中梅楼の生活やしきたりを覚え始めた頃、とうとう久乃にも娼妓営業の鑑札が下り、「若汐」という源氏名を貰う。初見せは九重が後見人として名乗りをあげ、自分のなじみ客の中でも上客ばかりを揃えお座敷を段取りし、若汐の初見せを盛り上げようとした。
via けん
☆「私が今からあんたにする事と同じ事を私にもしてごらん」☆
先輩女郎で親しくしてきた菊川が「稼ぎが悪い」と品川の遊郭に移されることになった。若汐となっても「菊ちゃん」「久ちゃん」と呼び合う仲だっただけに寂しさは抑えられない。そして、稼げなければ自分も同じようになると身につまされた。
via けん
ある夜、若汐に指名客が入る。先代の急死で古島財閥の若き当主となった伸輔だった。「なんでそんなお方が若汐を知ってるんだ?」と首をかしげる女将たち。「なんでも、前に会った事があるそうですよ。」「?」確かに2人は一度前に会っていた。伸輔は、初見せで逃げ出した若汐を助けようとした救世軍の青年だった。
via けん
花魁を総揚げ(貸し切り)し、大盤振る舞いした伸輔。中梅楼の面々は女将を筆頭に「若さん」、「若さん」と大喜び。それが面白くないのは吉里だ。野口が借金で首が回らないという噂が流れていて、すでに中梅楼の中では上客扱いされなくなってきたからだ。
via けん