2017年9月12日 更新

【ビルマの竪琴】「水島~!一緒に日本に帰ろう!!」本で読んだ人も、映画で鑑賞した人も、幼き日に胸を打たれた作品「ビルマの竪琴」。

「ビルマの竪琴」小学校や中学校で本で読んだり映画観賞したり、その作品に触れたことのある方が多かいことでしょう。竪琴の音色とインコが伝える水島と小隊の言葉、そして「埴生の宿」「仰げば尊し」が、作品を通して戦争の無情さを伝えてくれる「ビルマの竪琴」、とくに1985年の映画を中心にご紹介。

16,612 view

「ビルマの竪琴」

本で読んだ人、あるいは1985年に上映された映画で鑑賞した人が多かったかと思います。
映画では「埴生の宿」の音楽が、 さらにその世界観を深めてくれました。

当時は「戦争映画」として鑑賞し、悲惨さや残酷さという側面よりも、その無情さをストレートに感じた作品だったような気がします。
「ビルマの竪琴」

「ビルマの竪琴」

「ビルマの竪琴」は、竹山道雄が唯一執筆した児童向けの作品で、多くの版元で重版された。
1946年の夏から書き始め童話雑誌「赤とんぼ」に1947年3月から1948年2月まで掲載された。
ビルマ(現在のミャンマー)を舞台としている。市川崑の監督によって、1956年と1985年に2回映画化された。各国語にも訳されている。
出家し僧になった主人公の水島上等兵が竪琴を奏でる場面があるが、現地の上座部仏教では、出家者(僧侶)は、戒律により音楽演奏は禁じられている。そのため、後年大阪人情喜劇の会が制作した舞台演劇「ミャンマーの唄声」(出演:岸田敏志、曾我廼家八十吉、紅萬子、稲田慎太郎、副島新五他)では、「水島はあんなに好きだった音楽を捨ててまで僧になった」という設定となった。
著者はこの物語は空想の産物でありモデルもないが示唆になった話はあると記していたが、20数年後に武者一雄が著作した本が出版され宣伝された後に水島上等兵のモデルは、ビルマで終戦を迎え、復員後僧侶になった群馬県利根郡昭和村の雲昌寺前住職 中村(武者)一雄と言われるようになった。

「ビルマの竪琴」初めに映画化されたのは1956年でした

「ビルマの竪琴 第一部」(1956年1月21日公開、61分)
「ビルマの竪琴 第二部・帰郷篇」(1956年2月12日公開、83分)

1956年 (EN)、ヴェネツィア国際映画祭サン・ジョルジョ賞受賞。1957年、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。なお、現存するのは「第一部」「第二部」を編集した「総集編」である。

市川崑の述懐によると1956年の1月公開が決定していたが、ビルマロケの許可がなかなか下りず、急きょ国内撮影分のみを63分の第一部として製作し、それを公開した。

その後、1956年1月に水島役の安井昌二のみが同行して一週間のビルマロケを行った。市川と日活の当初の約束では、2月に完全版の総集編(当然第一部とは中身が一部重複する)を封切る予定だったが、会社側は「すでに第一部のポジを何十本も焼いていてもったいない」とクレーム。

このため、封切り時点で「総集編」と「第一部+第二部」の上映が混在し、「総集編」は都市部での限定公開、それ以外の地方は「第一部+第二部」の上映だった。このことが禍根となり、市川崑は日活を辞めたという。なお、本作はカラー撮影の予定があったが、機材がロケに適さないという経緯でモノクロに変更された。

Burmese Harp (ビルマの竪琴)Part-1 - YouTube

Burmese Harp (ビルマの竪琴)Part-1 Japan-Myanamr movie

Burmese Harp (ビルマの竪琴)Part-2 - YouTube

Japan_Myanmar movie based upon a soldier during World war 2
本稿では、1985年に上映された映画版を中心に「ビルマの竪琴」を振り返ろうと思います。

1985年に上映された「ビルマの竪琴」

映画予告編『ビルマの竪琴』+唱歌 - YouTube

監督は1956年作品と同様に市川崑。
1956年にも上映された作品を29年後に再び映画化しました。
1985年7月20日公開

1985年7月20日公開

1956年版に使用された脚本を元に話の大筋は作られているが、冒頭の英国兵のシークエンスや、中盤の水島の行動の詳細などが加えられている。
また、本作ではコミカルな演技や描写も演出として加えられている。本作の海外ロケ地はビルマでなくタイであるが、これは制作当時、ビルマが騒乱状態で治安が悪く、ロケが不可能だったためであるが、ビルマの寝仏は屋内安置であるため、見栄えとしては結果としてタイロケで正解だったと、市川は後に述懐している。
水島上等兵(中井貴一)、井上隊長(石坂浩二)、伊東軍曹(川谷拓三)、小林上等兵(渡辺篤史)、岡田上等兵(小林稔侍)、三角山守備隊々長(菅原文太)といった、振り返ると錚々たるキャスティングでした。
水島上等兵 - 中井貴一

水島上等兵 - 中井貴一

井上隊長 - 石坂浩二

井上隊長 - 石坂浩二

伊東軍曹 - 川谷拓三

伊東軍曹 - 川谷拓三

三角山守備隊々長 - 菅原文太

三角山守備隊々長 - 菅原文太

作中、「埴生の宿」「仰げば尊し」が、しみじみと心に伝わってきます。

映画予告編『ビルマの竪琴』+唱歌

1985年映画「ビルマの竪琴」のあらすじ

オウムが伝えた2つの言葉

オウムが伝えた2つの言葉

オーイ、ミズシマ、イッショニ、ニッポンニカエロウ

オーイ、ミズシマ、イッショニ、ニッポンニカエロウ

アア、ヤッパリ、ジブンハ、カエルワケニハ、イカナイ

アア、ヤッパリ、ジブンハ、カエルワケニハ、イカナイ

1945年7月、ビルマ戦線の日本軍は中立国のタイを目指して撤退を続けていた。音楽学校出の井上小隊長は兵士たちに歌を教えていた。水島上等兵はビルマの竪琴を操り、部隊の団結と暗号にも役立てていた。小隊は国境近くの村まで来たところで敵軍に囲まれた。

敵を油断させるために小隊は竪琴の伴奏で合唱を続け、武器弾薬を載せた荷車を回収し、戦闘準備を整えた。すると、小隊の『埴生の宿』に合わせて、敵も英語で歌い始めたのだった。ここで小隊は敗戦を知り、武器を置いて投降した。

南のムドンに護送されることになったが、付近の三角山で抵抗を続ける日本軍に降伏を勧めるため、水島が隊を離れることになる。水島は懸命に説得するが、日本軍は玉砕を選び、最後の戦闘が始まってしまう。

辛うじて一命を取り留めた水島はムドンへ向かう道中、無数の日本兵の死体と出会い、愕然となる。帰国することに心を痛め、日本兵の霊を慰めるために僧となってこの地に留まろうと決意し、白骨を葬って巡礼の旅を続ける。

ムドンの橋で小隊はオウムを肩に乗せた水島そっくりの僧とすれ違う。呼び止めるが、僧は無言で去る。井上は物売りの話から事情を推察した。彼はオウムを譲り受け「オーイ、ミズシマ、イッショニ、ニッポンニカエロウ」と日本語を覚えこませる。

数日後、大仏の胎内に隠れていた水島が森の中で合唱する小隊の声を聞きつけ、思わず堅琴を弾き始め、仲間は大仏の鉄扉を開けようとするが、水島は拒む。その夜、3日後に帰国することが決まり、一同は水島も引き連れようと合唱を繰り返す。井上はオウムを水島に渡してくれるよう、物売りの老婆に頼む。

出発の前日、水島が収容所の柵越しに姿を現わす。兵士たちは合唱し、一緒に帰ろうと呼びかけるが、水島は黙ってうなだれ、「仰げば尊し」を伴奏して森の中へ去って行く。帰国の船に乗る井上の許に手紙とオウムが届いた。手紙を読んでいる途中、オウムは「アア、ヤッパリ、ジブンハ、カエルワケニハ、イカナイ」と叫ぶのだった。

「ビルマの 土はあかい 岩も またあかい」

AmazonでDVDが販売されています

26 件

思い出を語ろう

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

宮沢賢治童話の代表作のひとつ「銀河鉄道の夜」、1985年の映画化はじめ多くの派生作品が生まれてきました。

宮沢賢治童話の代表作のひとつ「銀河鉄道の夜」、1985年の映画化はじめ多くの派生作品が生まれてきました。

宮沢賢治の童話、小学生のころに読んだという方も多いでしょう。なかでも「銀河鉄道の夜」は1985年にアニメ映画化されたこともあって今でも知名度の高い作品です。透明で幻想的な世界観は今だとファンタジーと括られるものかもしれません。何とも言えない気持ちになった「銀河鉄道の夜」について振り返っていきましょう。
青春の握り拳 | 4,396 view
映画『未来警察』ロックバンド「KISS」のベーシストのジーン・シモンズが敵役で登場!!

映画『未来警察』ロックバンド「KISS」のベーシストのジーン・シモンズが敵役で登場!!

映画『未来警察』は、1985年に日本で公開されたSFアクション映画です。近未来を舞台にロボットの安全を守る主人公が、ロボットを悪用する凶悪犯と戦います。ちなみに凶悪犯は、有名ロックバンド「KISS」のベーシストのジーン・シモンズでした。
星ゾラ | 1,419 view
黒澤明監督の最高傑作、『乱』が4K映像で上映決定!ビジュアルと予告編が公開!!

黒澤明監督の最高傑作、『乱』が4K映像で上映決定!ビジュアルと予告編が公開!!

1985年公開の黒澤明監督作品の映画『乱』が、『乱 4K』として4月1日(土)より公開する。2015年に最先端技術でデジタル修復が行なわれた同作を、4Kの映像で鑑賞することができる。
red | 699 view
ロジャー・ムーア最後のジェームス・ボンド、『007/美しき獲物たち』。

ロジャー・ムーア最後のジェームス・ボンド、『007/美しき獲物たち』。

58歳を迎えるロジャー・ムーアの最後の007となった本作品は、タニア・ロバーツ、グレース・ジョーンズのボンドガールを迎え、悪役はアカデミー助演男優賞のクリストファー・ウォーケンが演じた力作となりました。それでは、ラスト・ムーア・ボンドをご紹介しましょう。
ナベゲン | 2,239 view
映画「プルメリアの伝説」80年代のサーファー文化&松田聖子のファッション

映画「プルメリアの伝説」80年代のサーファー文化&松田聖子のファッション

1983年に公開された映画「プルメリアの伝説」は、ハワイを舞台にしたラブストーリーを若かりし頃の松田聖子と中井貴一が演じます。懐かしい80年代のサーファーファッションと今と変わらない30年以上前のハワイの映像。そして輝いていた松田聖子と中井貴一の姿に過ぎし日の青春の思い出を重ねてみたい。

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト