『宇宙戦士バルディオス』(1980年) 地球人側の全面敗北ともとれる衝撃の最終話で打ち切りにしてしまった。アニメ史上最悪の最終回。
地球は水没、人類滅亡が示唆されたシーンで「完」の文字が出て終了。
全世界が巨大津波に飲み込まれ、人類が滅亡していく地獄絵図が展開される中で、「完」の文字が出て終了となる。
まさに驚くべき最終回であり、見ていた視聴者は皆びっくりしただろう。日本のテレビアニメの歴史上、一番最悪の最終回のひとつと言えるだろう。
画像出典 『宇宙戦士バルディオス』第31話(最終話)「破滅への序曲 前篇」(1981年1月25日)劇中より
この衝撃的な最終話の反響は大きく、放送終了直後から問い合わせが殺到、完全版の放送を求める署名活動やファン集会、自主上映会が開催された。
製作会社もこの雰囲気を敏感に感じ取っており、アニメ雑誌への未公開ストーリーや映像の提供が積極的に行われ、さらに1981年4月には「豪華本」といわれる愛蔵本が製作元の葦プロから直接出版された。
後年、未放送分を含む34話(テレビ放送は31話)を収録したレーザーディスクとDVDが発売されている。
テレビ本編の最終回の続き「破滅への序曲 後篇」 DVD『宇宙戦士バルディオス』に収録されている。
地球は巨大な津波と、恐ろしいほどの大雨で、どんどん水没していく。ブルーフィクサーは生き残っている。
地球に生き残っている人類を完全に全滅させることを目的に、アルデバロン軍が最終攻撃をしかけようとしている。
ブルーフィクサーとバルディオスチームは、アルデバロン軍との最終決戦のために準備をしている。
津波に大雨の水地獄は2週間続き、全世界の人類の35億人が亡くなった。
画像出典 『宇宙戦士バルディオス』未放映の「破滅への序曲 後篇」(宇宙戦士バルディオス DVD-BOX2に収録されている)の劇中より
「破滅への序曲 前篇」(本編で放送された最終回)以外の打ち切りされたテレビ本編未放送回
31 失われた惑星(未放送・DVDなどに収録)
32 (31) 1月25日 破滅への序曲 前篇 (本編で放送された最終回)
33 破滅への序曲 後篇(未放送・DVDなどに収録)
34 地球の長い午後(未放送・DVDなどに収録)
脚本と絵コンテのみが製作された未放送回(映像化されていない)
35 アフロディアに花束を(前)
36 アフロディアに花束を(後)
37 亜空間要塞最後の日
38 雷太よ 明日を救え!!
39 永遠への旅立ち
月影長官はアルデバロンの攻撃でチャイナシンドロームを起こした核物質と共にミニパルサバーンでスピリット・ガットラーに特攻する。
アルデバロンと世界連盟の生き残り部隊およびブルーフィクサーの最終決戦が描かれるが、この話でも未完といえる。
月影長官の勇敢な特攻により巨大宇宙戦艦のスピリット・ガットラーは相討ちさせた(アルデバロン総統のガットラーの生死は不明)が、戦争の最終目的である亜空間に存在するアルデバロンの本拠地である亜空間要塞(アルゴル)を倒していない。
また博士とマリンの会話から、地球の未来の姿がS-1星である可能性も暗示されている。この場合S-1星人(アルデバロン)も地球人であり、皮肉にも地球人同士の戦いだったということになる。悲劇性がますます高まっている。
画像出典 『宇宙戦士バルディオス』テレビ本編では未放送の真の最終話(第34話)「地球の長い午後」(宇宙戦士バルディオス DVD-BOX2に収録されている)の劇中より
本放送では第1話から第30話、第32話(放送上では第31話)が放送されたが、実際には第34話までが完成しており、完成していた回は後に発売されたレーザーディスクおよびDVDに収録されている。
CS放送などで放送される場合は第34話まで放送され、この回が最終回とされているケースが多い。第35話以降も脚本と絵コンテは完成していた。
『海のトリトン』(1972年) 善悪が逆転する衝撃展開。トリトン族の罪を背負い生きていくことを誓うという終わり方になっている。
最終回では元々は被害者だったポセイドン族を、そうとは知らないで全滅させてしまうという、ちょっと後味の悪さが残る展開。
トリトンのオリハルコンの短剣の輝きと共に動き出すポセイドン像。
ポセイドン像はオリハルコンで作られており、ポセイドン族が生きるために必要なエネルギー源になっていた。しかしポセイドン像が動き出してしまうと、海底神殿にオリハルコンのエネルギー源が供給されなくなってしまうと言う。
トリトンがポセイドンの海底神殿に入る。至る所にポセイドン族の死体が・・・
ポセイドンの海底神殿の下には無数のポセイドン族の死体が・・・ポセイドン族を全滅させてしまったトリトン。
トリトンは、その真相を知らずに、オリハルコンでできているポセイドン像と戦い、生き残ったポセイドン族を全滅させてしまったのだ。
ついにポセイドンの神殿に辿り着いたトリトンは両親の仇のゲルペスも倒し、ポセイドン像と対する。トリトンのオリハルコンの短剣の輝きと共に動き出すポセイドン像。像の下には全滅したポセイドン族の海底都市があった。絶滅の真相を知り、愕然とするトリトン。
遠い昔、アトランティス人はオリハルコンでポセイドン像を作った。その時に人身御供として生け贄にされた人々の一部がオリハルコンのエネルギーによって生き延びた。これが後のポセイドン族。彼等は復讐のため、オリハルコンのエネルギーを使ってアトランティス大陸を沈めた。だがその時、わずかに生き残ったアトランティス人はポセイドン像に打ち勝つための、マイナスのエネルギーを持つオリハルコンの短剣を造り出していた。この短剣を代々受け継いできたのがトリトン族。
トリトンがオリハルコンの短剣の輝きを見せたことによってポセイドン像が動きだし、そのためオリハルコンのエネルギーを失ったポセイドン族は全滅したというわけで、「ポセイドン族を滅ぼしたのはお前だ」と責められるトリトン。
「俺が悪いんじゃない、ポセイドンが海の平和を乱すからだ!」と弁解しつつ、ポセイドン像を破壊するトリトン。最後に「そしてまた少年は旅立つ」というナレーションが入ってお終い。
この最終回は異色だった。それまで加害者側だったポセイドン族が実は犠牲者だったというのも驚きだったが、それにしてもやけにポセイドン族の肩を持っていた。
おかげでトリトン、ほとんど大量虐殺の悪者扱い。(笑)ポセイドンだってアトランティス大陸を沈め、トリトン族を虐殺してきたというのに。うやむやというか、ちょっとすっきりしない感は拭えないが、いかにもアニメって感じのラストではなかったのがとても新鮮だった。見終わったあとに“多感な少年時代のほろ苦さ”のようなものが余韻として残る、そんなラスト。
『フランダースの犬』(1975年) ネロはパトラッシュと共に天に召される。ラストシーンは悲劇の代表格。
フランダースの犬 第1話「少年ネロ」 日本アニメーション株式会社 • NIPPON ANIMATION CO., LTD
ネロはアントワープの大聖堂で飾られているルーベンスの絵を見た後、パトラッシュとともに天に召されます。(この画像は劇場版「フランダースの犬」より)
ネロ「とうとう、僕は見たんだ・・・なんと素晴らしいんだろう」
「マリア様、どうもありがとう。僕は、もう、これだけで、何もいりません」
吹雪の中、ボロボロの体を引きずって、必死にネロを探し出したパトラッシュが手袋をくわえてやってきます。
「パトラッシュ、お前、僕を探しに来てくれたんだね。わかったよ、お前は、いつも僕と一緒だって、そう言ってくれてるんだね。ありがとう。」
原作ではよく分からない理由で絵を隠すカーテンが突然開く(新潮文庫では67ページ)が、アニメではミサの後にカーテンを戻し忘れたために誰にでも見られる状態になっていた。
また、ネロたちはアニメでは凍死のように描かれているが、原作ではネロは飢えと衰弱、パトラッシュは老衰により死亡している(新潮文庫では68ページくらい)。
コンクールの審査員であるヘンドリックによると、絵の才能はルーベンスを継ぐことができるレベルとのこと。
アルデバロン軍(S-1星の軍隊)の秘密兵器・人工太陽の真の目的は、南極と北極の氷を溶かすことであった(=地球を水没させて全滅させること)。
ブルーフィクサー(世界連盟所属の地球防衛軍)は、敵の戦略の意図を全く予測できなかったために、まんまと人工太陽によって南極と北極の氷を全て溶かされてしまう。
まさに最悪の事態となってしまう。南極と北極の氷が溶けたことによって発生した巨大津波は全世界を覆い尽くしていく。
劇中での世界連盟の計算では、全世界の30億人がこの津波で亡くなるという悲劇的な計算になっている(世界連盟やブルーフィクサーおよびバルディオスチームなどは生き残っていると思われ、全滅ではない)。
画像出典 『宇宙戦士バルディオス』第31話(最終話)「破滅への序曲 前篇」(1981年1月25日)劇中より