実力光る問題児ケンドー・カシン(石澤常光)のやりたい放題ヒストリー
2016年11月25日 更新

実力光る問題児ケンドー・カシン(石澤常光)のやりたい放題ヒストリー

誰もが認める実力の持ち主であるケンドー・カシン(石澤常光)がなぜか稀代の問題児となり、新日本プロレス、全日本プロレスでやりたい放題の大暴れ。そんな個性派レスラーのケンドー・カシンのヒストリーを追う。

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しかし、全日本プロレスでは少し遊び心が満載過ぎたかもしれない。
北斗晶との試合は面白かった。序盤は見事なグラウンドレスリングの攻防で、互いに技術の高さを見せる。
しかし途中から喧嘩プロレスになり、北斗晶が竹刀を持ち、カシンはイスを持ち、本気で竹刀とイスをぶつけ合い、怪我しないかヒヤヒヤした。
最後は犬猿の仲(設定?)の中西学が乱入し、カシンをなぎ倒す。

ケンドー・カシンと全日本プロレスが何やら揉めていることは、プロレス専門誌でも報じられていたが、詳しいことはよくわからなかった。
真剣に怒る全日本プロレスとパフォーマンスと毒舌を繰り返すケンドー・カシンという図式。
欠場したり、チャンピオンなのに防衛戦をやらなかったり。
そしてついに2004年、ケンドー・カシンは全日本プロレスを解雇されてしまった。
普通、本当にクビになるまで暴れるレスラーはいないので、カシンファンからしたら、そのシュートぶりに「さすがカシン」と感嘆するしかなかった。

2005年、再び新日本プロレスのリングに上がったケンドー・カシンは健在ぶりをアピールした。

チームジャパンVS新日本プロレス

チームジャパンVSニュージャパン

2005年6月19日、東京後楽園ホール。
今では絶対に実現不可能なカードが組まれていた。
2016年現在では到底実現不可能なカード。
天山広吉、西村修、棚橋弘至、中邑真輔VS永田裕志、中西学、藤田和之、ケンドー・カシン。
この8人がリング狭しと躍動する。どの組み合わせでも今なら夢の対決だ。
天山広吉のモンゴリアンチョップ! 中西学のアルゼンチンバックブリーカー!
西村修とケンドー・カシンがめまぐるしい技と技の応酬を見せて会場は大歓声。
藤田和之と中邑真輔の遭遇。
藤田は喧嘩プロレスもお手のもの。凄みながらの顔面ビンタからボディに膝蹴りは威圧感満点。
永田裕志のミドルキック! 棚橋弘至のドラゴンスクリュー!
試合終盤、西村修が藤田和之に猛攻。伝家の宝刀、スピニングトーホールドからの足4の字固め。
コブラツイストからの卍固め!
ローリングクラッチホールドからのジャパニーズレッグロッグ!
ファンクス、猪木、藤波。師匠が多い分技も多彩な西村修。
だが、一瞬のスリーパーホールドで形勢逆転。藤田のキャメルクラッチとスリーパーホールドの複合技で西村はたまらずタップアウト。
見応え十分なタッグマッチだった。

ケンドー・カシンはこの豪華な顔ぶれの中でも見せ場をつくる。
中西からカシンにタッチしたかと思ったら、何もしないですぐに永田にタッチ。永田は「何やってんだよ?」という表情で仕方なくリングイン。
西村と向かい合うカシンは、握手を求める。手を握った次の瞬間に金的蹴りをやる危険性があるので、西村は握手を拒否。
カシンは何もしないと観客にアピールするパントマイム。西村は警戒しながら握手したが、何もしなかった。
中邑真輔とケンドー・カシンの絡みが少なかったのは残念。飛びつき式腕十字の使い手同士だけに、簡単には交われなかったか。

スーパージュニア・ヒストリー

SUPER Jr. HISTORY

ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアの歴代王者紹介。
1988年から優勝決定戦のダイジェスト。
ケンドー・カシンも歴代王者の一人。1999年、金本浩二と決勝戦。
日本のジュニアヘビー級戦線は、本当にハイレベルだと思う。
ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアは、新日本プロレスの選手だけでなく、他団体からも参戦OKの大会だけに、毎年大熱戦が繰り広げられた。
今までの参戦メンバーを挙げても凄い顔ぶれだ。
獣神サンダー・ライガー、ブラック・タイガー、エル・サムライ、金本浩二、高岩竜一、垣原賢人、タイガーマスク、稔、井上亘、ミラノコレクションA.T.
この中でケンドー・カシンは、ジュニアヘビーのトップクラスとしてファイトしていた。改めて実力者だと思う。

カシンは体重87キロのジュニアヘビー級の選手だが、ヘビー級のレスラーとも堂々と渡り合う。
しばらく姿を見せないと思った漂流者カシンが、2007年にIGFのリングに登場し、あの世界のカート・アングルとシングルマッチで対戦した時は、ケンドー・カシンの実力の高さを思い知った。

ケンドー・カシンVSカート・アングル

 (1663245)

カート・アングルは1996年アトランタオリンピックのレスリングフリースタイル100kg級に出場し、見事金メダルを獲得。
総合格闘技でもマーク・ケア、マーク・コ-ルマンに勝利し、プロレスでもあのブロック・レスナーに勝っている実力者。
2007年12月20日、IGFのリングでは当初、カート・アングルVSブッカーTの試合が組まれていた。
しかしブッカーTが欠場したため、急遽代役を買って出たのが、何とケンドー・カシン!
カート・アングルの対戦相手がケンドー・カシンと発表された時、プロレスファンは大騒ぎだ。
立会人には白覆面の魔王・サ・デストロイヤー。さすがイノキゲノム。
放送席にはゲスト解説として永田裕志。
永田は翌年の1.4東京ドームでカート・アングルと対戦することが決まっている。
カシンを知らない格闘技ファンは、カート・アングルにとって消化試合くらいに思ったかもしれない。
しかしそうは問屋が大根おろしだ。
試合は、アングルとカシンの技と技の応酬。さすがはレスリング出身同士。めまぐるしいバックの取り合いだけで会場を湧かせる。
世界のアングル相手にカシンはいつも通り、試合中に握手を求める。アングルが応じて握手をするとキック!
エルボースマッシュ合戦はヘビー級のアングルが勝ったが、カシンはアングルに対しても十八番のタランチュラを敢行。
 (1663280)

これがカシンの十八番・タランチュラ(ぶら下がり式首4の字固め)だがもちろん反則技。
場外乱闘でも負けていないヒール・カシン。カシンがイスでアングルの脳天を殴打しようとした時、デストロイヤーがイスを両手でつかんで止めたので、予期せぬ出来事に焦るカシン。
リング上でも堂々の戦いぶり。アングルに恐れなくキックを見舞うカシン。
アングルがコーナーポストに上がると、カシンの必殺技、飛びつき式腕十字固め!
永田にしてみれば、盟友カシンを応援したいが、1.4の前にアングルが負けてしまうのは、プロレスの流れ的に困る。
自分と戦うまではアングルに無敗であってほしい。おそらく複雑な心境で観戦していたのではないかと推測する。
アングルこそ、まさかここでジュニアのカシンに負けるわけにはいかない。アメリカにも敗北のニュースは届くだろう。
アングルの十八番、オリンピックスラムが炸裂!
 (1663311)

ちなみに杉浦貴がやるとオリンピック予選スラムという名称になる。
アングルがカシンに足4の字固めを決める。これはザ・デストロイヤーを意識してのことか否かはわからない。
そしていよいよ、アングルが数えきれないレスラーを撃破してきた必殺技のアンクルロックを掛けた次の瞬間、カシンが高速のローリングクラッチホールドで切り返した。
カウントは、ワン! ツー! WOOOOOOOOOO!
あわやカウントスリー入ったかとヒヤっとする瞬間。永田裕志の心臓も止まったか?
侮れないケンドー・カシン。本腰を入れて倒しに来るカート・アングルは、今度こそアンクルロックを完璧に決め、カシンがたまらずタップアウト。
しかしカシンが魅せた。会場を盛り上げて見事に代役を果たした。
勝っても負けても鮮烈な印象を残すケンドー・カシンは、まさにプロフェッショナル・レスラーだ。
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ケンドー・カシンの今

カート・アングルとの試合は評価が高く、ケンドー・カシンはその後もIGFのリングにコンスタントに出場している。
総合格闘技のリングにも上がり、柴田勝頼と対戦したこともあるが、ハイアン・グレイシーに勝利したあとは、残念ながらふるわなかった。
やはりケンドー・カシンが最も光る場所はプロレスのリングなのだ。
2014年には全日本プロレスのチャンピオンカーニバルにも参戦している。出禁になっていたわけではなさそうだ。
しかし、今は地上波でテレビ中継しているのは新日本プロレスだけなので、ケンドー・カシンがIGFや全日本プロレスに出場しても、それが報道されることはない。
そのためネット上では、「今ケンドー・カシンは何をやっているのか?」という問いもある。
そんな時、NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』に、「石澤常光」の名前が!
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ケンドー・カシンは「別人だ」「関係ない」と全否定しているが、これは紛れもなく石澤常光だ。
いつの間にか結婚して子供も授かり、幸せな家庭を築いていたとは。
確かにらしくないのでヒールとしては認められないか。
2016年にもIGFでボブ・サップに勝利して絶好調のケンドー・カシン。
盟友の永田裕志と中西学がまだまだ現役バリバリなので、ケンドー・カシン47歳も、もうひと華咲かせるか。
稀代の問題児・ケンドー・カシン。
実力光る天才が、日本のプロレス界に残してきた功績は大きい。
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