思い出の「昭和有名人伝記マンガ劇場」:第12回 燃える闘魂!『アントニオ猪木物語』80年代編
2018年7月3日 更新

思い出の「昭和有名人伝記マンガ劇場」:第12回 燃える闘魂!『アントニオ猪木物語』80年代編

プロレスラーの象徴ともいえる「アントニオ猪木」前回は、新日本プロレス旗揚げ直後の1974年に、「別冊少年チャンピオン」に掲載された伝記漫画をとりあげたが、今回はタイガーマスクの登場に沸いた1980年代のプロレスブーム期に発表された、『実録まんが・アントニオ猪木』を振り返ってみよう。

3,772 view
前回取り上げた、新日本プロレス旗揚げ直後の1974年に、「別冊少年チャンピオン」に掲載された伝記漫画『アントニオ猪木物語』。
1974年当時のアントニオ猪木への社会的な関心度が良く分かる内容だったが、格闘技世界一決定戦に挑む前の時代に描かれた物だけに、やはり内容的に物足りなさを感じてしまうのは、ファンとしては仕方がないところだ。
燃える闘魂、アントニオ猪木!

燃える闘魂、アントニオ猪木!

そこで今回は、タイガーマスクの登場に沸いた1980年代のプロレスブーム期に発表された、『実録まんが・アントニオ猪木』を振り返ってみようと思う。

『実録まんが・アントニオ猪木』概略

コミックスの表紙と裏表紙

コミックスの表紙と裏表紙

実は雑誌への掲載ではなく、学研が当時出版していたアイドルコミックスの中の一冊として、1983年に単行本として出版されていた本作。作者は、いけうち誠一先生。新日本プロレスの全面協力で描かれるその中身は、アントニオ猪木の自伝部分だけでなく、当時の人気レスラーへのインタビューや、猪木への30の質問、猪木年表にトレーニング密着ルポなどなど、今見返してもプロレスファン大満足の内容となっているのが素晴らしい!
見よ、このラインアップ!

見よ、このラインアップ!

実はこの学研のアイドルコミックスシリーズの中には、当時の人気アイドルだった松本伊代や掘ちえみ・早見優などに加えて、何故か当時の人気プロレスラーであるタイガーマスクや藤波辰巳・長州力の自伝漫画も含まれていた。
当時のプロレス人気が、どれほど若者の間に浸透していたかが良く分かるこのラインアップだが、果たしてこの伝記漫画の中では、一体どんなエピソードが披露されていたのだろうか?

『実録まんが・アントニオ猪木』内容紹介

本作の扉絵

本作の扉絵

現在の猪木の視点からも、その生い立ちが語られる。

現在の猪木の視点からも、その生い立ちが語られる。

当時の横浜でも1,2を争う大金持ちだった猪木の実家だが、70年代版伝記漫画で描かれたいかにも現代風の裕福そうな描写とは違い、本作では昭和20年代という時代背景に忠実に描かれている。父の急死や祖父が家族の面倒を見ることになる部分は、前回紹介した70年代版の伝記漫画とほぼ同じだが、猪木一家がブラジルに渡る理由が、父が亡くなって家業が上手く行かなくなり、生活の建て直しのためのブラジル行きだったことが語られている。
祖父の命を奪った、青いバナナ!

祖父の命を奪った、青いバナナ!

70年代編と同様に、父を亡くした猪木一家はブラジルへの移民を決意することになる。
長い船旅で祖父の容態が悪くなり、船旅の途中で急死するのは同じなのだが、本作の特徴はその死因が描かれている点だろう。元々慣れない船旅で体調を崩していたところに、猪木たちが上陸して買い込んだ青いバナナを食べて当たってしまった、という衝撃の死亡理由!
祖父の遺体がそのまま海へと流されてしまったというエピソードは登場しないが、こうした他のアントニオ猪木伝記漫画と違う独自の情報が描かれている本作。
さすが、新日本プロレス全面協力で描かれただけのことはある。
ブラジル着いた一家を待ち受ける過酷な現実!

ブラジル着いた一家を待ち受ける過酷な現実!

電気もトイレも無い家とは!
軍手が破れて血だらけの手でコーヒー豆を収穫。

軍手が破れて血だらけの手でコーヒー豆を収穫。

やはりこのエピソードが無いと、猪木の自伝じゃ無い!
寝る間も惜しんで働き、ついに独立!

寝る間も惜しんで働き、ついに独立!

実はここも70年代版とは違い、ブラジルに着いてからの過酷な農場での労働に多くのページ数を割いている本作。
希望の新天地だったはずのブラジルでの生活が、実際は奴隷並の扱いを受ける農場の小作人でしかなかったという事実に加え、コーヒー豆の収穫で軍手が破れて手が血だらけになるという、ファンには良く知られたエピソードもちゃんと登場するのが嬉しい、
やはりこのブラジル時代の苦労話が描かれないと、この後の力道山からのシゴキに耐える猪木に説得力が生まれないのだ!
帰国した猪木のプロフィールがとんでもないことに!

帰国した猪木のプロフィールがとんでもないことに!

日本人なのに、ブラジルの日系二世にされていた・・・。
あまりに過酷な先輩レスラーたちのシゴキ!

あまりに過酷な先輩レスラーたちのシゴキ!

27 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

思い出の「昭和有名人伝記マンガ劇場」:第11回 燃える闘魂!『アントニオ猪木物語』70年代編

思い出の「昭和有名人伝記マンガ劇場」:第11回 燃える闘魂!『アントニオ猪木物語』70年代編

金曜夜8時「ワールド・プロレスリング」で繰り広げられた、数々の名勝負が記憶に刻み込まれているプロレス、そしてアントニオ猪木。過去に何度も発表されているアントニオ猪木の自伝漫画化の中から、70年代に発表された漫画『アントニオ猪木物語』をご紹介。
滝口アキラ | 2,862 view
Gスピリッツがアントニオ猪木追悼増刊号を緊急刊行『〝燃える闘魂〟アントニオ猪木』発売!

Gスピリッツがアントニオ猪木追悼増刊号を緊急刊行『〝燃える闘魂〟アントニオ猪木』発売!

Gスピリッツがアントニオ猪木追悼増刊号を緊急刊行。関係者の回想、猪木のインタビュー再録集、あのモハメド・アリ戦に代表される「格闘技世界一決定戦」の検証記事などを貴重な写真と共にオールカラーで掲載しています。
アントニオ猪木の「純プラチナ製」フィギュアが登場!タイガー・ジェット・シンと上田馬之助のTシャツも好評発売中!!

アントニオ猪木の「純プラチナ製」フィギュアが登場!タイガー・ジェット・シンと上田馬之助のTシャツも好評発売中!!

アントニオ猪木のリングデビュー60周年を記念した1/48スケールの純プラチナ製(プラチナ99.9%)フィギュアが現在予約受付中です。また、新日本プロレスに君臨したタイガー・ジェット・シンと上田馬之助のTシャツも好評発売中となっています。
隣人速報 | 993 view
思い出の「昭和有名人マンガ劇場」:第10回 ルーマニアの白い妖精『コマネチ物語』!

思い出の「昭和有名人マンガ劇場」:第10回 ルーマニアの白い妖精『コマネチ物語』!

僅か14歳ながら、モントリオール・オリンピックの大舞台で次々と10点満点を連発し、最年少での個人総合優勝を果たしたナディア・コマネチ。「白い妖精」と呼ばれたその姿は、今でも覚えている人は多いでしょう。今回はそのナディア・コマネチの伝記漫画である『コマネチ物語』を紹介します!
滝口アキラ | 3,067 view
プロレス総選挙2017順位結果発表!&マツド・デラックス的プロレス総選挙!その1日本人ヘビー級編

プロレス総選挙2017順位結果発表!&マツド・デラックス的プロレス総選挙!その1日本人ヘビー級編

WBCの延長で放送時間がゴールデンから一気に深夜番組となってしまった「プロレス総選挙2017」!!こんな結果だったと言うお知らせとマツド・デラックス的にあたしの独断でそれぞれの部門のベスト10を作ってみたわ!これはひとそれぞれ好きな人が違うから皆ににも投稿してもらいたいわよ!

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト