【ワンポイントリリーフで1点も与えない美学】広島カープ【清川栄治投手】
2017年11月28日 更新

【ワンポイントリリーフで1点も与えない美学】広島カープ【清川栄治投手】

80年代、広島カープには、左サイドから変則的な投球をし、左打者を手玉に取った投手がいました。彼の名は清川栄治。ピンチの時に打者1人だけのために登板する試合も多く、438試合連続救援登板の記録も持っています。

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今回はこちらの書籍を参考にさせていただきました。

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高校の大先輩「沢村栄治」の名前を受け継ぐ。

1961年9月21日、京都市に清川さんは生まれます。
京都商業高校から大阪商業大を経て、1984年ドラフト外で広島東洋カープに入団。
京都商業出身の名投手と言えば、戦前の巨人のエース、沢村栄治さんがいます。
一説には、この「栄治」の名をもらったと言われています。

中学校・高校と6年間朝夕の新聞配達。

母親の女手ひとつで育てられた清川少年には、野球用具をふんだんに買ってもらう余裕はありませんでした。
そこで、清川さんは中学時代から6年間朝夕の新聞配達をして、家計を助けました。1日も休まなかったそうです。
強豪・京都商業高校で、今日勝ったら甲子園、という日も新聞配達をしました。
新聞配達をする苦学生(イメージ)

新聞配達をする苦学生(イメージ)

清川さんのいた頃の京都商業は、まさに黄金期ですね。
2年生の時には清川さんも甲子園でリリーフのマウンドを踏んでいます。
3年になるとエースになりましたが、準々決勝で涙を吞みました。

清川さんの投手論。

元来僕の性格は勝気なところがある。人のできないことをやってやろうとか、まっすぐばかり投げて三振を取ろうとか、150キロ投げる人よりも多く三振を取ろうとか。変わった強がりですね。投手はそういう部分がなければ生き残ってはいけないですね
via 澤宮優著「ドラフト外 這い上がった十一人の栄光」河出文庫 195ページより。
最近のプロ野球では、「メンタルの強い」「弱い」と言われるピッチャーが多いように思います。最近は「イップス」という、メンタルの不調で本来の持ち味のボールを投げられなくなった投手もいます。
「何がなんでも勝ってやろう!!」というような意識でないと、大成は難しいのかもしれません。

不運によりドラフト候補から漏れる。

京都商業高校から進学した大阪商業大学では、関西六大学リーグ最多勝利記録の24勝を記録した清川さんでしたが、スカウトが注目する4年生の時に調子を崩してしまいます。
さらに、高校にも池田高校の水野雄仁投手や前橋工業の渡辺久信投手など、高校生にも注目を集める選手がおり、清川さんはリストから漏れてしまいます。

1984年、ドラフト外で広島に入団。

川端順さん、小早川毅彦さん、紀藤真琴さんら錚々たる選手がドラフトで広島に入団した中、それまでの実績では彼らに勝るとも劣らない清川さんは、ドラフト外で広島に入団します。

もともとサイドスローではなかった。

清川さんは、サイドスローから打者の打てないコースにバシッと決めて三振を取る、というイメージが強烈ですが、もともとは上手投げで、サイドスローではありませんでした。
上手投げ本格派ピッチャー(イメージ)

上手投げ本格派ピッチャー(イメージ)

池谷公二郎、北別府学、山根和夫、大野豊、川口和久・・・。

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  • ジバニャンLOVE 2017/11/28 13:55

    このたびは、コメントをいただき、誠にありがとうございました。澤宮さまのご著書は、他にもいろいろ拝読させていただき、男の生きざまを克明に描かれている点でとても吸い込まれるような作品ばかりです。これからもよろしくお願いいたします。

    澤宮優 2017/11/28 12:21

    著者の澤宮優です。このたびは拙著を取り上げていただき、本当にありがとうございました。清川さんはとても誠実で義理堅い方です。地味な仕事ながら、確実にチームのための働きをなさった投手に光を当てて頂き、私も書かせていただいた甲斐がありました。今もコーチで後進の指導に当たられておられます。どうぞ今後も光を当ててくださいますようお願いいたします。

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