ネットが無い時代、バックパッカーたちのバイブルだった『深夜特急』
2016年2月26日 更新

ネットが無い時代、バックパッカーたちのバイブルだった『深夜特急』

現在のようにインターネットのない時代、海外の情報が容易に手に入るはずもなく、海外旅行は一般的な娯楽ではありませんでした。そんな中、多くの若者を“一人旅”へと駆り立てた伝説の紀行小説『深夜特急』と、そのドラマ化作品『劇的紀行 深夜特急』について振り返ります。

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共演は松嶋菜々子

共演は松嶋菜々子

松嶋菜々子さんが演じる女性(手塚真理子)は、原作には登場しないオリジナルキャスト。主人公の恋人でデザイン事務所勤務という設定です。
回を追うごとに大沢たかおさんが“本物の旅人”になってい...

回を追うごとに大沢たかおさんが“本物の旅人”になっていく様は必見

旅の熱気にあふれ、見る人すべてを旅人にしてしまう感動作!
恋人が出てきたり、原作にはないエピソードもちらほらと見られますが、このドラマ版もこれはこれでとても良く出来た見応えのある作品に仕上がっていました。
原作である小説とは違う描かれ方も

原作である小説とは違う描かれ方も

ドラマではマカオに行っておらず、原作におけるマカオのカジノでの“大小”の勝負は、ドラマでは香港の宿で行われていたりします。
時代設定はドラマが撮影された1996年から1998年にかけてとなっているため「劇的紀行 深夜特急'96〜熱風アジア編〜」の中では香港がまもなく中国に返還されることが触れられている(香港は当時イギリス領で1997年の中国返還前であった)。また、「劇的紀行 深夜特急'98〜飛光よ!ヨーロッパ編〜」には日本人画家・千葉郁世がそのまま「千葉」として出演するなど、各回のドラマの本編最後には原作をもとにしたフィクションではあるものの一部実在の人物・団体の名称を使用していることが表示されている。
沢木耕太郎氏が実際に旅をしたのが26歳の時ということから考えると、小説で描かれてるのは1970年代前半ですから、ドラマ作成時とは時代背景が違います。もとより完全に原作どおりに作るのは不可能で、ドラマ版に小説と違う部分が見られるのも仕方ありません。

深夜特急 主題歌 「積荷のない船:井上陽水」 97 - YouTube

このドラマで使用された歌は井上陽水さんの「積み荷のない船」という歌。名曲です。

【小ネタ】日本のロケ地情報

大沢たかおが出発前に日本で仲間たちとワイワイ話をする場...

大沢たかおが出発前に日本で仲間たちとワイワイ話をする場面に出てくるのは新宿三丁目の老舗「どん底」

三島由紀夫、美輪明宏、冨士真奈美ら、多くの俳優、芸術家、作家たちが通ったという老舗居酒屋です。
 (1586948)

大沢たかおさんもこのドラマのロケ地として同店が使われたのをきっかけに何度か来店したとのこと。

ドラマ『劇的紀行 深夜特急』が放映された1996年頃は旅ブーム!?

20代の出国者数・出国者率ともに1996年がピーク!

20代の出国者数・出国者率ともに1996年がピーク!

(図:20代の出国者数と出国者率の推移)
1996年頃は、海外へ旅に出る若者が多い時代でした。

ドラマ『劇的紀行 深夜特急』放映の影響はもちろん、他にもテレビの影響がまだまだ大きかった時代でもあったと思います。

「タイは、若いうちに行け。」

「タイは、若いうちに行け。」

「タイは、若いうちに行け。」

いしだ壱成さんのタイ国際航空のCMのコピー「タイは、若いうちに行け。」が大きなインパクトを与えたのが1995年。いしだ壱成さんのCMは1997年までシリーズが作られ、その後TOKIOの長瀬智也さんに引き継がれました。

「タイは、若いうちに行け。」CM - YouTube

これらの一連のCMによってタイが若者でも楽しめる旅行先と認知されるようになったのは、誰もが認めるところでしょう。

そしてこのCMがはじまった翌年の1996年、さまざまな無茶に挑戦したテレビ史上類を見ない伝説のバラエティ番組『進め!電波少年』で、猿岩石による過酷なヒッチハイク旅がはじまりました。

お笑いコンビ・猿岩石の「ユーラシア大陸横断ヒッチハイク!」

『進め!電波少年』最大のヒット企画となった「猿岩石のユ...

『進め!電波少年』最大のヒット企画となった「猿岩石のユーラシア大陸横断ヒッチハイク」

所持金はたったの10万円で、ヒッチハイクだけでユーラシア大陸を横断し、ロンドンを目指す。あまりに無謀なこの企画の人気が爆発!!幾多のピンチを乗り越えロンドンに到達した猿岩石の姿に日本中が感動しました。
実は『進め!電波少年』のプロデューサーだった土屋敏男氏...

実は『進め!電波少年』のプロデューサーだった土屋敏男氏も『深夜特急』のファンだった

とある雑誌のインタビューで『深夜特急』が好きだったと語っています。
「それまでの『電波』の海外を舞台にした企画で、おカネがないからヒッチハイクという移動手段がよく使われていたんだけど、言葉の通じない中で出演者が四苦八苦する姿が面白かったんですよ。それで、ヒッチハイクだけで番組を作れないかなと考えていた。若い頃から、沢木耕太郎さんの『深夜特急』が好きだったんだけど、アジア~ヨーロッパ横断をヒッチハイクでやったら面白いんじゃないかな、と思ったんですよ」
『深夜特急』が好きでそれを元に企画した土屋敏男氏の「猿岩石のユーラシア大陸横断ヒッチハイク」と『深夜特急』を映像化した『劇的紀行 深夜特急』が同じ年にはじまるなんて、なんだか運命的なものを感じますね。
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