サザン・桑田関連楽曲で、要注意歌謡曲に指定された楽曲は1つもない
サザンオールスターズ及び桑田佳祐の楽曲には、過激でエロい曲が多々あります。『マンピーのG☆SPOT』『エロティカ・セブン』『ボディスペシャルⅡ』『女呼んでブギ』など、枚挙に暇がありません。しかし、意外にもオフィシャルで放送禁止歌扱いになった楽曲は1つもありません。
1959年に民放連が定めた「放送音楽などの取り扱い内規」の条項には毀損条項、身障者条項、暴力・ヤクザ条項など、計10個の条項が設けられていましたが、その中の1つにもちろん、「エロ・グロ条項」というのもありました。しかし、そこにサザン楽曲が入ることはなかったのです(制度自体は1983年に廃止された)。
1959年に民放連が定めた「放送音楽などの取り扱い内規」の条項には毀損条項、身障者条項、暴力・ヤクザ条項など、計10個の条項が設けられていましたが、その中の1つにもちろん、「エロ・グロ条項」というのもありました。しかし、そこにサザン楽曲が入ることはなかったのです(制度自体は1983年に廃止された)。
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「歌詞の一部がワイセツだから」放送禁止になった『I Love Youはひとりごと』
しかし、桑田が作詞・作曲した原由子のソロデビューシングル『I Love Youはひとりごと』(1981年)は、見事に(?)放送禁止に処されています。理由は「歌詞の一部がワイセツだから」とのこと。
同曲は渋谷円山町のモーテルに入った女が、一緒に入った男と行為に及び、その所感をアレコレ述べているような内容となっています。たしかにエロい。しかし、他の桑田曲は大丈夫なのに、なぜこれだけ?と首を捻らずにはいられないのも事実です。
同曲は渋谷円山町のモーテルに入った女が、一緒に入った男と行為に及び、その所感をアレコレ述べているような内容となっています。たしかにエロい。しかし、他の桑田曲は大丈夫なのに、なぜこれだけ?と首を捻らずにはいられないのも事実です。
「情熱のORAL SONGが上昇中!!」と当時のプレイボーイ誌に掲載される
1981年6月19日号の『週刊プレイボーイ』に、『I Love Youはひとりごと』の放送禁止措置を伝える記事があります。そこには原の写真と共に「“オーラル”なんて露骨かしら!?」「情熱のORAL SONGが上昇中!!」との見出しが掲載。
当時の民放連が具体的にどの部分を指してワイセツだと断罪したのかは、定かではありません。しかし、プレイボーイ誌をはじめ世間から「ORAL SONG」と評される原因となった歌詞の一部分はたしかに過激でした。
当時の民放連が具体的にどの部分を指してワイセツだと断罪したのかは、定かではありません。しかし、プレイボーイ誌をはじめ世間から「ORAL SONG」と評される原因となった歌詞の一部分はたしかに過激でした。
やさしいだけの男より 情熱の ORAL
ちょっと待ってよ いっちゃいそうは ひそやかに
明らかに男女のアノ行為を描写していると思しき一節。他にも「私好みのサイズであっても」「私のけぞるフリをする」などのワードが並ぶ同曲ですが、明らかにハイライトシーンはこのワンフレーズです。
白昼堂々原宿のホコ天で、サザンのメンバーが抗議デモを行う
紛れもなく、『I Love Youはひとりごと』はエロい歌です。だからといって、要注意歌謡曲に指定するのは明らかにやり過ぎ。そもそも、この曲よりもワイセツな歌など、ポルノ系女優が歌う楽曲とかでいくらでもあるのに、なぜこれだけがやり玉に挙げられるのか、正直理解に苦しみます。
作者である桑田もこの処分には相当ご立腹だったらしく、原宿の歩行者天国でサザンのメンバー・スタッフの男性陣と共にオカマの格好をして「レコードをかけろ!」と、白昼堂々デモ行進を敢行します。さらには、原宿にあるビクタービル屋上で、抗議の意味を込めたゲリラライブまで演りだすものだから、周囲はパニック状態に。警察が出動するまでの騒ぎへと発展したのでした。
単純に不平・不満を露わにするのではなく、メディアで話題になったのをいいことに、これを利用してプロモーションを行ってしまおうという、当時のサザン及びアミューズの商魂と反骨精神が垣間見えるというものです。
作者である桑田もこの処分には相当ご立腹だったらしく、原宿の歩行者天国でサザンのメンバー・スタッフの男性陣と共にオカマの格好をして「レコードをかけろ!」と、白昼堂々デモ行進を敢行します。さらには、原宿にあるビクタービル屋上で、抗議の意味を込めたゲリラライブまで演りだすものだから、周囲はパニック状態に。警察が出動するまでの騒ぎへと発展したのでした。
単純に不平・不満を露わにするのではなく、メディアで話題になったのをいいことに、これを利用してプロモーションを行ってしまおうという、当時のサザン及びアミューズの商魂と反骨精神が垣間見えるというものです。
大阪のオカマBettyちゃんに提供された曲だった
ちなみに、デモ行進でなぜオカマの格好をしていたのかというと、『I Love Youはひとりごと』が、もともとは大阪のオカマママ「Bettyちゃん」のために書かれた楽曲だったことと関係しています。このBettyちゃんは、桑田が「男と女のハーフ」⇒「ニューハーフ」という今では慣用表現になった新語を生み出すきっかけとなった人としても有名。後に彼女名義の『I Love Youは…』もリリースされています。
この放送禁止措置が、桑田のエロ楽曲づくりに影響を与えたのは、間違いありません。『I Love Youは…」騒動以降、初期の頃は「女呼んで抱いてもんでいい気持ち~♪」(女呼んでブギ)と直接的な表現で歌っていたのに、「愛し君のshyなMan Callで」と「Man Call」で女性の秘部を暗示してみたり(ボディスペシャルⅡ)、「I am sorrow」「turn to show」「I am O.K.」という歌詞を「早漏」「短小」「包茎」と歌ってみたり(Let's Take a Chance)と、実に巧妙になっていったのです。桑田の芸の幅が広がったということで、ある意味、民放連は良い仕事をしたのかも知れません。
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(こじへい)
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