実際の事件が題材の『都会の森』
2021年3月7日 更新

実際の事件が題材の『都会の森』

1990年にTBS系列で放送された法廷ドラマ。高嶋政伸が演じる新米弁護士の八橋進介が、事件を解決するために悩み苦しみながらも、その糸口を見つけて成長していく姿を描く。検事一家に育った父に逆らい、弁護士としての道を選んだ進介。父と子の確執もドラマの大きな見どころになっている。

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強い正義感を持った進介を演じたのは高嶋政伸

進介は、父の宣明(佐藤慶)と戦った舟本守道(鈴木瑞穂)の事務所に勤め、窃盗事件の弁護をすることになる。しかし、上がり性のため思うように弁論できない。それに加えて書類の不備などの失敗が続く。
被告人である女教師が犯行を自白している、不倫女教師・夫殺し事件を担当することになった進介。教え子の父親と不倫関係を持った女教師が、不倫がバレたために口論になり夫を殺したとされる事件で、誰の目にも女教師が有罪に見えた。しかし進介は、法廷で被告人の無罪を唱えた。
進介は、犯行時刻に被告である野中弥生(和泉ちぬ)を見たと言い、自分がその証人だと訴える。
その日、進介は弥生が運転する車と接触したことを覚えていた。そして目撃者には、進介が行きつけのバーの日下清彦(徳永英明)がいたと言う。
犯行時刻に弥生と進介を目撃している日下は、バーを辞めてしまい現在は行方不明。証言を諦めた進介だったが、自身が弥生の車に手が触れたことを思い出す。車には進介の指紋が残っていたことで、進介が弥生を目撃したことは証明されたが、それが犯行時刻だったことまでは証明できずにいた。
そこで、事件の重要なカギを握る弥生の教え子の草太(神田利則)と、パソコン通信で仲良くなろうと試みる進介だった。

事件は解決に向かっていくと思われたが…

検察側の証人として証言台に立った草太。犯行時刻の前に、パソコン通信で弥生と会話していた草太は、夫の暴力で弥生が危険な目にあっていると知る。慌てて犯行現場に自転車で向かった草太だったが、目撃している事件の肝心な部分の記憶が無い。
夫に首を絞められている弥生を目撃した草太は、ショックから意識を失ってしまう。目が覚めたときは、弥生が凶器のブロンズ像を拭いていたと言う。弥生のために必死に記憶を取り戻そうと、進介に記憶の断片を話す草太だった。そして進介は、真犯人の正体に気が付き青ざめてしまう。

進介が憧れている舟本美波子を演じたのは黒木瞳

進介が働く、舟本法律事務所の所長である舟本守道の娘の美波子は、進介が学生時代に憧れていた。
凄腕の美人弁護士と評判の美波子で、ついたあだ名は黒い女豹。だが実際は、父が大切に思っている舟本法律事務所を守りたいと、地道に信用を得ようと努力をしている。
真犯人を確信した進介は、その哀しい真実に悩む。真実を隠そうとする被告人の気持ちを守るべきなのか、弁護士として事件の真実をきちんと追究するべきなのか…。
真実の追究ばかりにこだわっている進介に対して、美波子は、それは弁護士の正義ではなく、情より法を説く検察官の正義だと、進介の出した答えを否定する。
真犯人の存在に気付きつつある進介らを恐れた弥生は、弁護人を解任した。
この事件からは手を引こうと、美波子達に諭されも、諦められない進介。
田中美佐子演じる、片桐晶からヒントをもらった進介は、弥生の妹の朝子に連絡し進介らを選任してもらう。

宝塚歌劇団ではトップ娘役だった

1981年に、宝塚歌劇団に月組の娘役として入団する。入団した時の成績は、39人のなかで3位だったと言われている。
1982年には、朝日放送の「おはよう朝日です・土曜日です」にレギュラー出演するなど、活躍の場を広げて行った。
宝塚歌劇団の退団後、初の映画主演デビュー作となったのは、東陽一監督「化身」。原作は「日本経済新聞」に連載されていた渡辺淳一の同名小説で、1986年に公開された。
黒木瞳が演じたのは、バーで働く霧子と言う、田舎から出てきた若い女の子だった。藤達也が演じる中年男性の秋葉は、初々しい霧子に惹かれていく。
霧子は、着飾ってどんどん美しくなり、まさに変身を遂げる。
宝塚出身の黒木瞳が映画の中で全裸になったことで、非難もあったようだが、日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞するなど、評価を得られた。

美波子と対照的な女性弁護士を演じるのは田中美佐子

美波子とは司法修習の同期で、白いライオンと言われている片桐晶は、舟本法律事務所に所長代理のようなものとして採用される。
その昔、晶は才賀伸也(伊武雅刀)を巡り、美波子とバトルを繰り広げていて、犬猿の仲の関係だ。
現場検証の日、晶は奇手を使い反攻に出ることにした。弥生に犯行を再現させると、身長が低いために凶器のブロンズ像が取りにくい位置にあったことが判明する。不意をつかれた弥生は動揺を隠せないでいた。勢いよくハッタリで挑んだ現場検証だったが、晶は思わぬ収穫を得た。
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このドラマの伏線として張られているのが、父と子の関係だ。宣明の好物であるラッキョウを、実は進介も好きだったと言うエピソード。
進介がらっきょうを盗み食いしていることに気付いていた宣明は、進介にらっきょうは好きか?と聞くと進介は、はいと答える。そんな進介にらっきょうを差し出す宣明。
弁護士への道を歩み始めた進介に、よくやったと笑顔で酒を勧め、褒める宣明。号泣する進介は、お父さん俺頑張りますと、泣きながららっきょうを食べる。

確かな演技力で数々のドラマや映画で活躍

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