『スタンド・バイ・ミー』(監督:ロブ・ライナー、1987年)の魅力とみどころを徹底紹介!解説レビューまで公開します!~
2019年10月13日 更新

『スタンド・バイ・ミー』(監督:ロブ・ライナー、1987年)の魅力とみどころを徹底紹介!解説レビューまで公開します!~

1986年に公開されたアメリカ映画。 原作はモダン・ホラーの大家スティーヴン・キングの非ホラー短編集『恐怖の四季』の中に収められた、秋の物語『THE BODY』(『死体(英語版)』)です。 思春期に差しかかった少年4人が〝ひと夏の冒険〟に出かけるストーリーで、そのゴールには「死体探し」というちょっとしたホラー要素が含まれます。 誰にでもある〝少年期―少年の頃の懐かしい思い出〟が満載です。 その「少年のときだからこそできる、無鉄砲な冒険譚」が本作では輝くほどに展開します! 所せましと彩られた傑作の名シーンから〝隠れた名場面〟まで、今回は「本作の魅力」を一挙ご紹介していきます!

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【本作の魅力!5】:素朴な語らい

冒険中に4人は、それぞれの悩みを打ち明ける機会を得ます。

ゴーディにはゴーディの、クリスにはクリスの、それぞれに深い悩みを抱えています。その悩みの核心部分をそれぞれの語り口で明かすのです。

とくにゴーディには兄との間のコンプレックスがあり、「自分なんかいなくなればいい」と心底で思うほどの哀しさがありました。

その心の機微を上手く拾ってケアしフォローするクリスの表情は、まさに〝生涯の親友〟とも言える暖かい力を醸し出します。

「お前は物語を創るのが上手いんだから、そんなこと気にせず、生まれ持った自分の才能を信じればいい」

このクリスのセリフにゴーディは、積もらせてきた哀しみを一気に放出して泣きます。そして成長したゴーディは、見事にライターとして成長しました。

どうぞこの4人の語らいを、存分に味わってみて下さい。「こんな友だちがほしい」とつい思ってしまう名場面がちりばめられています。

【本作の魅力!6】:冒険の最高のスリル

冒険には〝何が起こるかわからない、未知のスリル〟があります。本作のストーリーでもこの〝スリルあふれる展開〟が始終つきまといます。

はじめはオーソドックスに自然の脅威や事変のスリル、そのうち〝スリル〟が人に形を変えて〝不良グループに追われるスリル〟に移り変わります。

次々と移り変わる〝スリル〟の連続に、視聴者はおそらくエンドロールまで飽きずに観賞することができるでしょう。

ですが本作に埋れた〝本当のスリル〟は目に見える所にあるのではなく、4人の過去に隠された「経験から生まれてくるスリル」にあります。

テディには軍隊上がりの父親がいて、その父親にテディは耳を切りつけられてずっと傷を持つことになります。このような暗い過去歴からテディの性格は、親の愛情を異常にほしがる〝飢えた人間像〟を醸します。

町でも冒険中でもテディには〝自分で招いてしまうスリル〟が次々現れます。

このような「生活歴による個性が生み出すスリル」の様子を、ストーリー中に確認するのも面白いでしょう。

【本作の魅力!7】:ストーリーは現在形で

「死体探しの冒険譚」が主なストーリーですが、その冒険を終えた後でも、4人の人生はそれぞれで違ってきます。

ゴーディは作家になり、この4人でした冒険の記録を物語風にアレンジしていきます。クリスはその後に独学で勉強して法律家になり、テディとバーンは疎遠になります。

原作ではさらに踏み込み、冒険中に出会ってしまった不良グループに今度は町でからまれるシーンまでが展開されています。

映画では大人になったゴードンの語りにより「その後の展開」が明かされますが、その後続のストーリーがあまりに斬新です。冒険中の4人に友情を感じてしまった人には、もしかすると泣けるほどの衝撃もあるでしょう。

どうぞ本作を味わう際には、そのメインストーリーだけでなく、「その後の4人のストーリー」にも触れてみて下さい。まさに少年期だけでなく、4人の人生そのものを描写した、壮大な設定に気づくでしょう。

【本作のみどころ!その1】:みんなのアジトの丸太小屋

4人には〝アジト〟とする、木の上の小屋があります。

少年ならではの簡素な作りの小屋ですが、4人はいつもそこに集まって、人には言えない悩みや興味や趣味を共有し合います。

そこで交わされるトランプ遊びやはしゃぎよう!

クリスとテディとバーンの3人は比較的明るく、コンプレックスを抱えながら繊細なゴーディとは少し一線を画します。

そこでトランプ遊びの〝切り札〟を出すゴーディの姿勢には、他の3人と自分とをはっきり分ける心象のようなものが浮かびます。

このような細かいシーンを見逃さないことで、その後のストーリー展開にも「4人のそれぞれの立ち位置」がはっきり見取れるでしょう。

【本作のみどころ!その2】:チョッパーが追い駆けてくる!

4人は冒険中、まだキャッスルロックを出てすぐの所で、チョッパーという凶暴な犬を飼っているおじさん宅に入り込みます。

4人はおじさんに自分たちの存在がバレないようにと細心の注意を払いますが、ひょんなことからバレてしまい、結局チョッパーに追い駆けられます。

このときの4人の表情!

必死に逃げる4人の真剣かつ面白い有様が、おそらくこの場面に1番あふれています!このときの4人とおじさんとのやり取りも、実にハラハラさせる〝リアルタイムな仕上がり・テイスト〟になってます。

【本作のみどころ!その2】:列車が追い駆けてくる!

またまた冒険中に、4人は森から出た所の陸橋に差しかかります。

その陸橋を渡らずに迂回するとまる1日かかってしまい、もとより無鉄砲のテディの勧めで全員がそこを渡るハメになります。

「自分たちが渡り終えるまでは列車はこない」という何の根拠もない少年らしい信望の下(もと)、4人は潔く陸橋を渡り始めます。

テディとクリスはバーンの前方を歩いていたため、そのまま陸橋を渡り終えますが、ゴーディはバーンの後ろを歩いていたのでなかなか渡り終えません。

バーンは四つん這いになって渡っていたのでかなり遅かったのです。

しているうちに、「絶対にこない」はずの列車が来てしまいます。

ここから先に陸橋を渡り終えたテディとクリスが見守る中での、バーンとゴーディの懸命の〝橋渡り〟の開始です。

ハラハラドキドキ感は、おそらくこのシーンでしょう。

コミカルなタッチで描かれる〝陸橋でのつなわたりのようなシーン〟を、ぜひ暖かく見守ってあげましょう。

【本作の名シーン!その3】:恰好よすぎるリバー・フェニックスことクリスの優しさ

クリスとゴーディはもとより級友ですが、この冒険を通してさらに親密になります。生涯の友とも言えるでしょうか。

クリスは自分の悩みを持っていますが、ゴーディは兄とのコンプレックスで非常に挫折しており、クリスは自分の悩みを放ったままで、そのゴーディの心に寄り添います。

ゴーディには文才がありましたが、それまでは誰もその才能を認めてくれず、その陰でゴーディは自分の夢をあきらめていました。

兄とのコンプレックスから生まれた「自分が兄の代わりに死ねばよかった」と言わせるほどの深い悩みが、追い打ちをかけるようにゴーディにのしかかります。

そんなとき、クリスはゴーディに作家になることを勧めます。

ゴーディが〝今悩んでいる核心部分〟を聞き、この夢に向かわせる愛情の深さは、いつもそばにいてくれる〝親友の友情〟が溢れます。

暗い森の中でのクリスとゴーディの語らいのシーンでは、クリスは自分の悩みを打ち明けながらも明るく振る舞い、またゴーディの悩みを聞いて支えます。

このようなクリスの優しさに魅了される場面を、ぜひ本作の要所で吟味してみて下さい。

【本作のみどころ!その4】:エースと不良グループの脅威

もともと「死体探しの冒険」は、バーンの兄が仕入れてきた情報から生まれたものです。

それを盗み聞きしたバーンがクリス、テディ、ゴーディの3人に打ち明け、4人は「ブラワーの死体探しへの冒険」に出ます。なので、この冒険はもともと不良グループのものでした。

不良グループのリーダー・エースは、冒険中の4人に出くわし「冒険を中止しろ」と脅してきますが、いえばもっともな主張です。

でも冒険をやめなかった4人ですから、それから不良グループと少年4人とのしつこい紛争が始まります。

このような背景の下、不良グループと4人は、2度、クライマックス的な対決を果たします。
1度目は町中、2度目は森の中です。

町中ではエースがクリスを押さえつけ、自分の言う事を聞かせるシーンですが、そこでは〝力の差〟を見せつけられます。

そして2度目はラストシーン。冒険であるていど自立して成長できた4人は、今度は不良グループに屈しません。今度のエースとクリスの争いはさらに切迫しますが、ここでゴーディの勇気が冴え、不良グループはすごすご退散します。

ぜひこの成長した少年たちの姿をお見逃しなくご堪能下さい。

【本作のみどころ!その5】:ブラワー発見時のゴーディとクリス

「もともとが死体探しなんだから、パーティ気分にはなれないよ」

これはゴーディが呟くセリフですが、4人どのような気持ちで冒険しているかが知れる貴重なワンカットになるでしょう。

冒険の目的が〝死体探し〟なので、確かにルンルン気分ではありません。ですがテディやバーンは「ヒーローになれること」を夢見て初めから冒険をしており、その浮かれ気分をどうしても捨てられません。クリスも初めはそうでした。

でも冒険しながら段々ブラワーに近づくにつれ、「ブラワーも自分たちと同じ少年で、自分たちと同じように悩みを抱えたり、冒険したいという思いもあっただろう…」という、別の見方が出てきます。

クリスもゴーディの言うことに納得し、テディとバーンを諭す形で、結局、死体を持ち帰ることはしませんでした。

このラストシーンの4人それぞれのあり方を、ぜひご堪能下さい。本作『スタンド・バイ・ミー』を醍醐味がわかるでしょう。

【解説とレビュー】

本作『スタンド・バイ・ミー』を小学生時に初めて観ましたが、今でも鮮明にその感動を呼び起こすことができるほど、〝忘れることのできない感動と魅力〟を植えつけられました。

なんといってもクリスの優しさと愛情が味わい深い…。

ゴーディはどちらかというと現代によく見られる〝悩める少年〟の姿を持ち合せており、実際にこのゴーディの立ち位置になる人は多いかと思われます。

だからこそ余計に「クリスみたいな親友がほしい」と想わされるのでしょう。

「スタンド・バイ・ミー」の日本語訳は「いつでもそばにいてほしい」となり、さらに超訳すれば「いつもそばにいてくれる親友像」となります。

少年には少年なりの、中高生なら中高生なりの、それぞれの「その時にしかない悩み」があり、またそれと同時に「その時にこそ欲しい親友」の姿があるのでしょう。これはおそらく誰にでもあるように思います。

つまり本作『スタンド・バイ・ミー』という映画は、

人の人生にいつでも飛び込んでくる不朽の名作

となるでしょう。

本作は決して少年の悩みだけなく、成長してもつきまとう〝人生の悩みとあこがれ〟を素直に捉えています。

このような背景と内実をともに、多くの人がこの『スタンド・バイ・ミー』を今でも心のコレクションにしていることでしょう。
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