2022年3月5日 更新
平成の幕開けを象徴する事件!1989年に起こったザ・タイマーズによる『FM東京事件』とは?
1989年10月13日にフジテレビ系列で放送された音楽番組「ヒットスタジオR&N」で起こった『FM東京事件』について特集してみたいと思います。
平成の幕開けを象徴する、タイマーズによる『FM東京事件』とは?
皆さんは『FM東京事件』をご存じでしょうか?1989年10月13日にフジテレビ系列で放送された音楽番組「ヒットスタジオR&N」内にて、ザ・タイマーズというロックバンドがラジオ局「FM東京(現・TOKYO FM)」を罵倒する内容の演奏を行い、その中で放送禁止用語が用いられたことから、音楽業界に激震が走った事件です。この記事では、事件が起こった背景やその顛末などについて特集したいと思います。
こちらがタイマーズの面々。
「ザ・タイマーズ」とは?
ザ・タイマーズとは、80年代後半に結成されたロックバンド。忌野清志郎にそっくりな“ZERRY”なる人物を中心に、1989年10月にシングル「デイ・ドリーム・ビリーバー」で東芝EMIよりデビューを飾りました。同曲はエースコック「スーパーカップ」のCMに起用され、オリコン最高位2位を記録するヒットに。また、土木作業員や学生運動の活動家のような井出達で、「あこがれの北朝鮮」「牛肉オレンジ」など、当時の世相を反映させた楽曲を披露することも多々ありました。
タイマーズの楽曲が使用されたエースコックのCM。
VIDEO
【なつかCM】エースコック スーパーカップ「グラッチェグラッチェ」/ タイマーズ 1989年 ★★★
事件前夜、くすぶる鬱憤。
タイマーズの中心メンバーであったZERRYですが、彼の作る歌詞にはセンシティブな内容が多く、「村八分」「裸のラリーズ」などのメンバーであった友人・山口冨士夫と共作した楽曲である、ティアドロップス「谷間のうた」がFM東京及びFM仙台で放送禁止に。また、タイマーズの楽曲「土木作業員ブルース」も同様に放送禁止となってしまいました。そういったラジオ局との軋轢があり、タイマーズのメンバーは徐々に鬱憤が溜まっていくこととなります。
放送禁止処分となった「谷間のうた」
1989年10月13日、ついに事件発生!!
そして、ラジオ局に対する不満が頂点に達したZERRY及びタイマーズ。1989年10月13日に、事件は起こりました。タイマーズがフジテレビ系「ヒットスタジオR&N」に出演した際、リハーサルでは「タイマーズのテーマ~偽善者~デイ・ドリーム・ビリーバー~」の流れで予定曲目を組んでいたものの、本番では2曲目の「偽善者」に入るところで、予定に無かった謎の楽曲の演奏を急にスタート。その曲の歌詞では、FM東京を名指しして「腐ったラジオ」「最低のラジオ」「政治家の手先」と罵倒し、極めつけとして「お〇んこ野郎」と、堂々の放送禁止用語で締めくくってしまいました。このパフォーマンスには、司会を務めていた古舘伊知郎をはじめ出演者・スタッフ全員があっけにとられる事態に。なおこの曲を終えると、3曲目として「デイ・ドリーム・ビリーバー」を何事もなかったかのように演奏しています。
ZERRYによる魂の叫びは必見!!
言いたいことを言い切った彼ら…その後の処分は?
FM東京、更には言いたいことの言えない現代社会に対して「おま〇こ野郎」と言い放ったタイマーズ。当然ながらただでは済まされず、タイマーズはフジテレビへの3年間の出入り禁止を言い渡され、さらに所属していた東芝EMIも、当時発売直前だった松任谷由実の新作アルバム「LOVE WARS」の収録楽曲がFM東京で放送されなくなるというペナルティを受けることとなりました。
後年になってZERRYは、当時の騒動について関係者から怒られることを覚悟していたものの、「実はテレビ局は大喜びだった」「プロデューサーはニコニコだった」と、苦情がかなりあった一方で、その反響の大きさに関係者の反応は案外悪くなかった旨を述懐しています。またタイマーズのメンバーも、「ドラムを叩きながら、現場がわたわたしているのを見ているのは楽しかった(PAH・ドラムス)」「テレビカメラの向こうに、いろんな人が走り回ってるのが見えた。あんな光景は見たことなかった(TOPPI・ギター)」と、騒動については概ね良い経験だったと受け止めている模様。
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