久しぶりの民俗コネタコラムです。ご無沙汰しております。
私は日本の祭礼について大学などで講義をさせていただいておりますが、大人の皆様から一番多く質問されることは「夜這いってあるの?」「祭の日にフリーセックス的なことって本当にあるの?」などなど・・・人間味あふれる疑問です。
私は日本の祭礼について大学などで講義をさせていただいておりますが、大人の皆様から一番多く質問されることは「夜這いってあるの?」「祭の日にフリーセックス的なことって本当にあるの?」などなど・・・人間味あふれる疑問です。
祭礼は「五穀豊穣・子孫繁栄」を願うことが多い
個人的にはそれらを実際に目の当たりにしたことはありません。しかし、神奈川県川崎市の金山神社の「かなまら祭り」(本年は4月にすでに終了)に代表されるような男根信仰もありますしね。
かなまら祭り2019
via www.youtube.com
なにより、祭礼では「五穀豊穣・子孫繁栄」を願うことが多い。である以上、子孫繁栄・・・行為はヒトツですよね。それに、かつては各地に「秘宝館」が実在し、性風俗グッズなど展示されてきた日本ですから性風俗への質問が多くても不思議ではありません。
秘宝館自体は、現代では静岡県熱海市の「熱海秘宝館」が有名な気がしておりますので、よかったらぜひ♪
秘宝館自体は、現代では静岡県熱海市の「熱海秘宝館」が有名な気がしておりますので、よかったらぜひ♪
熱海秘宝館 公式動画
via www.youtube.com
ということで、ふと思い出し、今回は男根の語源についてサラッと真面目に。
男根の語源について
色々な呼び方があるのは周知の通り。英語で表現する人もいれば、日本語で表現する人もいらっしゃるでしょう。
ザックリはっきり書いてしまえば、ムスコと仰る方も多いと思いますが、まあ・・・陰茎、(お)ちんちん、ちんぽこ、ポコチン、ペニス、マラ、竿、男根、イチモツなどなど・・・地域で表現も異なりまして、方言での言い回しも加えますと紙面がソレだけで終わってしまいそうで、女性の自分としては流石にちょっとシンドイので、紹介はこの辺りにて止めさせていただくとして、この語源について真面目に書いてみます。
ザックリはっきり書いてしまえば、ムスコと仰る方も多いと思いますが、まあ・・・陰茎、(お)ちんちん、ちんぽこ、ポコチン、ペニス、マラ、竿、男根、イチモツなどなど・・・地域で表現も異なりまして、方言での言い回しも加えますと紙面がソレだけで終わってしまいそうで、女性の自分としては流石にちょっとシンドイので、紹介はこの辺りにて止めさせていただくとして、この語源について真面目に書いてみます。
「中棒」「珍宝」などの呼び名
国文学者にして民俗学者であられる池田彌三郎(いけだやさぶろう、1914年~1982年)先生の『性の民俗誌』(2003年 講談社)に、「中棒」の項目があります。
ここに「ちんぽこの語原(原文ママ)」について書かれておりまして、池田先生は思い出話として、民俗学の大家である折口信夫先生が「(ちんぽこの語源は)中棒だよ」と躊躇いなく答えられたと記しておられます。確かに「ちんぽこ」の古い言い回しは「ちうほう」でして、これは『古今著門集』の巻16「興言利口」の部類に登場しております。
明治以降の隠語解説文献や辞典、関係記事などをオリジナルのまま収録している『隠語大辞典』(皓星社)によると、
ここに「ちんぽこの語原(原文ママ)」について書かれておりまして、池田先生は思い出話として、民俗学の大家である折口信夫先生が「(ちんぽこの語源は)中棒だよ」と躊躇いなく答えられたと記しておられます。確かに「ちんぽこ」の古い言い回しは「ちうほう」でして、これは『古今著門集』の巻16「興言利口」の部類に登場しております。
明治以降の隠語解説文献や辞典、関係記事などをオリジナルのまま収録している『隠語大辞典』(皓星社)によると、
古書には重宝(ちうばう)と書けり。男陰を云ふ、身体の「中棒」なるべし。「柱棒」と書けるもあり。男陰を「男柱(をばしら)」又は「帆柱」「肉柱」など云ふに基くならんも、柱棒は重言なり。男陰を棒と称することは「肉棒」又「厄介棒」など云ふ例あり。
男陰の古称。ちんぽう(珍宝)の原語。柱棒、又は中棒か。古書には重宝(ちうぼう)とあり。「著聞集」に「ちうぼうは六寸ばかりにて」とあり。
ほうほう・・・男性のお身体におけるポジショニング的に中棒・柱棒と表現した上で、その読みから、後に「珍宝」というお宝表現に変わったようですね。そして「ほう」が「ぽう」へ、と。併せてデザイン的な問題で棒から鉾への連想もおこり、「ほう」から「ほこ」へと。そして「ほこ」から「ぽこ」へと。ほうほう・・・。すべて確定のお話ではなく、通説としての考察ではありますが、女性の自分には新鮮な気付きです。
最後に。
先の池田先生の文章には、ほかの説も紹介されているのですが、これを冷静にぶった切っている様がちょっとシュールなので紹介します。
最後に。
先の池田先生の文章には、ほかの説も紹介されているのですが、これを冷静にぶった切っている様がちょっとシュールなので紹介します。
「中棒」は、ちん(、、)ぽ(、)こ(、)の語原と言われている語である。最近、安田徳太郎氏は、これもまたレプチャ語であるとして、ちんは、レプチャ語の、男のものを意味するちむ(、、)・ちん(、、)であり、ぼは、これもレプチャ語の男女両方に通じている語で、これが結びついてちん(、、)ぼ(、)となったという説である。ところがこれでは、ちん(、、)ぼ(、)まではいいが、最後のこ(、)がどこかへ行方不明である。取るに足りない説であろう。
池田先生は慶應義塾大学文学部教授時代の1957年から1963年にかけて、NHKのクイズバラエティ番組「私だけが知っている」などに出演されており、テレビで活躍するタレント教授の先駆者としても知られている先生なのですが、そんな先生が「こ」が行方不明だから取るに足らないと断言するあたり、自分は大好きです。
今回は中棒について紹介させていただきました。ほかの単語については機会があれば書けたら、で。
今回は中棒について紹介させていただきました。ほかの単語については機会があれば書けたら、で。
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