90年代前半に流行したあるあるネタ『マーフィーの法則』
1993年に株式会社アスキーから刊行され、ベストセラー化した『マーフィーの法則 現代アメリカの知性』。90年代前半のあるあるネタとしてヒットした。
マーフィーの法則とは、「失敗する可能性のあるものは、失敗する。」に代表される、人が生活する上でおおよそ体験しているであろう「経験則」や「法則」を端的な言葉で言い当てた一種のユーモアである。
実際には、アメリカ発の『マーフィーの法則』だが、1980年頃から日本のコンピュータ関係者を中心に、特にアスキーのパソコン雑誌掲載などを通じて知られてはいた。
1981年の時点で『生きるにも技術がいる-人生工学の発想』にて紹介されていた例があり、1988年には『コンピュータ虫辞林』で紹介されていた。
マーフィーの法則とは、「失敗する可能性のあるものは、失敗する。」に代表される、人が生活する上でおおよそ体験しているであろう「経験則」や「法則」を端的な言葉で言い当てた一種のユーモアである。
実際には、アメリカ発の『マーフィーの法則』だが、1980年頃から日本のコンピュータ関係者を中心に、特にアスキーのパソコン雑誌掲載などを通じて知られてはいた。
1981年の時点で『生きるにも技術がいる-人生工学の発想』にて紹介されていた例があり、1988年には『コンピュータ虫辞林』で紹介されていた。
via s.eximg.jp
基本的には、前述の経験則やそれらから導き出された法則をユーモラスにまとめたものだが、「認知バイアス」(ある対象を評価する際に、自分の利害や希望に沿った方向に考えが歪められたり、対象の目立ちやすい特徴に引きずられて、ほかの特徴についての評価が歪められる現象)の側面から見れば、それらをサンプルとして捉えることが可能なものもある。
また、人の生き方を戒めるような格言としても有効な内容もあった。
また、人の生き方を戒めるような格言としても有効な内容もあった。
実在した”マーフィー”
マーフィーは人名で「エドワード・アロイシャス・マーフィーJr.」を指します。彼は優秀なエンジニアで、1949年米カリフォルニア州にあるエドワーズ空軍基地に勤務していました。
あるとき、テスト飛行中の機の重力測定装置に異常が発生します。原因を調べると誰かが設定を間違えていたのです。マーフィーJr.はこれを発見し、
「いくつかの方法があって、1つが悲惨な結果に終わる方法であるとき、人はそれを選ぶ」*
と言いました。この発言が、空軍の記者懇談会で披露されて広まりました。ここにマーフィー的なものの規範が示されたのです。以降、多くの「法則」が現れ、過去の偉人の発言の中にもマーフィー的な法則が発見され、集積されました。
1990年にはアメリカでマーフィーの法則を集めた『The Complete Murphy's Law』(Arthur Bloch著)が刊行されます。
どういった法則があったっけ?
●危機的状況とは「すべてなかったことにしよう」と言えないときである。
(同書P.29より)
●スケジュールどおりに完成するものはなく、予算の枠内に収まるものもない。
(同書P.84より)
●議論に値する問題は、回避に値する。
(同書P.59より)
●品質は、開発に残された時間に反比例する。
(同書P.89より)
●徹夜で仕上げた急ぎの仕事は、少なくとも2日は必要とされない。
(同書P.91より)
※文中の「同書」は、『マーフィーの法則 現代アメリカの知性』のこと。
●バカでも間違いなく使用できるシステムを考案すると、バカだけが使用したがる。
(同書P.95より)
●機械は、動かないことを誰かに見せようとすると、動く。
(同書P.97より)
●経験の豊かさは、壊した機械の数に比例する。
(同書P.100より)
●遅れの出ているソフトウェア開発プロジェクトに人員を追加すると、さらに遅れる。
(同書P.119より)
●学期末レポートの完成に不可欠な文献や学術誌は、図書館から紛失している。
※文中の「同書」は、『マーフィーの法則 現代アメリカの知性』のこと。
宮部みゆきの『模倣犯』でも協力者としてあげられるなど活躍した精神科医の高橋紳吾は、『マーフィーの法則』には経験法則や帰納が陥りやすい実例がある、と書いたという。
例えば「洗車しはじめると雨が降る」という言葉に共感する人がいる。その人は過去に、洗車しはじめてすぐに雨が降ったという出来事の印象を引きずっているのが原因だという。実際は洗車しても雨が降らない場合の方が多い。
また、もしマーフィーの法則が正しければ、「雨を降らせたいので洗車しよう」という言葉が引き出せることになる、と主張したという。
他にも心理学者の多湖輝は、深層心理学の世界では、「法則11 = 挨拶をトチリそうだと思っている人は本当にトチる」のように、人は自己暗示などによって思わぬ行動に出てしまうことがあることを指摘している。
さらに心理学者の青木智子はユングの「トリックスター理論」から分析を試みるなどし、これらの専門家による分析や意見は、同書の影響力を物語っている。
例えば「洗車しはじめると雨が降る」という言葉に共感する人がいる。その人は過去に、洗車しはじめてすぐに雨が降ったという出来事の印象を引きずっているのが原因だという。実際は洗車しても雨が降らない場合の方が多い。
また、もしマーフィーの法則が正しければ、「雨を降らせたいので洗車しよう」という言葉が引き出せることになる、と主張したという。
他にも心理学者の多湖輝は、深層心理学の世界では、「法則11 = 挨拶をトチリそうだと思っている人は本当にトチる」のように、人は自己暗示などによって思わぬ行動に出てしまうことがあることを指摘している。
さらに心理学者の青木智子はユングの「トリックスター理論」から分析を試みるなどし、これらの専門家による分析や意見は、同書の影響力を物語っている。
via www4.tokai.or.jp
研究対象となり、その研究が1996年のイグノーベル賞を受賞した!
落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する
ユーモアに溢れていて、マーフィーの法則の中でも特に秀逸な「法則」としてしばしば引用されるものである。
(これをあまり真面目に分析する必要は無いというのに)アストン大学のロバート・マシューズは「トーストの転落 マーフィーの法則と基本的定数」という論文を発表した。
彼はその論文の中で通常のテーブルを使用した時ほとんどの場合にバターを塗った面が下になることを証明し、バターを塗った面を上にして着地させるためには高さ3メートル以上のテーブルを使うべきだという結論を出した。
マシューズはこの功績により1996年にイグノーベル賞を受賞した。(無論、真面目に論ずる必要は全く無いが、あえて言えば)バター面が下になる確率が何に比例するのかというと、「カーペットの値段」ではなく、テーブルの高さ(や初動時バター面が上を向いている事や滑り落ち方)ということに成りはする。
1991年に創設!イグノーベル賞!ハトに絵の区別をさせる実験やジッパーに挟んだペニスの応急処置など! - Middle Edge(ミドルエッジ)
1991年に「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるのを目的として創設されたイグノーベル賞。日本人ではドクター中松氏らが受賞。たまごっちやバウリンガルも受賞している”裏ノーベル賞”を特集する。