変遷するバンド、ジェネシス~寓話の世界からポップな世界へ
2019年6月23日 更新

変遷するバンド、ジェネシス~寓話の世界からポップな世界へ

「ジェネシスはもはやジェネシスではなくなった。ジェネシスの歴史は終焉となるだろう」誰もがそう思った1975年。中心的なメンバーでジェネシスの看板であった、ピーター・ガブリエルが突如脱退しました。 いくつもの進化を遂げてきたバンド。アコースティックなデビューからスリラー番組を見ているような怪奇さを感じさせ、物語風でシンフォニックな音楽を味わせてくれる唯一のバンド。それがジェネシスです。

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ジェネシス誕生

1970年代はプログレッシブロックの全盛期。ピンフ・ロイド、イエス、エマーソン・レイク&パーマー、キング・クリムゾンと並んで、5大プログレバンドに名を馳せたジェネシスには、また違った趣がただよっていました。
時は1967年、有名プロデューサーに送ったデモテープが目にとまり、設備の整ったスタジオを1時間だけ借りることに成功した若者たちは、デビューのチャンスを得る事ができたのです。
グループ名も「Genesis」と決まっていました。しかし、アメリカに同名のバンドが活動していたため彼らのファーストアルバム「創世記」には、彼らの名前はクレジットされませんでした。しかも評価もイマイチでランキングは170位という散々な結果に。
しかし、次作の「侵入」で変化を見せます。長い楽曲と複雑な構成は、以降のジェネシスの方向性を感じさせるアルバムとなったのです。フィル・コリンズというジェネシスの代名詞といえるメンバーを迎えたのもこの頃です。

寓話な世界へ誘う神秘的なサウンド

音楽界にジェネシスの名前を知らしめたサードアルバム「怪奇骨董音楽箱」。英タイトルのNURSERY CRYMENは、NerseryRhyme(子守唄)とCry(叫び)の造語ではないのでしょうか?少女がクリケットで人の頭を打っているというアルバムジャケットのデザインを見ただけで、イギリスの寓話を思い起こさせるようなおどろおどろしさを感じます。

Genesis - The Musical Box

5枚目のアルバム「月影の騎士(Selling England by The Pound)」では、イギリスをポンドで売ります!なんて大胆なタイトルが付けられています。この時の5人のメンバー、ピーター・ガブリエル(ヴォーカル/フルート)、トニー・バンクス(キーボード)、マイク・ラザフォード(ベース)、スティーブ・ハケット(ギター)フィル・コリンズ(ドラム)。 数々のメンバー変遷をたどってきたジェネシスですが、この時が、最もジェネシスらしい時期ではなかったのではないでしょうか。

Genesis - Firth Of Fifth

そして世界へ羽ばたく

新たなヴォーカルのフィル・コリンズは、ファンの不安を一掃させるに十分なパフォーマンスを披露し、抜けた穴は見事に修復されていました。今までに見られなかったリズム感も出てきて、むしろ広がりを見せてきたと言ってもいいくらいです。
 8枚目のアルバム「静寂の嵐」の題名は、有名な小説「嵐が丘」から名付けられました。
ストーリーのある劇場型芝居を想像させるような詩とメロディを持ちながら、イギリスの古い寓話を彷彿させる展開をしていきます。

Eleventh Earl Of Mar

そして3人が残った

その後、スティーブ・ハケットが脱退することとなりトリオ編成となって後に発表された9枚目のアルバム「そして3人が残った」では、ポップな路線へと変化していきました。その結果、皮肉なことに、3人になってから商業的な成功を収めるようになり、この3年後のアルバム「デューク」で全英1位、全米11位に、翌年の「アバカブ」では、全英1位、全米でも7位を記録しました。

Genesis - Turn It on Again

これ以降のジェネシスは、ポップバンドと変化していきます。この評価は様々だと思います。古き良き時代(?)からのファンは、はたしてどう思っているのか?かってジェネシスの象徴といわれたピーター・ガブリエルは、自分の脱退後にセールスの成功を収めた古巣に何を感じているのか?

令和を迎えたこの時代には、ジェネシスは活動していませんが、間違いなく言えることは、今も昔もジェネシスのファンは、どの時代のジェネシスも大好きだということです。
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