に俳優活動を引退。現在は故郷のシチリア島でレストランを経営しているそうです。トトの顔のロゴをつけてオリジナルのオリーブオイルを販売しているのだとか。
その後も俳優活動を続けましたが99年に俳優活動を引退。現在は故郷のシチリア島でレストランを経営しているそうです。トトの顔のロゴをつけてオリジナルのオリーブオイルを販売しているのだとか。
フィリップ・ノワレ
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フランス映画界を代表する俳優の一人と称されるフィリップ・ノワレは、1948年にコメディ中心の舞台俳優としてデビュー。49年から映画に活躍の場を広げ、以降半世紀にわたる俳優人生において出演した作品は140本を超えます。アルフレードのようなとぼけたお人よし役を演ずることが多かったノワレは、私生活では快楽主義を貫き、芸術、動物、美食、そしてたばこを愛しました。
2006年にガンにより死去。フランスの多くの著名人が眠るパリのモンパルナス墓地に埋葬されました。
2006年にガンにより死去。フランスの多くの著名人が眠るパリのモンパルナス墓地に埋葬されました。
エンニオ・モリコーネ
Ennio Morricone - Cinema Paradiso (In Concerto - Venezia 10.11.07)
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この映画を美しく彩ったのは、俳優陣だけではありません。劇中流れる美しいメロディーは、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが手がけました。ローマ生まれのモリコーネは、60年代は主に西部劇の映画音楽を手掛けていましたが、80年代になるとクラッシックの色合いの強い楽曲を数多く作曲するように。モリコーネは『ニュー・シネマ・パラダイス』で英国アカデミー賞作曲賞を受賞し、それ以降も数々の栄誉ある賞を受賞しました。2006年には作曲家としてのこれまでの活躍に対してアカデミー賞名誉賞が授与されました。
愛妻家、そしてチョコレートラバーとしても知られるモリコーネは現在91歳。
愛妻家、そしてチョコレートラバーとしても知られるモリコーネは現在91歳。
『ニュー・シネマ・パラダイス』作品としての評価
多くの映画ファンそして映画評論家たちの心を虜にした同作は、「劇場公開版」がカンヌ映画祭審査員賞、ゴールデングローブとアカデミーの両賞レースで見事外国作品賞を受賞しました。停滞していたイタリア映画を復活に導いた作品として高く評価されています。
アルフレードがトトに遺したフィルムに収められていた数々の名作映画のキスシーン。このシーンは同作の名シーンとして多くの人々の心に焼き付いているようです。
アルフレードがトトに遺したフィルムに収められていた数々の名作映画のキスシーン。このシーンは同作の名シーンとして多くの人々の心に焼き付いているようです。
ノワレは詩人のパブロ・ネルーダ 役で出演