1973年には、スタジオ・アルバム「ウィッシュボーン・フォー(Wishbone Four)」とライブ・アルバム「ライブ・デイト(Live Dates)」の2枚を発表します。
前作で成功を収めたウィッシュボーン・アッシュはアメリカ進出をおこないますが、その矢先にギターのテッド・ターナーが脱退してしまいます。
後任にはローリー・ワイズフィールドが参加することになりました。
前作で成功を収めたウィッシュボーン・アッシュはアメリカ進出をおこないますが、その矢先にギターのテッド・ターナーが脱退してしまいます。
後任にはローリー・ワイズフィールドが参加することになりました。
Rock`n Roll Widow / WISHBONE ASH
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本作品を最期にバンドを去ったテッド・ターナーは隠れた天才ギタリストで個人的なフェイバリットだ。このバンド結成時からギターを始めたらしいが、それが信じられない位リリカルで繊細なフレーズを弾く。初期の2枚はボーカルもこなすアイドル的存在だったが、この時期にはアンデイー・パウエルとギターの実力はほぼ互角にまで迫っている。2人とも独特なサウンドと豪快かつノスタルジックな叙情性があると思うが、アンデイーは伸びのある豪快なプレイ、テッドは尖った音色でピッキングニュアンスで聴かせるタイプだった。このアルバムのベストテイクは英国のトラッドを下地とする2曲目。ソロもまた素晴らしい。
メンバー・チェンジ後、初のアルバムで何とも不吉なアルバムタイトルですが、ところがどっこい内容は素晴らしいです。
それに何と言ってもジャケット・デザインのセンスがすばらしいですね。
それに何と言ってもジャケット・デザインのセンスがすばらしいですね。
1曲目から美しい旋律に耳を奪われます。歌メロとギターの掛け合いとが自然に展開し、LP当時のA面の流れは完璧。B面にあたる後半も曲が良く現在でも楽しめます。アンディ色が濃厚な曲作りとギターのサウンドで、アルバム自体の印象は一見渋いですが、名盤扱いしてもいい作品だと思います。録音も音作りも4thの感じの延長なんだけど、フロントの交替で演奏がいい意味で緻密な構成になり、そのせいか以前の大らかさが後退した気がします。しかしまだまだ初期の感じは残ってますね。このバンドというかアンディ主体だと思われるミドルテンポにおける叙情性、ノスタルジックなフィーリングは健在です。マイケル・シェンカーもこのバンドをよく聴いたんじゃないかと思います。この後、初期のファンには不評だった北米市場をターゲットとしたカラッとしたサウンドへと舵をとる訳ですが、あれは当時の世代交代の現実からは仕方なかった事なので、今は一枚一枚のサウンドと内容に耳を傾けて彼らの軌跡を辿るほうが随分と健全だと思います。さて内容ですが、この辺りからマーチンのベースは歪系になってます。逆にギターは以前からのストラト+フライングVのコンビネーションではあるがナチュラルな系統に変化。ヘビーな初期のブリテイッシュ・サウンドから脱皮を試みてるようです。両者いい音してますね。個人的には更に後のニューイングランドが好きなんですが、双方の作品にあるのは今日的な英国サウンドの追求というよりは、生き残りを掛けて競い合った結果、偶然生まれ出たという趣ではないでしょうか。そこには彼ら自身のサウンドとトレンドの絶妙なバランスの美があります。レイドバックしてるけど緩くはない。叙情的かつ切れ味鋭いアルバムです。
Wishbone Ash Persephone
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1976年発売の「限りなき束縛(Locked In)」は前作同様プロデューサーにトム・ダウドを迎え、キーボードを入れるなどアメリカ市場を意識した音作りを行ったものの決して評判の良いものではありませんでした。
1976年の「ニュー・イングランド(New England)」はタイトルからもわかるように、本来のスタイルに立ち返った充実作となっています。
これまたアルバム・デザインが素晴らしいですね。
1976年の「ニュー・イングランド(New England)」はタイトルからもわかるように、本来のスタイルに立ち返った充実作となっています。
これまたアルバム・デザインが素晴らしいですね。
ニュー・イングランド
1976年リリース
【収録曲】
1. マザー・オブ・パール
2. ユー・レスキュー・ミー
3. ランナウェイ
4. ローレライ
5. アウトワード・バウンド
6. プレリュード
7. ホエン・ユー・ノウ・ラヴ
8. ロンリー・アイランド
9. キャンドルライト
【収録曲】
1. マザー・オブ・パール
2. ユー・レスキュー・ミー
3. ランナウェイ
4. ローレライ
5. アウトワード・バウンド
6. プレリュード
7. ホエン・ユー・ノウ・ラヴ
8. ロンリー・アイランド
9. キャンドルライト
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Wishbone Ash - Lorelei
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活動拠点を米国に移し、米国ポップス寄りの作品づくりに正直失敗したあと、英国寄りの哀愁あるサウンドに戻った作品です。制作はマーティン・ターナーの個人宅やモービル・トラックですすめられた、とのこと。彼らとしたら苦しい時代だったと思います。でも、アッシュの初期の曲づくりに戻った、というわけではありません。米国での経験は、それなりに活かされていて、腰の強いベースを中心とした粘着力あるリズムや、ギターの乾いた音に特徴ある音づくりです。
前作と比べるとなんとも泥臭いアルバム・ジャケットですが、音の方はまったく逆になっていて、今作「フロント・ページ・ニュース」は何ともしっとりと落ち着いたメローな作りとなっています。
フロント・ページ・ニュース
1977年リリース
【収録曲】
1 Front Page News
2 Midnight Dancer
3Goodbye Baby Hello Friend
4.Surface To Air
5 714
6 Come In From The Rain
7 Right Or Wrong
8.Heart Beat
9.The Day I Found Your Love
10 Diamond Jack
【収録曲】
1 Front Page News
2 Midnight Dancer
3Goodbye Baby Hello Friend
4.Surface To Air
5 714
6 Come In From The Rain
7 Right Or Wrong
8.Heart Beat
9.The Day I Found Your Love
10 Diamond Jack
そして、70年代最後を飾るアルバム「因果律」は、前作のモヤモヤを吹き飛ばす快作となりました。これぞウィッシュボーン・アッシュ!という感じで胸のすく思いがします。
因果律
1978年リリース
【収録曲】
1. 怒りの炎
2. 天使
3. 大空の翼
4. 恐喝
5. アンガー・イン・ハーモニー
6. 子供のように
7. ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド (パート1)
8. ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド (パート2)
【収録曲】
1. 怒りの炎
2. 天使
3. 大空の翼
4. 恐喝
5. アンガー・イン・ハーモニー
6. 子供のように
7. ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド (パート1)
8. ザ・ウェイ・オブ・ザ・ワールド (パート2)
前作「フロントペイジニュース」がアメリカ志向になり中途半端な作風(ジャケもなあ、笑)でしたが、初期作品のプロデューサー:デレクロウレンスを起用した事によって、WISHBONE ASHらしさを取り戻した仕上がりです。なんと言っても彼らの魅力は「ツインリードギター」の絡みですから、デレクはそれを良くわかっている仕事ぶりですね。クレジットを見ると8曲中6曲にローリーワイズフィールドが関わっていて、彼のバンドでの貢献度がいかに高くなっていたか窺い知る事ができます。
それにしても80年代以降も今日までコンスタントにアルバムを発表し、ライブ活動も続けるウィッシュボーン・アッシュは、本当にすごい存在ですね。
【収録曲】
1. ソー・メニー・シングス・トゥ・セイ
2. ビーコンのバラッド
3. ノー・イージー・ロード
4. エヴリバディ・ニーズ・ア・フレンド
5. ドクター
6. ソレル
7. シング・アウト・ザ・ソング
8. ロックン・ロール・ウィドウ