有り余るエネルギーを抱く若者が向かった先は北極!日本人初の南極点無補給単独徒歩到達に成功した冒険家、荻田泰永さん。
2018年10月17日 更新

有り余るエネルギーを抱く若者が向かった先は北極!日本人初の南極点無補給単独徒歩到達に成功した冒険家、荻田泰永さん。

カナダ北極圏に始まってグリーンランド、北極海を中心に主に単独徒歩による数々の冒険に挑戦。世界でも有数の北極冒険キャリアを持つとともに、2018年1月に日本人初となる南極点への徒歩による無補給・単独踏破に成功した北極・南極冒険家の荻田泰永さんにその歩みを伺いました。

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-そしていよいよ極点チャレンジの時が来た。
一言でいえばこいつマジだなって思われるかどうかだと思うんです。あ、本気でやってんなって思ってくれるかどうかに尽きると思って。」

「自分のこの道を続けていって、その先に大きな遠征をやるとなった時には、そういう姿であるべきだなと思っていました。応援されなきゃいかんだろうなと。いよいよ北極点やる、というときには次のフェーズに移るときが来たなと。それまで社会関係なく、一人でバイト、北極、バイト、北極、バイト、北極とやっていたのを、自分から社会に飛び込んで、社会に交わっていく。そういう日が来たな、というのが正直な気持ち。2010年くらいに北極点をやろう、と決めたときには飛び込みで、企画書持ってあちこち回りましたね。社会勉強のつもりで。」

はじめての飛び込み営業!

「企画書作って、A4で何枚かパチンと留めて、名刺作って、とりあえず東京駅の周りとか、うろうろ歩いて、大きい会社、ああ、知ってるな、と思ったら行ってみようって入って。
受付にお姉さんがね、二人いるじゃないですか。すいません、っていって、こういう者なんですけど、どなたかお話聞いてもらえないですか。
で、大きい会社であればある程門前払いされないんです。絶対誰かしらいるので。で、そこで話するわけです。そこで多分、人に話す練習をしたし、人に説明する練習もしたし。
会社勤めもしたことがないですから、大学を中退してそれからバイトと北極しかしてないんで。「会社」ってものがわからない。会社って何だろう、と。
でも、スポンサーを集めるということは、会社を相手にしないといけないってことで。わからないわけですよ。じゃあ会社に行ってみようと思って、まずそこからやり始めたんです。」
-そんな中で、企業さんとの素敵な出会いはありましたか?
「結果的に言うと、飛び込みからのスポンサーにつながったことはないです。
ないんだけれども、それは、わかってたんです。初めからそれで良かったんです。社会勉強なので、自分にとっては。
でも『会社としてどうこうはできないけれども個人的にはすごく面白いから、紹介するからこの人のところに行ってごらん』って、紹介してくれたり、その後も時々メールくれて『がんばってますか』とか連絡くれたりする人もいるんです。それはすごくうれしかったし、面白かったし、なんか勇気をもらえたし、よし頑張ろうと思った。
逆に『昔はやってましたけど今はやってないんですよ、ごめんなさいね。』なんて言われると、絶対に振り向かせてやるぞって闘志が湧いて来たり。そんなことはいっぱいありましたよね。」
下記「南極チャレンジ」サイトにもあるように、いまでは数々の企業から協力が集まって荻田さんのチャレンジは成り立っています。

これからも応援の輪はますます広がっていくことでしょう。

あの頃の根拠のない自信、エネルギー!いまでは?

「どうでしょうね、同じものがありますよ。あの頃はそれをどこに向ければいいか知らなかったけど、今はそれをただ知ったというだけで。それ以外は何も変わらないです。」

「積極的な惰性とでもいうか、いまは行ける場所があるってことですよね。どこにぶつければよいのか分からなかったエネルギーを目いっぱいぶつけることが出来る場所。」
-社会に身を置くと人知れず受け身になって、生活のパターンが受け身になっていくってことがあると思います。その中に身を置く人たちからするともう「あ、すごい生き方だな」って感じるのではないでしょうか。ただ言葉をなぞっていくと自然と言いますか。努力はもちろんのこと、やりたいからやってるという。
「努力はしてないですよ(笑。」

次は自分が若い人を連れていく、あの頃の大場さんのように

「失敗して痛い目も見たし、色んな教訓も得たし、今度は若い子たちを連れて行こうかなって思うんです。経験の浅いうちはそんなことできないですからね、恐ろしくて。」
-一緒に連れていった若い人から、もしかしたら荻田さんの若い頃のような物凄いエネルギーがあってどうしようこれっていう人が出てきて…。
「まあいるかもしれないですよね。もう何人か行きたいって言っている子は、大学生だったり社会人のまだ1年目2年目ぐらいの子とかいますよね。何人かいますよ。」
「やりたいからやる」
とはいえ、それを実行し続けることの困難さは誰もが知っています。

最後に荻田さんの語った言葉、それはとても心に残りました。
「子供のころの話なんですけど、なんで自分がこういう考え方とか行動になったかを紐解くヒントとなるのはやっぱり親なんですよね。両親の育て方というか、まあ育て方ですよね。
私、男兄弟3人の三男坊なんですけど、子供の頃に褒められた覚えがないんですよ、叱られた覚えもない。
でも放任された覚えもないんです、ずっとちゃんと見てるんです。でも口は開かないっていうか、よく喋りますよ。けど、あれやれこれやれって言われた覚えないです。そのかわり、やるなと言われた覚えもないんです。
あれをやれこれをやれ、もしくはあれをやるなこれをやるな。一切言われた覚えがないんですね。
要は指導みたいなことがね、叱るとかないんですよね。うちの両親は口は出さないんです、ただ目は絶対離さないんです。ずーっと見られてるのはわかってるんですよ。物凄い、ただ人一倍心配してくれてるんですよ。でも一切言わないし、手も出そうとしてこないんですよ。子どものころから。
そうすると子どもからすると好きなことが出来るし、あと褒めるって、褒めるも評価じゃないですか。私の中では、叱るっていうのはわかりやすい評価ですが褒めるってわかりにくい評価だと思うんですよ。叱るも褒めるも、いずれにしろ評価なんですよね。
うちの両親は褒めることもないんですよ。つまり評価をしてこないんですよ。そうすると子どものころから自分がやる行動一つ一つの行動原理が評価を求める行動ではなくなるんですよね。褒められたいとか目立ちたいとかではなく、やりたいからやるしやりたくないことはやらないし、別にやらないところで叱られるわけじゃないので。だから褒めるって、一方でいいことのように捉えられがちだけど、危険な方法だなってのは個人的に思うんですよ。」
「やりたいからやる」

その結果で世間が荻田さんを取り上げて評価されようが、荻田さん自身はもう次のやりたいことに向かっている。

その道をみて、また次の「やりたいこと」を探す人たちが動いてくれればいい。

荻田さんの飽くなきチャレンジ、これからもずっと続いていくことでしょう。
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