【ジキルとハイド】二重人格の過激な描写・・・3年間放送できなかった問題作がついにDVD化!
2023年7月16日 更新

【ジキルとハイド】二重人格の過激な描写・・・3年間放送できなかった問題作がついにDVD化!

『ジキル博士とハイド氏』といえばスティーヴンソンの代表作ですが、50年以上前の日本で、これを原作としたテレビドラマがあったことはあまり知られていません。しかも、その顔ぶれは、監督・五社英雄、主演・丹波哲郎、写真・篠山紀信、音楽・シャープス&フラッツと超豪華。ついにDVD化された当時の問題作を振り返ります。

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ハイドの暴力は容赦がなく、大抵の場合、殺害するまで徹底的に暴力を振るいます。変身前の慈木留博士からは想像もできないほど屈強になり、大勢に囲まれても怯むことなく、相手を徹底的に叩きのめします。

また、若い女性がいれば必ずと言っていいほど強姦し、女性は悲鳴をあげ抵抗しますが、なぜかその後はハイドに好意を抱くようになります。ハイドは、妻の美奈まで襲い、最初は美奈も恐怖におののきますが、次第に、ハイドと夫(慈木留博士)が同一人物だと気づき、心と体を許すようになります。

妻の美奈に限らず、第3話の青年団員の恋人(演:岸久美子)、第4話の慈木留の研究室の新人医師(演:横山リエ)、第8話のアイドル歌手(演:太地喜和子)、第11話の団地の主婦(演:石井富子)、第12話の慈木留の友人の娘(演:津田亜矢子)らもまた、ハイドに好意を抱くようになりました。

強姦のシーンは、衣服を破るシーンや接吻のシーンはありますが、露骨な裸体のシーンはありません。代わりに篠山紀信のヌード写真を挿入したり、手足の動きや悲鳴だけを流したりして、行為を暗示する効果を演出しています。

ジキルとハイド

ベストフィールド創立20周年記念企画 第4弾 ジキルとハイド コレクターズDVD <HDリマスター版>

『ジキルとハイド』の音楽

オープニングテーマやドラマ中のBGMは、日本を代表するビッグバンド、原信夫とシャープス&フラッツによる演奏です。特に、オープニングの篠山紀信のサイケデリックな写真とのコンビネーションは、ドラマの不気味さを暗示するようで、冒頭からいきなり惹きつけられます。

また、当時の流行歌も起用されており、ちあきなおみ『四つのお願い』(1970年4月10日発売)、藤圭子『圭子の夢は夜ひらく』(1970年4月25日発売)、『命預けます』(1970年7月25日発売)がBGMとして流れました。1970年3月の時点で全13話の撮影が終了していたという説がありますが、これら楽曲のリリースはその後のことで、どのタイミングで起用されたかは不明です。

第9話で幼児が登場するシーンでは、童謡『夕焼け小焼け』を不協和音にアレンジし、不気味な雰囲気を作り出しています。

四つのお願い / ちあきなおみ

ちあきなおみ/四つのお願い 昭和45年

『ジキルとハイド』のロケ地

当時のロケ地については情報がなく、ほとんどが不明ですが、2023年現在確認できるものをいくつか挙げます。いずれも、半世紀以上前の街の雰囲気がわかる貴重な映像です。

新宿駅周辺

街並みの映像で最も多いのが、新宿駅周辺です。第3話や第8話では、西口の駅前や東口の新宿通り界隈の様子が確認できます。

特に第8話の、青年が見知らぬ女性(演:伊佐山ひろ子)と出会うシーンでは、かつて新宿三丁目にあった映画館「新宿ロマン劇場」(現在はコメ兵新宿店)らしき映像も確認できます。因みに、当時公開中の映画は『パットン大戦車軍団』。日本の封切りは1970年6月27日で、第8話の撮影時期はこれ以降だったのでしょうか。

また、青年が女性と一夜を共にし、翌朝街を歩くシーンでは、武蔵野通りの「ライオン」と、突き当たりに丸井の古いロゴ(「井」を丸で囲んだロゴ)が確認できます。

半世紀以上前の新宿の様子が垣間見える、貴重な映像と言えるでしょう。

横浜外国人墓地前

第4話で、慈木留博士が研究室の新人医師(演:横山リエ)と食事をするシーンがあります。窓の外には、横浜の外国人墓地が見えており、建物は明らかにその前に位置する「カーネルスコーナー(1967年竣工)」と確認できます。現在は、2階に「エリゼ光」というレストランが入っているようです。

半世紀以上経っても変わらない光景という点で、これまた貴重な映像と言えるでしょう。

その他のロケ地

第4話で石上ユリ(演:梅田智子)が登場するシーンでは、神宮球場渋谷駅南口らしき映像が確認できます。

おわりに

最後に、『ジキルとハイド』の最終回予告のナレーションの一部を引用します。

ハイドへの変身で慈木留が開放感を得たように、そして周囲の人間がハイドに魅力を感じたように、本作は、視聴者にも "爽快な開放感" を与えてくれるドラマなのかもしれません。興味のある方はぜひご覧ください。
自らの手で慈木留邸を爆破し、追跡する毛利たちと戦いながらも、なお天衣無縫に楽しむハイド、美奈、少女。その爽快な開放感。。。

人間の二面性を鋭くえぐり出してきたこのドラマが "永遠の標" として残したものは何であったのか。。。
via 『ジキルとハイド』最終回予告ナレーション
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