前回取り上げた、新日本プロレス旗揚げ直後の1974年に、「別冊少年チャンピオン」に掲載された伝記漫画『アントニオ猪木物語』。
1974年当時のアントニオ猪木への社会的な関心度が良く分かる内容だったが、格闘技世界一決定戦に挑む前の時代に描かれた物だけに、やはり内容的に物足りなさを感じてしまうのは、ファンとしては仕方がないところだ。
1974年当時のアントニオ猪木への社会的な関心度が良く分かる内容だったが、格闘技世界一決定戦に挑む前の時代に描かれた物だけに、やはり内容的に物足りなさを感じてしまうのは、ファンとしては仕方がないところだ。
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そこで今回は、タイガーマスクの登場に沸いた1980年代のプロレスブーム期に発表された、『実録まんが・アントニオ猪木』を振り返ってみようと思う。
『実録まんが・アントニオ猪木』概略
実は雑誌への掲載ではなく、学研が当時出版していたアイドルコミックスの中の一冊として、1983年に単行本として出版されていた本作。作者は、いけうち誠一先生。新日本プロレスの全面協力で描かれるその中身は、アントニオ猪木の自伝部分だけでなく、当時の人気レスラーへのインタビューや、猪木への30の質問、猪木年表にトレーニング密着ルポなどなど、今見返してもプロレスファン大満足の内容となっているのが素晴らしい!
実はこの学研のアイドルコミックスシリーズの中には、当時の人気アイドルだった松本伊代や掘ちえみ・早見優などに加えて、何故か当時の人気プロレスラーであるタイガーマスクや藤波辰巳・長州力の自伝漫画も含まれていた。
当時のプロレス人気が、どれほど若者の間に浸透していたかが良く分かるこのラインアップだが、果たしてこの伝記漫画の中では、一体どんなエピソードが披露されていたのだろうか?
当時のプロレス人気が、どれほど若者の間に浸透していたかが良く分かるこのラインアップだが、果たしてこの伝記漫画の中では、一体どんなエピソードが披露されていたのだろうか?
『実録まんが・アントニオ猪木』内容紹介
当時の横浜でも1,2を争う大金持ちだった猪木の実家だが、70年代版伝記漫画で描かれたいかにも現代風の裕福そうな描写とは違い、本作では昭和20年代という時代背景に忠実に描かれている。父の急死や祖父が家族の面倒を見ることになる部分は、前回紹介した70年代版の伝記漫画とほぼ同じだが、猪木一家がブラジルに渡る理由が、父が亡くなって家業が上手く行かなくなり、生活の建て直しのためのブラジル行きだったことが語られている。
70年代編と同様に、父を亡くした猪木一家はブラジルへの移民を決意することになる。
長い船旅で祖父の容態が悪くなり、船旅の途中で急死するのは同じなのだが、本作の特徴はその死因が描かれている点だろう。元々慣れない船旅で体調を崩していたところに、猪木たちが上陸して買い込んだ青いバナナを食べて当たってしまった、という衝撃の死亡理由!
祖父の遺体がそのまま海へと流されてしまったというエピソードは登場しないが、こうした他のアントニオ猪木伝記漫画と違う独自の情報が描かれている本作。
さすが、新日本プロレス全面協力で描かれただけのことはある。
長い船旅で祖父の容態が悪くなり、船旅の途中で急死するのは同じなのだが、本作の特徴はその死因が描かれている点だろう。元々慣れない船旅で体調を崩していたところに、猪木たちが上陸して買い込んだ青いバナナを食べて当たってしまった、という衝撃の死亡理由!
祖父の遺体がそのまま海へと流されてしまったというエピソードは登場しないが、こうした他のアントニオ猪木伝記漫画と違う独自の情報が描かれている本作。
さすが、新日本プロレス全面協力で描かれただけのことはある。
実はここも70年代版とは違い、ブラジルに着いてからの過酷な農場での労働に多くのページ数を割いている本作。
希望の新天地だったはずのブラジルでの生活が、実際は奴隷並の扱いを受ける農場の小作人でしかなかったという事実に加え、コーヒー豆の収穫で軍手が破れて手が血だらけになるという、ファンには良く知られたエピソードもちゃんと登場するのが嬉しい、
やはりこのブラジル時代の苦労話が描かれないと、この後の力道山からのシゴキに耐える猪木に説得力が生まれないのだ!
希望の新天地だったはずのブラジルでの生活が、実際は奴隷並の扱いを受ける農場の小作人でしかなかったという事実に加え、コーヒー豆の収穫で軍手が破れて手が血だらけになるという、ファンには良く知られたエピソードもちゃんと登場するのが嬉しい、
やはりこのブラジル時代の苦労話が描かれないと、この後の力道山からのシゴキに耐える猪木に説得力が生まれないのだ!