エリート社員は別の顔を持っていた?謎多き「東電OL殺人事件」
1997年3月19日、東京都渋谷区円山町のアパートの一室から、東京電力に勤める当時39歳の女性の遺体が発見されました。死因は絞殺。警察は被害者の人間関係など、犯人の手がかりとなる物を広範囲に調査していきました。その中で、被害者の昼の顔とは異なる「夜の顔」が浮かび上がってきたのです。
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エリート社員の予想もつかない「夜の顔」とは?
被害者の女性は東京電力に初の女性総合職として入社したエリートであり、日本を代表する大企業の幹部社員としてキャリアを積んでいました。そんな彼女ですが、会社を退勤後に全く別の姿に変貌することが警察の調査で明らかとなりました。それは「売春婦」です。
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ワイドショーの格好の的に!
金銭的に余裕があるはずのエリート社員が、なぜ売春を行っていたのか?その意外性からこの事件はワイドショーなどの格好の的となり、当時大きく報道されました。実際に売春の相手となった人物の証言によれば、彼女は「骨と皮だけのような肉体だった」とも言われており、拒食症や精神的な病気を患っていたのではないか、といった憶測もなされました。
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近隣に住むネパール人が逮捕!
そんな中、5月20日に警察は殺害現場の近隣に住むネパール人男性を逮捕しました。彼は日本に不法滞在しており、被害者の売春相手でもありました。しかし逮捕後も一貫して無実を主張、長い裁判へと突入していきます。
世界中で問題となっている不法移民。
※画像はイメージです。
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冤罪が確定、捜査は振り出しに…
ネパール人男性を犯人とする直接的な証拠はなかったものの、状況証拠の積み上げにより2003年には一旦無期懲役の判決が確定。しかし、その後2011年に東京高検によるDNA鑑定が行われ、横浜刑務所に収監中であったネパール人男性とは別のDNAが検出。それを根拠に2012年に再審開始となり無罪判決が確定しました。こうして、事件は多くの謎を残したまま振り出しに戻ったのです。
事件を扱った作品の数々!!
東電OL殺人事件は、その特異性から小説から映画まで数々の作品の題材となっています。ここでは、各ジャンルからいくつかの作品をご紹介したいと思います。
ノンフィクション
発生後まもなく、事件を扱うノンフィクション作品が多数執筆されました。高橋龍太郎「あなたの心が壊れるとき」を皮切りに、2000年には佐野眞一「東電OL殺人事件」、2001年には朝倉喬司「誰が私を殺したの — 三大未解決殺人事件の迷宮」、2012年には読売新聞社会部「東電OL事件 — DNAが暴いた闇」などが出版され、ベストセラーにもなっています。
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特に「東電OL事件 — DNAが暴いた闇」は、事件から14年が経過した2011年に行われた新たなDNA鑑定によって明かされた真実に迫る内容となっており、事件の経過とともに新しい内容を含んだノンフィクションが出版され続けています。