広島カープ【大野豊さん著】「カープ”投手王国”再建へ」で語る広島投手陣
2018年1月7日 更新

広島カープ【大野豊さん著】「カープ”投手王国”再建へ」で語る広島投手陣

2016年、2017年と2年連続でセ・リーグを制覇した広島カープ。その3年前(2013年)に、広島のレジェンドと言われる大野豊さんが本を書いておられます。NHK解説者も務めた物腰の柔らかい文章ながら、問題点をずばっと予期していました。その本から少しご紹介します。

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今回は、こちらの書籍を参考にさせていただきました。

カープ“投手王国"再建へ (宝島社新書) | 大野 豊 |本 | 通販 | Amazon

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大野豊投手。

大野豊投手のカード。

大野豊投手のカード。

大野さんから見た北別府さんと川口さん。

北別府さん。

北別府さん。

川口さん。

川口さん。

川口さんはこんなDVDまで出しています。

「川口和久の右脳的ピッチング術」。

「川口和久の右脳的ピッチング術」。

かつて「投手王国」と呼ばれた広島カープ。
敬称略でいくと、北別府、川口、大野、山根、金石、川端、長冨、白武、清川、そして津田・・・。
打力があまりよろしくなかったので、これらの投手が、味方の援護をじっと待ちながら抑え続け、1対0とか、2対1で勝つという、玄人好みのような野球をしていたことを覚えています。
では、今回の著者、大野さんは、先発三本柱といわれた、北別府さんと川口さんをどう見ているのでしょうか。

「エースの中のエースは北別府さん」。

北別府さんは大野さんより2年年下ですが、高卒ルーキーとして入ったので、プロでは大野さんより1年先輩です。
92年7月にはプロ野球史上22人目、カープのピッチャーとしては(日本球界のみでは)唯一の200勝投手となりました。(2016年に日米通算で黒田さんが200勝を挙げています。この本は2013年出版なので、この時点ではカープ唯一。)
カープの歴史の中で、エースの中のエースは、北別府さんをおいてほかにはありません、と述べています。
針の穴をも通すコントロール。

針の穴をも通すコントロール。

北別府さんは、正確無比なコントロールを誇り、大野さんも、数多いプロ野球のピッチャーでもトップではないか、と述べています。
「球が速いだけがピッチャーではない」と、北別府さんは主張していたそうです。
また、常に冷静ながら、芯の強さ、負けず嫌いな性格であったそうです。
剛腕投手にありがちな、インコースにスピードボールを投げ込むことが攻めという考え方ではなく、変化球で、緩急をつけながら追いこんでいく。そういう投手だと述べています。
また、フォームがバランスよく、無駄な力が入らないので、コントロールにもブレが生じにくく、ケガにつながることも少ない。
また、バッティングも得意としていて、若手の手本でもあると大野さんは称賛しています。
投手として200勝を挙げた一方で、打撃に関しても現役通算で5本の本塁打を放っており、これは広島に所属した投手(野手転向した選手は除く)としてはコルビー・ルイスと並び歴代最多である。

荒れ球で三振を取りまくる川口さん。

北別府さんと正反対のタイプのピッチャーが、川口さんでした。
「ピッチャーはコントロールよりもスピードとパワーだ」と言わんばかりに、全身を使って勢い良く投げるパワフルなピッチャーだったそうです。
フォアボールも多かったのですが、気にすることもなく、その後を抑えればいいという考え。
まさに北別府さんと正反対です。
よく川口さんの投球は、「ボールの行先はボールに聞いてくれ」と呼ばれていたのを覚えていま
す。
荒れ球でバッターからすれば目標を定めにくく、またパワーもあったので、最多奪三振を87年、89年、91年と3回記録しています。そして95年9月には史上14人目となる2000奪三振も達成しています。

荒れ球も個性として育てたチーム。

ボールの行方はボールに聞いてくれ!!。

ボールの行方はボールに聞いてくれ!!。

とはいえ、フォアボールが多いと、守っている野手は疲れてしまうという問題もあります。
しかし、川口さんにコントロールを重視させると、ボールを置きにいって、スピードが落ちてしまう可能性もある。それでは川口さんの荒れ球の「魅力」が消えてしまう、という意識がチームにはありました。
頭脳派の監督であれば、最小限の力で最大限に勝つことを優先するため、コントロールを重視するのでしょうが、当時のカープは、選手の個性をさらに伸ばす方針を取っていました。
それにうまく乗り、三本柱の一人になったということです。
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