もはや刑事ドラマそのもの?伝説の子供向けヒーロー番組『特救指令ソルブレイン』
2017年1月31日 更新

もはや刑事ドラマそのもの?伝説の子供向けヒーロー番組『特救指令ソルブレイン』

現在は平成仮面ライダーシリーズが放送されている日曜朝8時。かつて、この時間に放送されていた『特救指令ソルブレイン』は、明らかに子供向けから逸脱しているようなドラマ”も”展開されることがしばしばありました。

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右からソルジャンヌ、ソルブレイバー、ナイトファイヤー、ソルドーザー
レスキューポリスシリーズ第2弾であるこの作品は、前作『特警ウインスペクター』の直接の続編という形になっています。
犯罪が高度化した近未来を舞台に、“特装救急警察“であるソルブレインが様々な事件に立ち向かうというストーリーが展開されました。
敵が人間の犯罪者であるという関係であまり着ぐるみの怪人は登場せず、また本作では犯罪者の心も救うというテーマが設定されていたため、さらに「刑事ドラマ」らしさがパワーアップしています。
加害者よりも被害者側に圧倒的に非があるというパターンも多く、本当は正しい人間であると知りつつも犯人に苦渋の決断をして逮捕、という展開もよく見受けられました。
そんな異色の特撮ヒーローである、『特救指令ソルブレイン』を振り返ってみましょう。

ソルブレインってどんな番組?

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画像はソルブレイバーです。
前年の『特警ウインスペクター』に次ぐ『レスキューポリスシリーズ』の第二作である本作品は、『ウインスペクター』の続編として制作された作品。正木本部長が引き続き登場したり、中盤にて『ウインスペクター』のメンバーがゲスト出演するなどといった展開が見られ、後半からは『ウインスペクター』の主人公であった香川竜馬がセミレギュラーとして再登場した。
設定面では前作の基本的な部分を踏襲しつつ、メンバーごとの役割の分化やよりリアル感のある強化スーツや装備のデザイン、大型救助母艦の導入など、新たな要素を導入していく試みがなされている。演出面では、ソルドーザーのクローラー変形時のアニメーションにCGが導入されている。
その一方でドラマ面は前作以上に刑事ドラマとしてのカラーが強まることとなり、戦闘よりも事件の捜査に割かれる時間が長い。犯人や被害者が死亡したり、また本来はごく普通の市民でありながら、悪人あるいは社会的事情によって追い詰められ止むに止まれず罪を犯して逮捕される(例:第10話)など、悲劇的な結末を迎えるエピソードも多い。
『ロボット刑事』や『機動刑事ジバン』、そして前作『特警ウインスペクター』など、それまでも東映のヒーロー物には刑事ドラマをモチーフとしたものが多く存在していました。

このソルブレインでは敵が怪人やロボットのような得意なものがあまり登場せず、登場した場合でもその背景に悪人やその他の「人物」が存在していて、犯人やそれを取り巻く人物たちのドラマが多く描かれていたことが特徴です。

ソルブレインのメンバーは?

名優・宮内洋が演じた正木本部長は本作でもレギュラーとして毎回登場しています。

中盤で一度前作の主人公・香川竜馬が帰国し、その後再び新しい姿となって帰ってきたことは特撮ヒーローものの中でも珍しい展開でした。

それでは、ここで登場人物たちを振り返ってみましょう。
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西尾大樹/ソルブレイバー
ソルブレイン行動隊部の若き隊長で、24歳の警視正。例によって頭脳明晰、スポーツ万能とチート能力の持ち主。有事の際にはソリッドスーツ・ヘビータイプをプラスアップしてソルブレイバーとなり、おもに犯罪者の逮捕、人々の救助で活躍する。強い正義感と優しい心の持ち主であるが、それ故に非情に徹しきれない甘さが何度か見られた。


樋口玲子/ソルジャンヌ
ソルブレイン行動隊部の隊員で、22歳の警視。刑事としての能力は勿論、医師としての技術も持っているため、有事の際にはソリッドスーツ・ライトタイプをプラスアップし、ソルジャンヌとなって災害現場での負傷者の応急処置などに活躍する。なお、レスキューポリスシリーズでは唯一の変身ヒロインである。


ソルドーザー
ソルブレイン行動隊部の隊員で警部の、バリアブル・レスキュードロイド。ソリッドスーツ以上の厚い装甲とパワーを持ち、大規模な災害現場での救助活動に活躍する。地上走行形態ドーザークローラーに変形が可能であり、変形シーンは当時としては珍しいフルCGだった。人間と変わらない優しく無邪気な感情を持っており、変形導入前には怖がって拒絶したこともある。特撮では悪役を演じることの多い加藤精三がヒーロー役を務めた、かなり珍しい例でもある。


香川竜馬/ファイヤー/ナイトファイヤー
前作、ウインスペクターの隊長。前作最終話でフランスに渡っていたが、ある事件を追って日本に一時帰国し、ソルブレインと合同捜査を行った。その後は一時再びフランスへ戻っていたが、インターポール東京支部捜査官に任命され、新型ソリッドスーツをひっさげ「ナイトファイヤー」となってソルブレインに協力した。最初の帰国の際には大樹と対立していたが次第に彼を認め、ギガストリーマーを託した。当時としては掟破りの、前作の主人公が新スーツをひっさげて登場するというとんでもない事をやらかしたためか、ソルブレイバーの肩身は狭くなる一方であった…


正木俊介
前作から2作連続で本部長として登場。
前作にて、第1話で逮捕した人物が最終章にて脱獄、再度犯罪に手を染めたことを目の当たりにしたことで、人命だけでなく心も救えるような警察機関の設立を目指し、ウインスペクター渡仏後にソルブレインを組織した。
宮内洋氏の熱演は大変印象的であり、変身しない人物にもかかわらず当時発売されていたソフビ人形セットに名を連ねたことからも、その存在感の大きさがうかがえる。

印象的な敵キャラクターたち

この番組は刑事ものである都合上、毎週必ず登場するような悪役は存在しません。しかし、複数回登場したキャラクターも存在しました。
高岡隆一
本作後半に度々登場するマッドサイエンティスト。第1話から、作中で情報収集、解析用スーパーコンピューター「クロス」の声も務めていたてらそままさきが、顔出しで演じた珍しい役。
両親は小規模なIC製造会社を営んでいたが、同業社との合併に際してトラブルに巻き込まれ、一家心中をはかったが1人だけ助けられた過去を持つ。なお、高岡姓は養子に迎えられた先の苗字。
初登場時には、実家の会社を裏切り、合併先に売り渡したとかねてから憎んでいた元専務の息子を誘拐し、その用心棒に、金属生命体を移植したプロレスラーをつけるなど、天才的な発明を次々と送り出す。誘拐事件を阻止されて以降は、標的をソルブレインに変更して何度も挑戦。最終話で服毒自害する。
高岡を演じたてらそままさき氏は、この後に同じ時間帯で放送された『仮面ライダー電王』において主人公の仲間・キンタロスを演じました。
この他にも様々な印象に残る悪役(?)キャラクターたちが番組には登場していました。

・様々な姿に自身を変化させることができるロボット・メサイア(脳は人間のもの)

・現代日本への復讐のために放火活動を続ける老人たち

・養子を轢き逃げされ、さらにその事件を隠蔽した親子に復讐しようとするFBIの男・コスギ

など、犯人たちのドラマが主人公たちを差し置いて展開されていたのがこの作品です。

当時発売されたおもちゃ

ストーリーが話題となることが多いこの作品ですが、商品展開にも力が入れられていました。
ネット上には当時放送されていたテレビCMが数本残されています。

バンダイ『ソルブレイン DXソリッドステイツ-Ⅰ』 CM 【宮内洋】 1991 - YouTube

前半は消化シーンなどで出番が多かったため、この赤い母艦を覚えている方も多いのでは?

【懐かCM】バンダイ 特救指令ソルブレイン パイルトルネード(1991年) - YouTube

こちらは番組後半に登場した武器です。

あまりソーセージと関係はありませんが、かっこいい映像です。
母艦SSIは大型の装備ということもあり本編のドラマパートに登場することは少なく、主に消火活動のシーンにおいて活躍していました。
また、悪人やその他の犯人がSSIを強奪しようとするエピソードも数本存在します。

パイルトルネードは、前作から引き続き登場していた大型アイテム・ギガストリーマーに加えて番組内で新登場した装備です。ナイトファイヤーとソルブレイバーの両方が使用していたため、どちらのキャラクターが好きな人でも欲しくなる特別なおもちゃでした。

この他に、「ミニットブレインシリーズ」という約10センチのアクションフィギュアも発売されていました。地方のおもちゃ屋さんでは、未だに在庫があることもあるようですよ。
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