[インタビュー]ソロデビュー30周年の工藤静香が語る新アルバム『凛』と懐かしの過去作品
2017年9月7日 更新

[インタビュー]ソロデビュー30周年の工藤静香が語る新アルバム『凛』と懐かしの過去作品

今年でソロデビュー30周年を迎える工藤静香がデビューアルバム『ミステリアス』から最新アルバム『凛』まで全アルバムについて語った貴重なインタビュー。さらに期間限定のお得情報もご紹介。

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ソロデビュー30周年を迎える工藤静香

現在、ソロデビュー30周年のアニバーサリーイヤー真っ最中にいる工藤静香。
おニャン子クラブのメンバーを経て、ソロとして活動。
人気アイドルから人気アーティストへ見事な変化を遂げた工藤静香の30年を、最新アルバムへの想いと過去アルバムの想い出を軸に振り返ってもらった。
工藤静香(くどう しずか)

工藤静香(くどう しずか)

1970年生まれ。牡羊座、B型。 フジテレビ「夕やけニャンニャン」のレギュラー出演から87年グループデュー、同年並行して「禁断のテレパシー」でソロデビュー。「FU-JI-TSU」「MUGO・ん・・・色っぽい」等立て続けにヒット作をリリース。歌・ドラマ・CMと活躍の場を広げる。「愛絵理」として作詞も担当。現在までにシングル41枚と29枚のアルバム、18本のビデオ作品(ベスト盤含む)をリリース。 また傍ら画家、ジュエリーデザインとしての才能も発揮し画家としては10年連続二科展入選という実績を持つ。

30周年記念オリジナルアルバム『凛』について

「やっぱりロックが好きなんですよね」――工藤静香は人懐っこい笑顔で、30周年記念オリジナルアルバム『凛』について、そう語り始めた。1987年8月31日にシングル「禁断のテレパシー」でソロデビューし、今年で30周年。それは歌謡曲の中にロックのリズム強さ、骨太さを、自然と違和感なく融合させ、エモーショナルと柔らかさを併せ持つ歌とが作り出す、“工藤静香ポップス”の歴史でもある。「抱いてくれたいいのに」(1988年)に代表される、“ロッカバラード”も彼女の代名詞のひとつでもある。しかし30周年の節目にリリースするアルバムは、そんな「抱いてくれたらいいのに」などのヒット曲が入ったベストアルバムではない。確かにこれまでの節目節目でベストアルバムを発売してきたが、30周年のこのタイミングで、2005年の『月影』以来12年ぶりのオリジナルアルバムを出す事にこだわった。「2年位前から30周年の時には、絶対にオリジナルアルバムを出すと決めていました。応援してくれた人たちへの感謝の気持ちを示すためにも、全てゼロから作った曲で構成したかった」。それは工藤を応援し続けてくれている、ファンへの語りつくせない感謝の気持ちの表れであり、30年間歌い続けてきたシンガーとしてのプライド、自信でもある。そしてこれからも“凛”としてロックを歌い続けていくという決意表明である。


『凛』のトピックスは何といっても、豪華作家陣と、新しい才能との競演だろう。全編で激しいギターが響き渡る「密と棘」は、作詞伊集院静、作曲松本孝弘(B’z)という強力タッグが作り上げた大人の薫りがするロック。「20年位前に松本さんに「いつか曲を書いてくださいね」ってお願いをして、ようやく実現しました」と本人が語るように、松本との“10年越の約束”が実現した。工藤は松本にひと言「ガッツリ男っぽいロックをお願いします」とリクエストした。それに応え、日本を代表するギタリストが、ロックを愛するシンガーのために書いたハードなナンバーに、作家・伊集院静が色気と艶のあるロックな歌詞を、今回初めて工藤に贈った。
工藤が「大好き!」という「Junk」は、親友の岸谷香が作詞・作曲を手がけ、作詞には個性派アーティスト・木村ウニの名前もクレジットされている。生きづらい社会に向けたシニカルなメッセージを、3分を切る短い時間の中でシャウトするように歌う、切れ味鋭いロックは“潔い”。「どうせなら」もヘビィなギターが唸りをあがるロックナンバー。ギタリスト澤近立景が提供したカッコ良さが際立っている一曲。

ジャジーなオープニングの「ほとり」は、玉置浩二が曲を提供し、工藤の作品もこれまで数多く手がけてきている松井五郎が作詞を手がけた。「松井さんが詞を書く玉置さんの曲も歌いたいって思って。二人の曲を女性が歌ったらどうなるか聴きたかった」。言葉数が少なく、さらに<そこへ><ここへ><どこへ>など、行き先が見えない中を、行間を漂うように歌う工藤の表現力は圧巻だ。


大物アーティストの参加も話題だが、若手作家が紡ぐポップスも新鮮で美しい。オープニングナンバーの、これから先に向けての工藤の決意表明にも思える「鋼の森」、ノスタルジーを感じさせてくれ、優しさの中に強さが見える「かすみ草」、ラストナンバーの強いバラード「Time after time」を手がけた、新進作家kokiは、“工藤静香ポップス”をしっかり感じさせてくれながら、斬新さを加えこれまで工藤が歌ってこなかった、新しいタイプの楽曲を作り上げ、工藤の新しい一面を引き出している。「禁忌と月明り」を手がけたまふまふもそうだ。「彼に全てお任せしました。これまでにはない感覚の作品で、今までは盛り上がるところは、外に向けて気持ちを解き放つ感じのものが多かったのですが、この曲は気持ちを心の奥に秘めるんです。感動しました」。工藤の言葉通り、聴き手の想像をより掻き立てる歌詞と曲の構成は、これまでの工藤作品にはない空気感を醸し出している。まふまふの世界観と工藤の世界観とが化学反応を起こしている。
男性デュオ吉田山田が提供した「針」は、工藤も「哀しさだけではなく、そこに思いやりを感じる」という、二人の優しさがそのまま曲に滲み出ているような、どこまでも切ないバラード。

このように、こだわるところはこだわり、でも新しいものを積極的に受け入れ、それによって、まだ自分が見ていない引き出しを開ける事ができ、そこにあるまだ気づいていなかった才能を見つけた。その喜びがこのアルバムには溢れている。そしてここからまた歌い続けていくという自信を手に入れた事を、ファンに報告しているように感じる。工藤は30年間、色々あったが、歌い続けてきて本当に良かったという。「何があってもとにかく時は進むじゃないですか。だから動いても、もがいてもダメな時はダメだし、もがけばもがくほど、底なし沼に沈んでいくような事を感じた事もあった。でもそこで、沈んで暗くなるのではなく、必ず先があると思うだけで、何か物事って違って見えるんじゃないかなって」。30年間第一線で歌ってきて、今思う事というのは、やはり説得力があるし、こういう強い気持ちがなければ、激動の音楽業界では生き残れないという事だろう。激しい波に、時には翻弄されながらも、でもファンを味方につけ、一体化しいい波に変え、歌い続けてきた。「Time after time」の最後の一節で、工藤はどうしてもこのアルバムを終わりたかったという。<深くあたたかいこの希い>――工藤が自分を応援してくれている全ての人に贈るメッセージだ。
新アルバム『凛』

新アルバム『凛』

工藤静香のソロデビュー30周年を記念したオリジナルアルバム。
作曲に玉置浩二、松本孝弘などを迎え、作詞には長年のタッグを組んできた松井五郎や今回初めて作詞を依頼した伊集院静などが参加、また作詞・作曲で岸谷香、まふまふ、吉田山田などバラエティに富んだアーティストからの初提供を受けて、デビュー30周年の集大成となる作品.

工藤静香が振り返る懐かしの過去アルバム

1988年1月21日リリース『ミステリアス』

1988年1月21日リリース『ミステリアス』

「今歌っても全然違和感がない曲ばかり。17歳の私に、歌手で生きていくと決意させてくれた忘れられない作品です。「禁断のテレパシー」を歌っている時は正直、まだ一生歌っていくなんて思ってなくて、おニャン子クラブでやっている時なんて、将来はパン屋さんになろうって思っていました(笑)」。
1988年7月21日リリース『静香』

1988年7月21日リリース『静香』

全曲中島みゆき作詞、後藤次利作・編曲。初のオリコンアルバムランキング1位を獲得。「ここから中島みゆきさんとの関係が始まりました。当時みゆきさんにどハマりしていて、このアルバムも大好きな曲ばかりです。当時ディレクターの渡辺有三さんと後藤次利さんを中心に、色々なクリエイターの方が、“工藤静香”というものを懸命に作り上げてくれました」。
1989年3月15日リリース『JOY』

1989年3月15日リリース『JOY』

「このアルバムも「天使みたいに踊らせて」「奇跡の肖像」とか、今でもディナーショーで歌っているお気に入りの曲が多いです。でも「No no no no~琥珀のCocktail~」は、コンサートでいつも頭の<No~>のところの入り方を間違えたり、<no>をひとつ多く歌ったり、一回もまともに歌えなかった気がする(笑)」。
1989年10月4日リリース『カレリア』

1989年10月4日リリース『カレリア』

愛絵里名義で、初めて作詞に参加(「美粧の森」)。「フィンランドのヘルシンキまで行って録ったアルバムで、バブリーでした(笑)。当時はコンサートにもすごく予算をかけていて、階段のようになっているセットに、ストリングスがズラッと並んだり、本当に豪華でした。「丘の上の小さな太陽」が大好きで、今でも聴くとグッときます。」
1990年4月4日リリース『rosette』

1990年4月4日リリース『rosette』

「(後藤)次利さんがアレンジの方向性を変えたかったのか、新しいエッセンスを入れたかったのか、「Draw4」名義で門倉聡さんや藤井丈司さんらが新しいアレンジャーとして参加して、色々チャレンジし始めた頃」の作品で、8曲ながらシンセサイザーやシーケンサーを多用し、ゴージャスなサウンドで濃厚な一枚になっている。
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