七夕の国
『七夕の国』(たなばたのくに)は、岩明均による超能力とミステリーを取り込んだ伝奇SF漫画。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に、1996年第38号から1999年第6号にかけて不定期連載された。
1997年から1999年にビッグコミックス(小学館)より全4巻が刊行され、2003年に同社より上下2巻の「完全版」が刊行されている。
とはいえ、「七夕の国」を通してお読みになった方であれば、「同作の完成度はもしかすると寄生獣を越えているかも知れない」という私の評価に、賛同するかはともかく理解はしてくださるのではないか、と私は考えるわけなのです。
前作「寄生獣」は実に面白い奇作だった。 カルト系作家・岩明の名を天下に轟かせた「寄生獣」、僕も大ファンだ。だが、ここで「奇生獣」の批評はあえてしないでおこう。
あまりにもカルトなファンが多すぎて、こういうスタイルの批評では彼らを納得させる自信がないというのが本音ではある。だがそれより何より単純に「七夕の国」が、面白すぎるのである。 普通、奇作でヒットを飛ばした後の漫画家はそれ一作で枯れてしまって、その後は設定が奇抜なだけの失敗作でファンを失望させるものだが、岩明は違った。 期待を裏切るどころか、前作以上に面白い出来に仕上がっていた。
賛否両論あるかもしれないが、メッセージ作家・岩明の思想の「前進」という意味において、「七夕の国」は前作「寄生獣」を上回る傑作だと僕は思っている。
心理描写が相変わらず上手い。
またページを捲った際の「驚き」があって、続きが気になる。
閉鎖的な田舎の雰囲気も上手く描けていた。
全4巻で上手く纏めた事も凄いし、
続けようと思えば出来たという、奥深い作品だと思う。
『寄生獣』の岩明均先生の『七夕の国』コンビニに売ってたから一気に読んじゃった.....面白かった..... pic.twitter.com/Av8oyeoZDa
— おじゃに (@janibatch) 2014, 12月 11
雪の峠・剣の舞
『雪の峠・剣の舞』(ゆきのとうげ・つるぎのまい)は、岩明均による日本を舞台とした歴史漫画2編からなる中編集。2001年にKCデラックス(講談社)から単行本が刊行され、2004年に文庫化された。収録作品は、江戸時代初期の久保田藩のお家騒動を題材とした「雪の峠」と、戦国時代の剣豪・上泉信綱の門下の疋田文五郎を主役とした「剣の舞」である。
「雪の峠」は1999年に『モーニング新マグナム増刊』(講談社)にて、「剣の舞」は『ヤングチャンピオン』(秋田書店)にて2000年No.8から同年No.12まで、それぞれ短期連載された。
「雪の峠」は、天下分け目の関ヶ原の合戦を受けて秋田に転封(減封)された戦国大名佐竹家を題材としている。
「剣の舞」は新影流の創始者である剣豪・上泉伊勢守信綱と弟子の疋田文五郎を主軸に剣術という個人の武勇が意味を失っていく時代と武道に昇華させて意義を見いだそうとしていく物語である。
歴史作品と銘打たれているが、ひとつの作品として優れた完成形である。絶妙な構成、緻密に張り巡らされた伏線、冷たい描線が抑えた演出につながり、時折見られるすっとぼけた台詞・表情が漫画を読んでいるという安心感を読者に与え、締めくくり方の神業はほとんど奇跡に近い。重層する主題と確たる土台の元に展開される物語は、何度読んでも飽きないどころか読むたびに面白さが深まり、まさに至福、傑作である、何度も言う、傑作である。
買って得した巻のある一冊。2編入ってますがどちらも面白かった。
雪の峠は深い話で、いかにも漫画通好みな感じがします。
派手さはないけど、キャラ造形が見事で話の展開も岩明先生の
物語作りの技が効きまくります。
個人的には武闘派に心情的に味方したくなるが、それじゃ駄目なんだ
という頭脳派の考えも良く判る。
「剣の舞」は、剣豪に弟子入りした主人公の女の子が仇討ちを果たして死ぬ、という、時代劇の定番もの。なんですが、その子の師匠が竹刀を考え出した人で、剣道をスポーツ化して、その流派が隆盛を誇り、武器としての剣が弱まっていくという伏線の立て方がおもしろい。どちらも史実を元にした話です。
最近岩明均ウィークで雪の峠/剣の舞読んでるけど上泉信綱はやっぱこの作品のが一番ホラーな強さしてんな
— 塩見斑猫 (@cell333) August 4, 2014
他の作品でもそうだけどドライに空間切断でもされたのかっていう殺され方してるのに死んだ側に妙に生々しさがあって pic.twitter.com/tB0tl1IKBb
ヘウレーカ
『ヘウレーカ』 (HEUREKA) は、岩明均による古代ローマ時代を舞台とした歴史漫画。全6話。 タイトルのヘウレーカはアルキメデスがアルキメデスの原理を発見した際に叫んだ言葉であるヘウレーカ (ΕΥΡΗΚΑ / εὕρηκα, /hěurɛːka/) から。