2022年5月20日 更新
実現しなかった千代の富士の「プロレス転向」!大日本プロレスのエース抜擢計画!
漫画原作者の梶原一騎が自ら出資者となり設立を計画していたプロレス団体「大日本プロレス」。エース候補として、当時相撲界の人気力士だった高見山と千代の富士に白羽の矢が立ったというのが定説となっています。しかし、団体の設立目前で頓挫し、実現は叶ませんでした...。
そしてまた梶原自身も奔放な性格で知られ、喧嘩に女、酒は当たり前で傷害事件も起こしています。憧れていた大山倍達を題材にした「空手バカ一代」を通して、大山とは義兄弟の間柄になるも、後年は作品に関するトラブルから疎遠となっています。
EP「空手バカ一代」
梶原漫画の世界では、過酷な環境で生まれ育ったキャラが努力を重ねて大成するも、最後は破滅するという定番化されたパターンがありましたが、梶原もまた数々の疑惑や裁判を抱えながら、長年の不摂生がたたり、生存率の極めて低い壊死性劇症膵臓炎に罹患し、50歳の若さでこの世を去っています。
スタン・ハンセンも千代の富士には憧れていた!?
新日本プロレスのリングで長く活躍し、「不沈艦」「ブレーキの壊れたダンプカー」などと呼ばれたレスラー、スタン・ハンセンが、現役時代に千代の富士と雑誌の企画で対談を行っています。
その対談で千代の富士は過去にプロレスへの誘いがあったことを自ら話しています。
DVD「不沈艦伝説 スタンハンセン」
この対談は相撲好きであるスタン・ハンセンが希望し実現したようで、リスペクトを込めて「あなたがプロレスラーにならなくて本当に良かったよ」と語っています。
対談の時期はおそらく横綱となり、ウルフフィーバーに沸いていた1982年頃。
千代の富士は力士としては小柄でしたが、そのハンデをカバーするべく、肉体を筋肉で覆いつくし横綱にまで上り詰めた漢。現在でも細身で筋肉質な体格「ソップ型力士」の代表格ともされる千代の富士。そんな彼をスタン・ハンセンも一目を置いていたのではないでしょうか。
CD「スタン・ハンセン」
千代の富士はどの位強かった?
得意技の右四つ、上手投げを武器に歴代3位となる幕内優勝31回、幕内戦歴 807勝253敗81休(81場所)という戦績を残した千代の富士。また、双葉山の偉大な記録である69連勝には及ばないものの歴代3位の53連勝を記録しています。
VHS「大相撲大全集「昭和の名力士」 1 横綱双葉山」
引退「体力の限界」
1991年5月14日、新小結の貴闘力との一番に敗れた千代の富士は、直後に会見を開いて涙ながらに引退を報告しました。「体力の限界…。気力もなくなり引退することになりました」のコメントは印象的で、千代の富士の土俵人生を振り返る映像では度々登場する名シーンとなりました。
引退した夏場所は、2場所連続で休場してからの復帰場所でした。しかし、初日に当時18歳だった貴花田に負けるなど、明らかに本来の力とは言い難い状況で迎えた3日目の貴闘力戦。「今日負けたら引退する」と心に決めて土俵に立っていたそうです。
大鵬の持つ最多優勝記録(当時)と並ぶまであと1回としていましたが、千代の富士本人は「遠い記録だったが近づけただけで満足」と清々しいコメントを残しています。
その後
引退後は九重部屋を継承します。先代との意見の相違などもあり、弟弟子・八角(元横綱・北勝海)の独立もありましたが、13代目の師匠として後進の育成に尽力しました。大関・千代大海幕内を育てたことでも知られています。
また、中日新聞に相撲の解説コラムを長年連載していました。独自解説だけでなく、稽古不足の力士の多さに警鐘を鳴らし、下半身の強化不足を指摘し続けていました。
日本相撲協会では1994年に役員待遇に昇格。審判部副部長を経て、2008年からは理事に就任し、広報部長・指導普及部長を務めていました。協会内ではいわゆる出世街道からは外れ、現役時代の実績からみると冷遇されていたとも言えるスロー出世でした。九重親方の「豪傑すぎる言動」が原因としてあったのではと囁かれていますが、実際のところは不明のままです。
晩年はがんとの闘病生活が繰り返され、2016年7月に膵臓がんのため、61歳の若さで亡くなっています。
2022年4月「千代の富士」がTwitterのトレンドに!
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ライモン 2022/5/23 01:12
千代の富士がもしレスラーになっていたら、千代の富士をモデルとした『キン肉マン』のウルフマンの実写版になっていたかも。
Grand sumo show-wa 🐺 🏝 2022/5/21 03:37
両関取土俵に留まり大正解だったかも・・・
もしリングへ往っちゃえば「国民栄誉」だ、などなかったかもしてないし・・・
「2倍!2倍!」なんてできなかったかも・・・