ルパン・シリーズ第3作目!『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』(1985年)の特徴や魅力に迫る!~おすすめの見せどころまで大公開!~
2019年10月8日 更新

ルパン・シリーズ第3作目!『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』(1985年)の特徴や魅力に迫る!~おすすめの見せどころまで大公開!~

1985年、劇場公開作向け映画第3作目にあたる本作は、ちょうど夏休み前の企画映画によって子ども・大人に十分楽しまれるような脚色が盛り込まれました。「ルパンの声役はやっぱり山田康雄!」という声が現代でも多いですが、本作はまさにその山田・ルパン本家の魅力が満載しています! 今回は本作『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』に彩られた〝壮絶なロマンと演出と構成〟をはじめ、「ここはぜひチェックしておきたい!」という場面を徹底的にご紹介していきます。ぜひ最後までおつき合い下さい!

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【本作の特徴:5】

声優の素人感覚

ジブリ映画でもよく見られますが、「素人感覚」を取り入れたたリアル感への追究が本作でも十分うかがえます。
マルチアーノの声を俳優のカルーセル麻紀さんが担当し、その声色は「どこにでも良そうな気弱な青年」といった演出を見せてくれます。また河合奈保子さんが特別出演している点も魅力の1つでしょう。
他にも声優陣の採用されたおぼん・こぼんさんの珍妙なやり取りも、往年の『ルパン三世』シリーズではなかなか味わうことができない貴重な魅力・身近な共感性を演出します。

【本作の特徴:6】

ほしい所で入れられるコミカル性

「ICPO主催のインターナショナル婦人警官コンテスト」をはじめ、そのコンテストに登場する4人の美女たちの存在がすでにそのコミカル性を演出しています。
銭形警部とルパンのやり取りは従来見られたコミカル性に富みますが、この4人の美女効果によってさらに断続的な痛快コメディが演出されます。
滑稽・コミカルな臨場感はストーリーを上手く脚色しつつ、また適切な箇所ではシリアスなイメージも発揮されます。とくにストーリー中盤から後半での演出には「コミカルとシリアスの加減」がとても上手く表現されています。ぜひ見逃すことなく、「古代ロマン」と一緒に味わってみて下さい。

【本作の特徴:7】

BGMと挿入歌の魅力

本作のテーマ曲・挿入歌は、当時アイドルとして人気絶頂だった河合奈保子さんが歌っています。主に本作のために書き下ろされたものがほとんどで、曲の内容は本作のストーリーにとても合っています。
おススメはやはり『SONG OF BABYLON』でしょう。
奈保子さんの透き通るような美声の魅力が発揮され、ストーリーや本作のテーマを十分表現できる渾身の一曲と言ってよいでしょう。ぜひ本作を観ながら堪能してみて下さい。
さらに往年の『ルパン三世』のBGM・挿入歌に見られたアフロ感を匂わすファンキーな音源もたくさん盛り込まれています。このBGMや挿入歌は〝隠れた魅力〟と言って良いかもしれませんが、本作の魅力をすべて味わうためにも、この辺りはぜひ確認してみて下さい。

【おすすめの見どころ:1】

ロゼッタばあさんが登場する場面

ストーリー的にキーパーソンとなるロゼッタばあさんですが、彼女は冒頭から登場しつつも、何か哀愁と寂寥感を同時に醸し出します。
場末の街中を徘徊し続けているような光景を連続で演出し、身寄りのない孤独感をリアルに表現してくれます。
またロゼッタばあさんが登場するシーンでは、よく『SONG OF BABYLON』がかかります。その歌詞にある「ハウメニーマイル」の意味は彼女の存在感ならでは切なさが見られるもので、「行き場を失った自分の存在感・孤独感」がよく浮き出ています。
一人の女性としてルパンと向き合い、ロゼッタの体裁や心理が悲しくなるほど浮き彫りにされていく点にも、本作の魅力が隠されています。どうぞお見逃しなく!

【おすすめの見どころ:2】

面白さを提供するウィリーと陳

ウィリーと陳というのはマルチアーノの部下ですが、ルパンを追って冒頭から登場します(酒場の仮装パーティの場面にて)。
ウィリーは次元大介に紛争し、陳は石川五エ門に変装して、ルパンを襲うため酒場に潜伏しています。ですがどうしても間抜けな一面が多々目立ってしまい、計画は上手くいきません。
結局、本物の次元と五エ門にコテンパンにやられてしまい、さらに罰として自分たちのボス・コワルスキーにもハエたたきで叩かれてしまいます。
どこか愛嬌があり、憎めない可愛いマフィアの2人ですが、本作のストーリーには貴重なバラエティ要素を与えてくれるでしょう。

【おすすめの見どころ:3】

銭形警部とルパンが繰り広げるバイクのレース

これは『ルパン三世』を観ていれば「お約束のレース」となるでしょうが、しかし本作でのこのレース、非常に窮屈な舞台で展開されます。そのレースの舞台はなんと「巨大な看板の顔」!
アニメならではの躍動で、ルパンと銭形警部のレースはかなりリアルな演出効果を発揮します。とても不安定な舞台で織り成されるバイクとバイクの競争ですが、観ていて心底ハラハラ・ドキドキさせられる臨場感満点の仕上がりです!本作の躍動感ではクライマックス的なシーンに映るでしょう!

【おすすめの見どころ:4】

何重にも裏があるマルチアーノとコワルスキーの関係

「バビロンの黄金の謎」を巡るルパンとの争奪戦で、だんだん形勢が不利になっていくマルチアーノは、コワルスキーの目の前で「ママ~」と頼りなく泣いてしまいます。それまでのマルチアーノはとてもダークな印象を携えていますが、ここでのマルチアーノは非力な青年そのもので、コワルスキーとの立場の逆転が見え隠れします。
その様子を見たコワルスキーは「またか…」といった感じでなだめつつ、泣いているマルチアーノをやや見下したような態度を取り出します。
このシーンを2度3度観ているだけで、ストーリー後半のなりゆきがほとんど分かってしまうというような、とても興味深いシーンに映ると思います。ぜひこのシーンもお見逃しなく!

【おすすめの見どころ:5】

バベルの塔からバビロンの黄金を追ってマディソン・スクエア・ガーデンへ!

バビロンやバベルというのはまるで2大遺跡を掘り当てたような感覚ですが、ルパンと不二子はバビロンの黄金の謎を追う途中、まずバベルの塔の秘密を知らされます。
その延長で、マディソン・スクエア・ガーデンに隠された「死者の流れる排水溝」という〝巨大な水路〟に辿り着くことになります。
この水路は、まるでバベルの塔を地中に掘り下げた景観で、非常に奥深い巨大な地下水路でした。
この巨大な水路に、ルパンと不二子はマルチアーノの罠にかかって流されます。
このシーンの壮大さをぜひご堪能下さい!
本作中の最大の魅力ともいえる「巨大な架空の舞台」が表現されており、このシーンを通るからこそ「本作の見どころをすべて味わえる」と言ってよいほど、壮大なスケールの見せ場となります。

【おすすめの見どころ:6】

五エ門とチンジャオの恋愛ストーリー

中国代表でインターナショナル婦人警官コンテストに出場したチンジャオですが、ルパン一家を追いかけるさなか、チンジャオは五エ門のことを本気で愛してしまいます。
女性ならではの気持ちの揺れ動き・優しい表情が見え隠れする場面の演出ですが、彼女の愛に素直に応えることができない五エ門は苦悩に苛まれます。応えてしまえばその後の「バビロンの黄金の謎」への追跡が不可能になりますので。
お互いに愛し合っているのに、その愛を叶えられない2人の悲しさが、チンジャオの表情によく浮き出ています。
(五エ門)「大陸に咲く、一輪の花よ…」
(チンジャオ)「ゴエモ~~ン!カムバ~~ック!」
2人の互いを求め合う無心の叫びは、まさに「世界の中心で愛を叫ぶ」を彷彿させます。

【おすすめの見どころ:7】

金色の獅子像とロゼッタの正体

ルパン一家は「バビロンの黄金の謎」を追ううち、ついにその金色の獅子像の秘密を突き止めます。獅子像のありかはピラミッドのような建物の中。
その地下に眠っている「ロゼッタの正体(天使のような姿をした美女)」にルパンは巡り合ってしまいます。そのときのルパンの表情がなんとも純朴で、味わい深い哀愁を想わせるでしょう。
そこでロゼッタから解き明かされる「バビロンの黄金に隠された謎」を聞いたルパンは、「ロゼッタがなぜ地上に現れたのか」という具体的な疑問解明にも辿り着きます。
そのときのロゼッタの表情がなんとも悲しく見え、ルパンはつい天使のようなロゼッタを抱きしめようとします。でもロゼッタの体は透きとおり、そのまま天へ昇っていきます。
このシーンは、本作のメインであると同時に「バビロンの黄金の謎」とロゼッタとの親密な関係が伏線として敷かれています。
この最大の名シーン・見どころを、ぜひあなたの目と感覚で体感して下さい!
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