少年ライフル魔事件・片桐操が事件を起こすまで。元死刑囚・永山則夫との違いとは?
2021年10月30日 更新

少年ライフル魔事件・片桐操が事件を起こすまで。元死刑囚・永山則夫との違いとは?

1965年に起こった未成年による少年ライフル魔事件は日本の銃規制が進んだ発端となった事件です。犯行に及んだ片桐操の人物像、そして家族との関わりやこの事件に大きく影響された元死刑囚・永山則夫との共通と違いもあわせてまとめていきます。

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少年ライフル魔事件とは

少年ライフル魔事件は渋谷銃乱射事件とも言われ、1965年7月29日に当時18歳の片桐操が起こした事件です。

片桐操は警官一人を射殺し、もう一人の警官も撃ち重傷を負わせ逃亡。その後、多くの人が行きかう渋谷の銃砲店で人質をとりライフル銃を乱射、警察官との間で銃撃戦となり、警官、通行人や報道陣を含む16人を負傷させ、逮捕されました。

この事件の大きな関心は犯人が未成年であったこと、そして死亡者1名で死刑判決がでたことでした。

片桐操の家庭環境・人物像

片桐操の実家は東京都世田谷区にあり、4人兄弟の末っ子として生まれています。父親は元陸軍上等兵で実の母親は片桐操が小学校4年生の頃に病気で亡くなっています。家庭は裕福で何不自由なく育てられていました。

ただ小学校5年生になるころには早くも父親は新しい妻を家に迎え入れていますが
片桐操と継母との関係は悪くなかったようです。

片桐操自身は勉学は好きではなかったのか成績は良くなったのですが体型には恵まれていたということです。ただ内向的な性格のせいで仲のいい友達と言うのはいなかったので一人で遊ぶことも多かったのではないでしょうか。

片桐操の家族がヤバイ!

片桐操は子供のころから”銃”に興味を持っていました。元軍人だった父親の影響でしょうか。小学校5年生の時には傘を改造したピストルを作り、花火の火薬を使い中にビー玉を詰めて飛ばして遊んでいたそんな少年でした。

片桐操は中学生の時におもちゃの銃を父親からのプレゼントされます。おもちゃと言いながら当時の金額で4500円、現在でいうと18000円ほどのものなので見た目はそれっぽく見えたのかもしれません。

それでもホンモノが欲しいとせがむ息子に父親はこう言います『10万円くらいの銃ならいつでも買ってやる。』それと同時にこんなことを告げたと言います。『間違っても銃で人を殺すな。そんなことをするなら自分が死ね』人として厳しく躾をしていたということですが、ここで思うのは「厳しい躾」と「危険なものを買い与えてしまう」という矛盾です。

ますます銃への興味や執着心が大きくなっていく構図が出来てしまい、それをさらに現実への扉に近づけてしまったのがあるプレゼントでした。

姉は片桐操の中学校卒業のお祝いにと、当時35000円したという本物のライフル銃と4000円の照準器をプレゼントします。

いくら1960年代初めの時代だと言え、中学校を終えたばかりの未成年者に本物の銃を、しかも実弾はないとはいえ、照準器も一緒に渡すことで、標的を見据えて構えることはできてしまう状況を作ってしまったのです。

ライフル銃の名義を未成年者の片桐操自身が持つことはできなかったために姉の名義でした。このプレゼントがその後に起こる出来事に大きく後悔させられることになるのです。


銃への異常な執着心

もともと銃に大きな興味を持った少年が本物のライフル銃を簡単に手にし実際に「撃ってみたい」「撃ちたい」と思うのも自然なことだったと思われます。

片桐操は中学校卒業後、進学していません。裕福な家庭だったにもかかわらず、高校への進学をしなかったのは家族に経済的な負担をかけたくないと表向きの理由があった様ですが、子供の遊び道具に10万円くらいの銃ならいつでも買ってやると言った父親、中学校の卒業の祝いに35000円のライフル銃をプレゼントした姉を思うと、経済的な負担がどうのと片桐操が思うのには矛盾があります。

どちらかと言うと、勉強が嫌いだったことと銃への執着が進学意欲を妨げたのではないでしょうか。そして進学せずに銃を撃ちたいという気持ちの矛先を堂々と銃を扱うことが出来る職業ということで自衛隊に向け志願します。ところが自衛隊試験に落ちてしまい、目標を失ってしまいます。
その後、片桐操は、自動車修理工の見習いとして働き始めますが長続きはしませんでした。次に貨物船のコックの見習いの職に就き18歳を迎えることとなります。そしてやっと、15歳の時にもらったものの、名義が姉のままだったライフル銃をようやく自分名義にします。この時は貨物船のコックの仕事を有給で休み実家に戻っています。

その時、自分で銃の購入もしています。そして有給が終わっても仕事に戻ることなくそのまま辞めているので事件を起こした時には無職だったということです。

事件の動機

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幼い頃から銃マニアで家族からも買い与えられたこと、大きくなっても銃への思い入れが収まらず、自分で手製の銃を作ったり、射撃場に通いを趣味にしていた片桐操。

片桐操の憧れはバイオレンス小説の『野獣死すべし』に写し出されていたようです。実際に自分も小説の中で起こっていることをやってみたいという衝動にかられます。それが事件を起こす動機だったと言います。
怜悧な頭脳、端正な容貌と猛獣のような体躯を持つ非情の男伊達邦彦を描くハードボイルド小説の傑作。
『1958年、大藪春彦のデビュー作として発表されたハードボイルド小説』で1980年には松田優作主演で映画化され、ハードボイルド作品の代表とも言われている作品です。

逮捕後の衝撃発言

片桐操は逮捕後、どれだけ銃を撃ちたかったんだ?と思う供述をしています。

『色んな銃を撃ちまくることができて、 たまっていたものを全部吐き出せスカッとした気分だ。 どうせ刑務所に入るんだろうから、代わりにベトナムに行きたい。 ベトナム戦争で好きなガンを思いっきり撃つことができるのなら死んでもいい』と述べています。

1965年7月29日、18歳の片桐操が起こした少年ライフル魔事件で人質を取り銃撃戦となった現場「ロイヤル銃砲火薬店」。

偶然にもこの渋谷の事件をすぐ近くが職場だったために目撃していたと言われているのがのちに銃による殺人事件を起こし死刑囚となった永山則夫でした。

影響を受けた元死刑囚・永山則夫

のちに永山則夫連続射殺事件を引き起こす少年だった永山則夫が、渋谷のロイヤル銃砲火薬店の近くで働いていたことで18歳の少年・片桐操が起こした少年ライフル魔事件の騒ぎを目撃したと言われています。
永山則夫が起こした「永山則夫連続射殺事件」とは、少年ライフル魔事件の約3年後、当時19歳だった永山則夫が東京都・京都府・北海道・愛知県の4都道府県にまたがり、拳銃で起こした連続殺人事件です。

同じ10代の青年の犯行と言うことで日本中に再び衝撃が走った大きな事件でした。

片桐操と永山則夫の共通点と決定的な違い

永山則夫は盗みに入った横須賀基地で偶然、子供のころから憧れていた拳銃を手にしてしまったことで人生を狂わせてしまいます。
『手にした感触がよかった』『「長い間求めていた本当の友達」にようやく出会ったような気がした』と供述しています。

ここに片桐操と同じように子供のころから「銃」に興味があったということです。ただこれだけなら同じように思っている子供が多くいてもおかしいことではありません。
ただ、テレビや本などで目にした銃が想像の中で興味を持ったりしても実際に手にする場面にならないのが普通です。

ただ片桐操と永山則夫は実際に手にしてしまったことで銃への憧れがどんどん膨らんでいったという共通点があります。

そして決定的に違うのは、家庭環境と家庭の経済状況です。片桐操は裕福な家庭で生まれ育ち、母親が早くに亡くなっていますが、継母との関係も悪くなかった。
それに対して永山則夫は親のネグレクト、兄からの虐待を受ける、極貧生活を経験し、小学校、中学校とほとんど通っていない。自身も妹や姪に暴力をふるい不良少年たちとつるむ生活。窃盗で少年鑑別所に一時、収容されています。

簡単に言えば、高校は自分の意志でいかずにいたが裕福な家庭で家族からの愛情も受けていた片桐操と、親や兄弟からの愛情を受けず、義務教育さえまともに受けることが許されない環境にいた永山則夫との違いがありました。

片桐操裁判の結果

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