スピルバーグが子役を絶賛!原作を超えた最高傑作「泥の河」
2017年1月25日 更新

スピルバーグが子役を絶賛!原作を超えた最高傑作「泥の河」

1981年公開の「泥の河」は宮本輝原作・同名小説の映画化です。モノクロの映像から漂う戦後の匂いは強烈。そして9歳の信雄が生まれて初めて体験する「生と死、どんな境遇でも生きていくということ」が観ている者の胸にこれでもか!と突き刺さる「泥の河」は80年代邦画の名作です。信雄ときっちゃんの出会いと、短すぎる2人の別れまでの時間を振り返ります。

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きっちゃんのお母さんは凄いベッピンさん!

きっちゃんのお母さんは凄いベッピンさん!

ある日、信雄が船に遊びに行くと姉弟2人共不在。奥から「顔を見せて」と言われ、母のいる部屋に初めて挨拶に行く。「うちのお母さんよりキレイです!」と信雄が口走ってしまうほどの美しい人だった。
via けん
彼女もまた、戦争の影を引きずる悲しい大人の1人だった

彼女もまた、戦争の影を引きずる悲しい大人の1人だった

via けん

きっちゃんとの別れ

天神祭りの夜。信雄の母から50円ずつ小遣いをもらう。「お金を持ってお祭りに行くの、初めてや!」きっちゃんは満面の笑顔。2人は嬉々として出かけたが、お金を預かったきっちゃんのポケットが破けていて落としてしまう。何も買えずにそのまま祭りを後にした。
必死で落とした50円を探す2人

必死で落とした50円を探す2人

via けん
祭りを楽しめずトボトボ家路に着いた2人。信雄を元気づけようと、いい物を見せるからと船に誘うきっちゃん。竹箒の先にたくさん住み着いた蟹を油に浸し、火をつけ遊ぶきっちゃんに驚く信雄。「可哀想だからやめろ!」と言っても蟹に火をつけ続ける。火がついたままの一匹が船縁を逃げていく。信雄が四つん這いで追いかけていくと、窓から男に乗られたきっちゃんの母がいた。
次々に蟹に火をつけるきっちゃんに異常性を感じる信雄

次々に蟹に火をつけるきっちゃんに異常性を感じる信雄

via けん
きっちゃんの母は信雄と目が合ったままそらさない

きっちゃんの母は信雄と目が合ったままそらさない

via けん
「あの船には夜は絶対行っちゃあかん」その答えを知ってしまった。信雄は、四つん這いのまま後ずさりし、急いで靴を履いて船から降りた。途中で銀子に会ったがうつむいたまま何も言えず家まで戻った。
「自分の母が何をしていたのか」それを信雄が見たと知った...

「自分の母が何をしていたのか」それを信雄が見たと知ったきっちゃんは、涙を溜めた瞳で信雄の後姿を見送った

via けん
翌朝、きっちゃんたち母子の暮らす宿船が牽引船に引かれ動き出した。「きっちゃん」信雄は小さくささやき、そして駆け出した。何度か「きっちゃん」と叫ぶものの、誰も船から顔を出さない。信雄は泣きながら小さくなっていく船を見送った。
「きっちゃん!」宿船が見えなくなるまで見送った

「きっちゃん!」宿船が見えなくなるまで見送った

via けん

私的、オススメシーン

☆きっちゃんが初めて遊びに来た日

「あんたら、帰ってんか!」静かに怒りをあらわにする父。

「あんたら、帰ってんか!」静かに怒りをあらわにする父。

きっちゃん姉弟が遊びに来ているのもあり、「もう今日は早仕舞い」とやってきた客を帰らせようとするが、粘られ結局キツネうどんを作ることに。客の1人がきっちゃんに気づき、「廓船の子や!」とからかう。晋平がたしなめても「母ちゃんに代わってこの子が客引きしてる」とからかった。きっちゃんはじっと本を読んだフリで耐えていた。そこへ、晋平が怒り客を追い出す。晋平の人柄が伝わるシーンです。
via けん

☆学校の校庭で1人で遊び信雄を待つきっちゃん

けん (1777927)

学校に通わせてもらえないきっちゃんは、信雄の学校の校庭に勝手に入り遊んで信雄を待つ。遊びながら学校に通っていた頃を回想するきっちゃん。信雄が校門から出てきたところで合流する。そこへクラスメートから信雄だけ「テレビ観に来いよ!」と誘われる。「この子もいいだろ?ぼくの友達なんだ」身なりが汚いことからきっちゃんはダメだと断られると、「じゃあ行かない!」と信雄。2人の友情を固いものにしたシーン。その時のきっちゃんの笑顔が最高でした!
via けん

私的、見どころ!

☆戦友を歌うきっちゃん

自分は歌がうまいと「戦友」を歌うきっちゃん

自分は歌がうまいと「戦友」を歌うきっちゃん

死んだ父親が酔っ払うと歌っていて覚えたという。晋平が戦争中に居た満州の事を思い出すシーン。
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思い出を語ろう

     
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  • 苺大福 2021/10/16 21:27

    この映画を初めて見たのは高校生位でしたが、また見たくなりました。
    初めて見た頃は何の苦労も知らなかった女子高生、そしてこの記事を読む今までの間に子供を持ち、様々な苦労を思い出すと、この映画の意味がしみじみ解り、泣けてきます。
    後世に残したい名作ですね。

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