では、そんなガンプラブームピーク時、可動的にも造形的にも、劣等生の最下層だった1/144ゲルググの旧作プラモデル版を、筆者は今回なぜ用意したのか。
そんなに市川大河はゲルググマニアなのか?
というか、筆者は正直ゲルググには何も思い入れはなく、普通に今回もちゃんと他方では、出来が良くて「ゲルググに当たりなし」ジンクスをようやく30年越しで払拭したHGUC版を用意してあるのだが、ではなぜ、こんな駄作ガンプラをわざわざもう一つ用意したのかというと、やはりそこにも、筆者なりの理由というか、ネタ的な活用法がある。
そんなに市川大河はゲルググマニアなのか?
というか、筆者は正直ゲルググには何も思い入れはなく、普通に今回もちゃんと他方では、出来が良くて「ゲルググに当たりなし」ジンクスをようやく30年越しで払拭したHGUC版を用意してあるのだが、ではなぜ、こんな駄作ガンプラをわざわざもう一つ用意したのかというと、やはりそこにも、筆者なりの理由というか、ネタ的な活用法がある。
考えてみよう。
テレビ版でゲルググが登場した頃合いを境に、『機動戦士ガンダム』作画監督にしてアニメーションディレクターでもあった安彦良和氏は病床に倒れ現場を離れ、安彦氏を失ったガンダム作画は、無残なまでに崩壊していたではないか。
『機動戦士ガンダム』では、そもそもが日本サンライズ(当時)が下請け中心の零細企業というのもあって、キャラもメカも初動から作画崩壊は数多くあったが、安彦氏がリタイアしてからの作画崩壊は歯止めが効かず、だからこそ劇場用映画版『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)は、客寄せ目的で新作画というハッタリを利かせたのではなく、シリーズ後半の作画部分があまりにも酷い画が多いので、安彦氏復帰を迎えて、そもそも論的に描き直したスタッフの意地の結実であるという側面も多い。
テレビ版でゲルググが登場した頃合いを境に、『機動戦士ガンダム』作画監督にしてアニメーションディレクターでもあった安彦良和氏は病床に倒れ現場を離れ、安彦氏を失ったガンダム作画は、無残なまでに崩壊していたではないか。
『機動戦士ガンダム』では、そもそもが日本サンライズ(当時)が下請け中心の零細企業というのもあって、キャラもメカも初動から作画崩壊は数多くあったが、安彦氏がリタイアしてからの作画崩壊は歯止めが効かず、だからこそ劇場用映画版『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)は、客寄せ目的で新作画というハッタリを利かせたのではなく、シリーズ後半の作画部分があまりにも酷い画が多いので、安彦氏復帰を迎えて、そもそも論的に描き直したスタッフの意地の結実であるという側面も多い。
そこで、メカ事情からいうと、劇場版では、テレビ版で使い勝手が悪かった、スポンサー玩具会社のクリスマス商戦用合体メカ・Gアーマーを「最初から無かった」ことにして、代わりにコア・ブースターというメカが登場するのだが、ここまでは誰もが覚えている劇場版とテレビ版の違いだろう。
しかし、それを前提にした時、いまや名場面となっている、シャアのゲルググとアムロのガンダム、そこで運命の、エルメスのララァとの邂逅の中に割って入ってくる、シャアの妹のセイラという構図で、テレビ版だとセイラはGファイターで、映画版だとコア・ブースターでそこに登場するというのがある。
しかし、それを前提にした時、いまや名場面となっている、シャアのゲルググとアムロのガンダム、そこで運命の、エルメスのララァとの邂逅の中に割って入ってくる、シャアの妹のセイラという構図で、テレビ版だとセイラはGファイターで、映画版だとコア・ブースターでそこに登場するというのがある。
鳴り物入りで、作画スタッフのリベンジ精神溢れる新作画版『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙編』であっても、全ての画を新作画するわけにもいかず、どうしてもテレビ版の作画崩壊カットを使わねばならないシーンもあったのだが、では、そこのシーンの再現だけでも、不出来には不出来を、という意味のネタで、旧1/144ゲルググを使ってみたらどうだろうか、というのが今回の狙い。
まぁネタバレはあまり避けるが、メインのビジュアルではちゃんとHGUC版ゲルググが主役を務めるので、こちらの方の製作はラフでいいよなと妥協してモデリング。
キットのままだと碌なポーズもとれない「駄目キット」の典型例だが、作画崩壊の再現としては適任だろうと認識している。
キットのままだと碌なポーズもとれない「駄目キット」の典型例だが、作画崩壊の再現としては適任だろうと認識している。
今回は、いつものようにキットはストレート組。
塗装は、頭部と四肢のピンクは成型色をそのまま活かし、ボディのあずき色はガンダムカラーUG11シャアレッド。モノアイとコックピットハッチはピンク、シールドはパープルとイエロー、膝頭とスリッパのグレーは、ガンダムカラーUG15 ファントムグレー、ナギナタは、柄はキャラクターイエローで塗ったが、刃は“あえて”スカイブルーで塗装した。
塗装は、頭部と四肢のピンクは成型色をそのまま活かし、ボディのあずき色はガンダムカラーUG11シャアレッド。モノアイとコックピットハッチはピンク、シールドはパープルとイエロー、膝頭とスリッパのグレーは、ガンダムカラーUG15 ファントムグレー、ナギナタは、柄はキャラクターイエローで塗ったが、刃は“あえて”スカイブルーで塗装した。
ガンダムマニアの古参ファンであればお約束かもしれないが、ゲルググのビームナギナタは、テレビ版(ブルー)と映画版(イエロー)で、ビーム部分の彩色設定が異なっている。
なので、『めぐりあい宇宙編』ではよく観ると、新作画部分ではゲルググは黄色のビームナギナタを振るっているが、テレビ版のカットを流用したシーンでは、ブルーのビームナギナタを振るっていて、カット毎に異なったりしている(わざわざ色を変えたのは、黄色いビームサーベルを使うギャン対ガンダムの戦闘カットを、ギャンが登場しないためにゲルググとの戦闘シーンに差し替えたため、ビームの色をイエローに変えないと辻褄が合わなかったためとか。いや……そこで辻褄を合わせた結果、もっと辻褄が合わなくなってますやん的な……)。
今回の、この1/144当時キットは、あくまで「テレビ版ゲルググの見立て」なので、ナギナタのビーム部分はスカイブルーで塗装するというのが流儀なのである。
しかし……なんだ。35年ぶりに作ったけど、このキット……いろんな意味で、出来……悪いな(笑)
なので、『めぐりあい宇宙編』ではよく観ると、新作画部分ではゲルググは黄色のビームナギナタを振るっているが、テレビ版のカットを流用したシーンでは、ブルーのビームナギナタを振るっていて、カット毎に異なったりしている(わざわざ色を変えたのは、黄色いビームサーベルを使うギャン対ガンダムの戦闘カットを、ギャンが登場しないためにゲルググとの戦闘シーンに差し替えたため、ビームの色をイエローに変えないと辻褄が合わなかったためとか。いや……そこで辻褄を合わせた結果、もっと辻褄が合わなくなってますやん的な……)。
今回の、この1/144当時キットは、あくまで「テレビ版ゲルググの見立て」なので、ナギナタのビーム部分はスカイブルーで塗装するというのが流儀なのである。
しかし……なんだ。35年ぶりに作ったけど、このキット……いろんな意味で、出来……悪いな(笑)
市川大河公式サイト
光の国から愛をこめて
フリーランスライター・脚本家・演出家・元映画助監督・制作進行
市川大河が語る、ウルトラマン、ガンダム、日本のカルチャー
おろおろ 2020/5/8 18:32
3年前のスレッドのようですが、たまたま通りかかったので踏んでおきます。失礼します。
さて、本キットは、私のガンプラライフの一台目。いわば記念碑的キット。当時発売されてすぐ、1/100ドムと一緒に購入し、はじめてプラモデル を塗装した思い出のキットです。当時の感想は、かっこよすぎて震える、でした。そもそも同当時は、可動域だのポージングだのを問題にするものは、既に大学生以上の大人ぐらいであったと思います。当時、私は中学1年でしたが、ただただアニメ内に出てきた機体が自分の手の中に現物として存在するという事実だけで感動したものです。現代の目線で、出来が酷いなどというのは甚だナンセンスです。ちゃんと当時を思い出してください。