『超電磁マシーン ボルテスV』
放送期間:1977年6月4日から1978年3月25日
放送時間:土曜18:00から18:30
放送局:朝日テレビ系列
放送話数:全40話
主題歌:「ボルテスVの歌」堀江美都子
スタッフ
総監督: 長浜忠夫
演出:寺田和男(最終回担当)ほか
脚本:田口章一(最終回担当)ほか
絵コンテ:寺田和男(最終回担当)ほか
作画監督:金山明博(最終回担当)ほか
キャラクター原案:聖 悠紀
アニメーションキャラクター:佐々門信芳、金山明博
メカニック担当設計:スタジオぬえ
美術:宮野隆
音楽: 筒井広志
キャスト
剛 大次郎:玄田哲章
剛 日吉:小原乃梨子
峰 一平:曽我部和行
岡 めぐみ:上田みゆき
剛博士:二瓶秀雄
左近寺:大木民夫
ハイネル:市川治
ザンバジル:寺島幹夫
ナレーター:薪 大輔
『超電磁マシーン ボルテスV』とは
それに対抗するのは剛博士。彼はボアザン星を角がないことで追われた、元科学者なのだった。
彼は巨大合体ロボット・ボルテスVを作る。それに乗り込むのは剛博士の息子である健一、大次郎、日吉。そして峰 一平、岡 めぐみを加えたボルテスチームだ。
彼らは地球を守るために戦い、そしてボアザン星へと向かう。
『超電磁ロボ コン・バトラーV』に続く、いわゆる長浜忠夫の《長浜ロマンロボットシリーズ》の第二作目となる。
『超電磁マシーン ボルテスV』の最終回
第40話「崩れゆく邪悪の塔!!」
ナレーション「戦意を失った貴族たちは都ヘ都へと逃げ、今ここに最後の決戦を迎えようとしていたのであった」
黄金城にいるザンバジル皇帝と貴族たちに、被害が続々と伝えられる。
ザンバジル「むう、どいつもこいつも。よいか!全力を尽くして、奴らの黄金城への侵入を食い止めろ!何としてもだ!」
ハイネルが馬に乗って現れた。黄金城を眺めて言う。
ハイネル「しまった!ボルテスめ、すでに黄金城を攻撃しているのか!」
カザリーンが馬車で現れた。
カザリーン「ハイネル様、お待ち下さい!黄金城へ行けば、ハイネル様のお命はございませぬ。無駄死にでございます!」
しかし、そこをどけと言うハイネル。
ハイネル「余は死を恐れたりはせぬ。余はボアザン星の貴族だ!命ある限り、最後までボアザン帝国を守る!」
カザリーンがハイネルの馬を抱き停めた。しかしそれを乱暴に振り払い、黄金上へ向かう。
ハイネル「許せ、カザリーン!」
カザリーンも馬車に乗って、後を追う。
カザリーン「ハイネル様を…死なせて、なるものか!」
ボルテスが黄金城の外壁を壊して侵入した。
剛博士「みんな、ボルテスに続け!」
戦車隊も次々と中へ侵入する。労奴たちも後に続いた。
黄金城内。兵士からの報告。
兵士「黄金城正門がボルテスによって崩されました!もはや労奴たちの侵入を食い止める手だてはありません!」
椅子に座り込み、怯えるザンバジル。
貴族の一部は城内から逃亡し、労奴たちに命乞いしていた。
貴族たち「殺さないでくれえ」「悪いのはザンバジル、ザンバジルだ」
労奴「こ…これが俺たちを支配していた貴族たちの姿か…」
ハイネル「そなたたちは城を見捨て、いずこへ行かれる気か!」
貴族「フン、今さら戦っても無駄なことよ。負け戦に命など賭けられんわい」
ハイネル「ええい、卑怯者ども!ここから逃げ出す者は、余がボアザンの名で斬る!」
ハイネルは剣を振り上げた。それに対してひとりの貴族が銃口を向ける。カザリーンが馬車に乗って現れた。ハイネルの前に飛び出したカザリーンは撃たれる。倒れる馬車。逃げる貴族たち。
ハイネルはカザリーンを抱き起こした。
ハイネル「しっかりしろ、カザリーン!」
カザリーン「初めて…初めて抱いて下さいましたわね。…カザリーンは嬉しゅうございます…」
カザリーンは死んでしまった。何度も名を呼ぶハイネル。
ハイネル「カザリーン…余は死なぬぞ!ボルテスを倒すまでは死なぬぞ!余はボルテスを倒す!」
城の中庭。分離したボルテスから、健一、大次郎、日吉の三兄弟が泣きながら駆けてくる。
三人「お父さーん!」
抱き合う四人。
日吉「やっと会えた!お父さんにやっと会えたんだね!」
大次郎「そうたい!ここに、ここにお父さんはいるたい!」
健一「お父さぁん!」
それを見ている一平、泣いているめぐみ、左近寺。
その一同をハイネルは黄金城の窓から見ていた。
ハイネル「健一…!」
黄金城を囲む労奴軍の声。
労奴軍「ザンバジル、降伏しろ!既に黄金城は包囲した!戦いは終わったのだ。お前の支配する時代は終わったのだ!」
ハイネルは神像ゴードルの前にいた。
ハイネル「我がボアザンの守護神ゴードルよ!答えてくれ…私はどうすれば良いのだ?このボアザン帝国が、角の無い虫ケラどもに踏みにじられていくのを、黙って見ていろというのか?」
ハイネル「『国を愛する者は、守護神ゴードルの燃え盛る炎に身を投ずるならば、そのとき守護神ゴードルは国難を救ってくれる』との昔からの言い伝え。私はその言い伝え通り、この身をゴードル様の聖火に捧げる覚悟!たとえこの身が炎に焼かれようとも、国を救うためなら命を捧げよう!…ボアザン帝国に栄光あれえーっ!」
神像の右手に燃えている炎の中へ、ハイネルは飛び込んだ。
ハイネル「こ…これは?」
椅子に乗ったハイネルは操縦席へと運ばれる。
ハイネル「はっ……ゴードル像とは、巨大なメカロボットだったのか!」
ヘルメットが装着され、声が聞こえる。
声「ボアザンの勇気ある若者、神像ゴードルはこの椅子に座る者の命令通り、敵を倒すであろう…」
ハイネル「おお、言い伝えは嘘ではなかった…本当だったのだ!」
神像ゴードルが動き出す。逃げる労奴軍。石が剥がれて中から現れたのは巨大ロボットだった。
一同「おう!」
ボルテスが出撃した。戦いが始まる。互いに剣を出し斬り合う。
ボルテスの天空剣がゴードルの腹を切った。健一は必殺技を出そうとするが、ゴードルは口から火炎を吐く。
ゴードルの剣が、ボルテスの胸を斜め切りにした。
突進するゴードル。だがボルテスの剣が、ゴードルの腹を貫いた。
重なって倒れる二体の巨大ロボット。
操縦席から脱出した健一に、ハイネルは剣を投げた。
ハイネル「この時を待っていたぞ! 勝負だ、健一!」
健一「ハイネル、既に戦いは終わったんだ!」
ハイネル「終わってはおらぬ!宇宙で最も優れた人種、角を頭にいただくボアザン貴族の戦いは、最後の1人まで続くのだ!」
健一「それが間違っているんだ、ハイネル!角のある者も無い者も、みんな同じなんだぁ!」
ハイネル「言うなぁ!健一、命はもらったぁっ!」
ふたりの生身での戦いが始まった。それを見守るボルテスチームと剛博士たち。
互いの剣が、ふたりの二の腕を裂いた。そして剣が折れる。
地面へ落下したふたり。
健一「うっ…ハイネル…もう戦いは終わったんだ!今さら俺たちが戦って何になるんだ!」
ハイネル「ほざくなぁっ!」
立ち上がったハイネルは短剣を抜いた。
剛博士「はっ…あの短剣は?ハイネル、教えてくれ!その…その短剣は誰に貰ったものだ?」
ハイネル「誰でもいい!貴様には関係ない!」
その短剣は、剛博士が妻であるロザリアに託したものだった。その証拠に、柄には鳩の模様がある。つまりハイネルと健一たちは兄弟なのだった。
ハイネル「あーっ!何ということだ…何のための戦いだ…兄弟同士が血で血を洗う戦いをしてきたというのか…。ああっ…」
健一「に…兄さん…?」
ハイネル「嘘だあーっ!」
そこへ狂ったように笑うザンバジルが登場する。左手には宝石や金貨がこぼれるほどの宝箱を持っている。
ザンバジル「寄るな、寄るなあ!この財宝は誰にも渡さぬ!ち、近寄るとこの爆弾で吹き飛ばすぞ!」
ハイネル「お、おじうえ!おやめ下さい!最後まで、最後までボアザン星の王であることをお忘れめさるなぁ!」
ザンジバル「そ、そうだぁ!ハイネルだ、悪いのはハイネルだ。地球征服の作戦もすべて、あのハイネルがやったことだ。あのハイネルだあ!殺すなら、ハイネルを殺せえ!」
ハイネル「うう…余は、こんなウジ虫のために戦っていたのか…死ねい!」
ハイネルは短剣を投げた。ザンバジルの胸に刺さり、その手から爆弾が落ちた。爆発。
爆風から健一を守ったのはハイネルだった。だが床が割れて、ふたりは遠く離れてしまう。
ハイネルを「兄さん」と呼ぶ健一、大次郎、日吉。だがそれに首を横に振るハイネル。
剛博士「ハイネルー!」
ハイネル「お…お父さん……」
ハイネルの目には涙。
瓦礫が落ちてきて、崩れ、ハイネルは炎の中に消えた。健一の「兄さん!」という叫び声。
ナレーション「この日、長いボアザン星の暗黒時代は終りを告げ、新しい歴史へと人々の力強い、復興の日々が始まったのだった。
ナレーション「そして、別れの日は来た」
朝日に立つボルテス。足元には健一たちの姿。それをたくさんの人々が歓声をあげて取り囲んでいる。
日吉「お父さん…どうしても一緒に地球へは、帰ってくれないの?」
剛博士「日吉、健一、大次郎、わかってくれ。父さんは、このボアザン星を地球と同じように立派な星にするつとめがある」
涙をにじませる日吉。
健一「なあ日吉、いつだってボアザン星に来たければ来るさ。ボルテスには、ワープ装置だってセットされているんだ」
大次郎「そうたい!それに俺たちには、地球を守る任務があるたい!」
剛博士と左近寺博士が握手する。
剛博士「地球のことはよろしく頼む」
左近寺「うむ」
ボルテスチームがボルテスに乗り込んだ。左近寺はソーラーファルコンに。発進。彼らに手を振る人々。
左近寺「地球へ向かう!」
ボルテスたちは空へと消えていく。
剛博士「子供たちよ…。父や母や兄弟を愛するように、人間同士が宇宙を越えて本当に愛し合えるならば、そして、地上のあらゆる動物や植物、山や海を愛することができるならば、宇宙はいつまでも平和だ」