馳浩の巌流島の決闘はじめ名勝負8選とギブUPまで待てないマジギレ事件!?
2016年11月25日 更新

馳浩の巌流島の決闘はじめ名勝負8選とギブUPまで待てないマジギレ事件!?

波乱万丈のプロレス人生を送った馳浩の名勝負を振り返る。タイガー・ジェット・シンとの巌流島の決闘。アントニオ猪木との東京ドーム決戦。蝶野正洋との激闘。グレート・ムタとの大流血戦ほか熱戦を再現し馳浩の華麗な大技とタフガイぶりを満喫。そして有名なあのギブUPまで待てない事件にも触れる。

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インドの猛虎、タイガー・ジェット・シンを破り、アントニオ猪木との対決権を勝ち取った馳浩は、堂々と師弟対決に全力を尽くす。
1992年1月4日、東京ドーム。
馳浩は猪木にリバースインディアンデスロックから見事なブリッジを見せて鎌固め。しかし猪木は鎌固めを切り返す。
勝負に出た馳が猪木に裏投げ! 後頭部痛打。馳は強引に裏投げ二連発! 猪木ダウン。立てない。
まだだと馳。猪木に裏投げ三連発! カバーの体勢。
ワン、ツー! WOOOOOOOOOO! 危ない、カウント2.9!
非情になる馳は四発目の裏投げ! 完璧に後頭部からマットに落ちた。
まだ行く。馳が五発目の裏投げ・・・を猪木が粘る。馳の腕を取ってアームブリーカーから延髄斬り! 大歓声。
猪木の反撃開始。馳に魔性のスリーパー! 延髄斬り! 卍固めの殺人フルコース。馳が歩く。何とかロープ。大拍手。
しかし馳苦しい。猪木が延髄斬り! 延髄斬り! 馳倒れない。リング中央でもう一度卍固め! 馳たまらずギブアップ。
「ダー!」 
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やはりアントニオ猪木は強かったが、馳浩も見せ場は十分。東京ドームを盛り上げた。
試合の前半、猪木のスリーパーホールドで馳が失神してしまった場面があった。猪木はレフェリーに「起こせ」と言い、馳が立ち上がるまで待った。
魔性のスリーパーと言われるアントニオ猪木のスリーパーホールドはチョーク疑惑があるが、猪木はチョークではないと言う。
「やり方がある。引退したら教えたい」と語っていたが、引退したあとも謎のままだ。
猪木のスリーパーホールドで藤原嘉明が一瞬にして顔を痙攣させて失神。高田延彦も2秒でタップアウト。
それゆえ魔性のスリーパーと呼ばれてきたが、果たして。
ちなみにレフェリーのミスター高橋は猪木がスリーパーホールドで絞めるとすぐに「ワン、ツー、スリー、フォー」
驚きの表情で一旦外す猪木はまたスリーパー。するとすぐにミスター高橋が「ワン、ツー、スリー」
「何でだよ!」と怒る猪木。そんな象徴的なシーンもあった。
一瞬で落ちるということで、ミスター高橋はチョークスリーパーと判断していたのか?
総合格闘技ではチョークスリーパーはOKだが、プロレスはチョークスリーパーは反則。
格闘技である以上、もちろん勝ち負けは大事だが、会場全体をエキサイトさせ、高い入場料を払って観に来た観客を大満足させて帰すのもプロレスラーの重要な仕事だ。
そのため一瞬で決まってしまうチョークや顔面パンチを反則技にしているのかもしれない。
プロレスは奥が深い。
気分は半分プロレスラーの怪人ターザン山本氏が駆け出し記者の頃、先輩に言われた言葉が印象的で、ずっとその思いで記事を書いてきたと語っていた。
それは、「プールのように透明なものを、底無し沼のように書くのがプロレスマスコミの仕事だ」
何とも意味深い言葉で、プロレスの裏も知っているベテランファンの心をくすぐる言葉である。

馳浩VS蝶野正洋

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馳浩は、入場するとまずコーナーポストに乗り、Tシャツを脱いで観客席にTシャツを投げるというスタイルを毎回取っている。
ただ入場するだけでは芸がない。ブルーザー・ブロディもタイガー・ジェット・シンも入場シーンで楽しませてくれる。
千の顔を持つ男・仮面貴族ミル・マスカラスもマスクを二枚被っていて、上の一枚を観客席に投げた。
馳浩もいかに会場を盛り上げるか、人一倍考えるレスラーで、それは自分だけではなく興行全体の盛り上げ方を常に考えていた。

馳浩VS蝶野正洋

1992年2月10日、名古屋レインボーホール。ノンタイトル戦。
蝶野正洋はNWA世界ヘビー級チャンピオン。ここは馳浩を貫禄で一蹴したいところだが、そうは問屋が大根おろしだ。
馳浩は河津落とし、カナディアンバックブリーカー、そしてリバースインディアンデスロックから鎌固め。本当に技が多彩だ。
さらにフライングメイヤーから首と脚を決める複合技で蝶野を攻める。蝶野もやられっ放しではない。馳に延髄斬り!
蝶野がコーナーポスト最上段に上がり、フライングショルダーかと思ったら、馳が素早く雪崩れ式ブレーンバスター!
蝶野は場外にエスケープ。馳が追って場外乱闘。フェンスに蝶野の首を落とすギロチン! 巌流島の決闘でラフファイトにも自信を得たか。
馳はエルボー5連発、ネックブリーカー、ドラゴンスリーパーと畳み掛ける。蝶野は脳天にニーパットでカットするが、馳はすぐにドラゴンスリーパー。もう一度脳天にニーパットで技を解く。
馳がバックを取ってバックドロップ! 強烈。ブリッジをきかせたデンジャラスな角度のバックドロップだ。
馳が積極果敢にラリアット! そして裏投げ・・・は蝶野が粘ってDDT!
蝶野も先ほどのお返しとばかりブリッジをきかせたデンジャラスバックドロップ!
一進一退の攻防。
馳は蝶野をロープに飛ばしてカウンターのスリーパーホールド。蝶野苦しい。

馳浩VS蝶野正洋②

1992年2月10日、名古屋レインボーホール。
馳が蝶野を逆さまに持ち上げてパイルドライバー! さらにパワースラム! レフェリーはタイガー服部。カウントはツー。
馳の技が止まらない。変形スリーパーとボディシザースの複合技で蝶野を絞め上げる。
もう一度馳がパイルドライバーで蝶野の脳天をマットに落とす。そしてコーナーポスト最上段からダイビングエルボーバット!
攻める馳。河津落とし2連発からコーナーポスト最上段に上がり、ダイビングニードロップ・・・はよけられて自爆。
今度は蝶野がパイルドライバー! 足の4字固め。馳はロープに逃れる。蝶野は脚を狙う。ローキック連打から片逆エビ固め。そしてすぐにSTFに移行する。危ない。馳はロープ。
蝶野が反撃開始だ。馳の脚にコーナーからニードロップ! これはきつい。さらにニークラッシャー! 徹底的な脚攻め。
蝶野はもう一度STF! リング中央で決まってしまった。馳は匍匐前進でロープブレイク。
20分経過。蝶野は馳をボディスラムで投げ捨て、コーナーポスト最上段から十八番のダイビングショルダータックル! 蝶野も引き出しの多さでは負けていない。馳をダルブアームスープレックスで叩きつける。
蝶野がコーナーポストに上がるが、馳が何と雪崩れ式のノーザンライトスープレックス!
馳が蝶野に対して掟破りのSTFを掛けるが、蝶野はすぐにロープ。
馳が蝶野の顔面にキック。これには蝶野も黙っていない。馳の顔面にケンカキック!
蝶野がジャーマンスープレックスを狙うが馳がエビ固めで丸め込む。一瞬の油断もできない闘い。
馳がバックドロップ! そして必殺の裏投げ! 蝶野はケンカキック! 馳がもう一度裏投げ! 裏投げ二連発! 蝶野ダウン。馳はトドメのノーザンライトを狙うが蝶野がキックで防ぐ。さらに顔面にケンカキック!
壮絶な試合に会場も大興奮。馳が裏投げ! そしてノーザンライトスープレックス! 決まったか。カウントはワン! ツー! WOOOOOOOOOO! 蝶野返した。意地か。
馳浩がもう一度ノーザンライトスープレックス! カウントスリー!
まさか、蝶野正洋に勝った!
25分46秒。対戦相手を輝かせて勝つという猪木ばりの試合をした馳浩。闘魂三銃士の一角を崩した。
ならば次は武藤敬司だ。

馳浩VSグレート・ムタ

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馳浩VSグレート・ムタ

1992年12月14日、大阪府立体育会館。
顔面に真っ赤なペイント。悪の化身、グレート・ムタ見参。IWGPヘビー級ベルトを腰に巻いているが、この試合はノンタイトル戦、60分1本勝負。
ゴングが鳴っても馳はすぐには近づかない。ムタが不気味な表情で近寄り難い。案の定、ムタは上を向くと、口から緑色の毒霧を噴射させた。
馳が速攻。ドロップキック! ラリアット! ランニングネックブリーカー! そしていきなりの裏投げ!
ムタは場外にエスケープ。馳が追う。机を立てかけてムタを叩きつけるラフファイト。
リング上。馳はコーナーポスト最上段からのダイビングエルボーバット! サイドスープレックスと思ったら、ムタのストマックを膝に落とす! これは苦しい。
馳の両手は拳から手首までテーピングでグルグル巻き。これは鉄拳制裁を考えているのか。
いよいよムタが反撃。パンチにローリングソバット! リバースインディアンデスロックから鎌固め。しかし馳は技を掛けられながらムタの顔を決める。
馳の喧嘩ファイト。ムタの顔面を踏みつけ、喉に地獄突き、ネックブリーカードロップ!
ムタが場外へエスケープ。いつものようにゆっくりリングの周りを歩き、凶器になるものを探す。馳はリング上に寝転がってムタを挑発。ムタのペースにはさせない。
馳がブレーンバスター・・・を切り返し、バックに回ったムタがパンチ、チョップ。場外乱闘。ムタは馳を鉄柱に叩きつける。
ムタがコーナーポスト最上段から、場外の馳にダイビング手刀!
マットを剥がして床を剥き出しにさせるムタ。馳にフェイスクラッシャー! 床に顔面から行ってしまった馳。
リング上。ムタは馳をフライングメイヤーからロープに飛んでエルボードロップ! 速い。
馳がヘッドロック。ムタは馳を持ち上げてトップロープに股間から落とす! 馳が場外転落。追うムタ。今度はフェンスに股間から落とす! 馳は場外で蹲りダウン。
リング上。ムタがコーナーポストに上がるが、馳が素早く雪崩れ式ブレーンバスター! 
馳がムタをヘッドロック。そのままムタの顔面をトップロープで摩擦攻撃。赤いペイントが剥がれていく。
まさかこれは、ペイントを剥がしてムタをムトーにするという意味なのか。
ほとんど素顔になってしまったグレート・ムタ。これは締まらないし、ムタの動きも鈍い。
ムタは場外からリング上へイスを投げ入れる。ムタは馳にキック! そしてイスで殴打。馳をシュミット式バックブリーカーでダウンさせ、コーナーポスト最上段へ。しかし馳がムタを突き落とす!
ムタは場外で、ロープ設置に使うねじ回しを手に隠し持つ。リングに上がり、馳に凶器攻撃をするはずがねじ回しを奪われた。馳がねじ回しを口に加えて不敵な笑み。
辻アナも思わず「タイガー・ジェット・シン現る!」
馳はムタの額を凶器攻撃! たちまちムタは大流血。さらに傷口にバイク。馳のラフファイトはもはや板についている。
馳が追い込む。ムタにパイルドライバー! ロープに飛ばしてカウンターのスリーパーホールド!
ムタは顔面真っ赤。これで素顔が隠れて再びムタらしくなってしまった。
馳は顔面キック連打。さらにサソリ固め。ラフファイトと多彩な技。このバランス感覚は相手にとって厄介だ。
しかしムタが起死回生のバックドロップ! 強烈。バックドロップ二連発! ムタが叫んだ。もう一度バックドロップ! さらにバックドロップ四発目。まさかの五連発! 馳大の字でダウン。
トドメか。ムタが素早くコーナーに上がり、ラウンディングボディプレス・・・はよけられた! 死んだふりだったか馳浩。
馳コールが場内に巻き起こる。ムタに必殺の裏投げ! カウントツー。馳がパワーボム! カウントツー。トドメの裏投げをエルボー連打で防いだムタがドラゴンスープレックス! カウントツー。馳返した。
ムタがもう一度ドラゴンスープレックス! カウントツー。
悲鳴と歓声が入り混じる。ムタが馳を抱え上げて叩きつけ、コーナーポスト最上段からラウンディングボディプレス! カウントスリー。
グレート・ムタは強かった。
しかし壮絶な死闘に観客も大満足だった。

馳浩VS志賀賢太郎

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馳浩は1996年1月4日、東京ドームでラストマッチを行い、思い出深き新日本プロレスを去ることになる。
理由は国会議員になったので、両立は厳しいだろうという配慮から、新日本プロレスとしては、一旦区切りをつけた形になった。
馳浩のラストマッチに最も相応しい対戦相手は佐々木健介。ノーザンライトスープレックスの馳浩と、ノーザンライトボムの佐々木健介が、ノーザンライトファイナルと銘打ち激突した。

しかしプロレスへ懸ける情熱を消すことはできず、馳浩は1996年11月、故郷の全日本プロレスのリングに帰って来た。
第一に、ジャイアント馬場への恩返しがしたいという気持ちが強かった。
ジャパンプロレスに入団したばかりの馳は、レスリング五輪出身といっても全くのグリーンボーイだった。
その馳浩にジャイアント馬場は自ら受け身を教えたのだ。馳浩はその恩を忘れていなかった。
第二に、純粋に、四天王や秋山準と対戦してみたいというプロレスラーの願望だ。
三沢光晴、川田利明、田上明、小橋健太が全日本プロレスの四天王と呼ばれていたが、秋山準は五天王と呼ばれてもいいくらいに実力は伯仲していた。
新日本プロレスの闘魂三銃士・武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也と戦って来た馳浩は、新天地でも強豪レスラーと対決し、プロレスのロマンを追い求める。

馳浩を迎え撃つ一人目は、志賀賢太郎だ。
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