「成田 亨さん」ってどんな人?
成田 亨(なりたとおる 1929年~2002年)は青森県出身で、武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)で学んだ彫刻家でした。美術学校在学中に映画『ゴジラ』(1954年)の製作現場を手伝ったことをきっかけに特撮映画の世界に入り、1966年~68年に放映された『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』のヒーロー、怪獣からメカやセットのデザインまでを引き受けました。当時、巨大化したクモやカメなどが「怪獣」の主流だったなかで、「ウルトラマン」や「バルタン星人」「カネゴン」「ガラモン」「ケムール人」など、世代を超えて親しまれる個性的なキャラクターを生み出したのは、成田が同時代のモダンアートを吸収して培った造形センスによるところが大きかったといわれています。
via zigsow.jp
すでに2002年に他界された成田さん。
けれど多くのキャラクターたちが、今なお愛され続けています。
後ほどいくつか紹介しますが、昭和だったあの頃「今までに見たことのない」怪獣やヒーローをたくさん生み出した成田さんの、その創作活動を振り返ってみたいと思います。
けれど多くのキャラクターたちが、今なお愛され続けています。
後ほどいくつか紹介しますが、昭和だったあの頃「今までに見たことのない」怪獣やヒーローをたくさん生み出した成田さんの、その創作活動を振り返ってみたいと思います。
via twitter.com
美しい宇宙人「ウルトラマン」が誕生するまで
『成田亨の美しい宇宙人-ウルトラマン誕生秘話』
日本経済新聞・日経アートレビュー(2009年10月8日)で、成田亨さんが取り上げられました。
近年特に、成田さんの怪獣デザインが「現代美術」として高く再評価されるようになり、美術館で展覧会が開かれることが多くなりました。
みんなが夢中になったウルトラマンの姿。
初めから、この無駄を省いた美しいデザインだったわけではありませんでした。
近年特に、成田さんの怪獣デザインが「現代美術」として高く再評価されるようになり、美術館で展覧会が開かれることが多くなりました。
みんなが夢中になったウルトラマンの姿。
初めから、この無駄を省いた美しいデザインだったわけではありませんでした。
模索期の設定
初期設定の段階では、「ベムラー」「レッドマン」という名のキャラクターでした。
これではまだ、正義の味方に見えません。
ここから、いろいろな考えを取り入れたり削ったりしながら、あのデザインへと変遷していくのです。
これではまだ、正義の味方に見えません。
ここから、いろいろな考えを取り入れたり削ったりしながら、あのデザインへと変遷していくのです。
via ameblo.jp
ウルトラマンのデザインに込められた思想
「突破口はギリシャの哲学者プラトンが唱えた『混沌(カオス)と秩序(コスモス)』という概念です。様々なパーツを合成する怪獣がカオスなら、ヒーローは単純で美しいコスモスでなければならない。そのコスモスとして生まれたのが、この姿です。」
(「美の巨人たち」成田亨『MANの立像』より引用)
『時間を超越した目を、ウルトラマンにはもたせたかったんですよ。そして、全身の皮膚感とのつり合いに苦心しましたね。仮面でもなく、宇宙マスクでもない、かたちとして納得させられるものにたどり着くまで悩んだんです』
(「ウルトラマン誕生」実相寺昭雄 著 ちくま文庫 成田亨の言葉より引用)
『表面の地色が銀色というのは、やっぱり宇宙時代的に、銀色でいこうと思った。単純な、全く単純な発想です。宇宙ロケットなんかからの連想です。
体の線は、やっぱりウェットスーツ着たまんまだと人間になってしまう。どうしても。それでも宇宙人だというから、宇宙人らしくしなきゃいけないし、そのためにはやっぱり、火星の模様を入れようかと思いついた。』
(「成田さんの仕事」http://www.infosakyu.ne.jp/~yamaken/sfxbooks/narita/narita.html#n1 成田亨の言葉より引用)
(「美の巨人たち」成田亨『MANの立像』より引用)
『時間を超越した目を、ウルトラマンにはもたせたかったんですよ。そして、全身の皮膚感とのつり合いに苦心しましたね。仮面でもなく、宇宙マスクでもない、かたちとして納得させられるものにたどり着くまで悩んだんです』
(「ウルトラマン誕生」実相寺昭雄 著 ちくま文庫 成田亨の言葉より引用)
『表面の地色が銀色というのは、やっぱり宇宙時代的に、銀色でいこうと思った。単純な、全く単純な発想です。宇宙ロケットなんかからの連想です。
体の線は、やっぱりウェットスーツ着たまんまだと人間になってしまう。どうしても。それでも宇宙人だというから、宇宙人らしくしなきゃいけないし、そのためにはやっぱり、火星の模様を入れようかと思いついた。』
(「成田さんの仕事」http://www.infosakyu.ne.jp/~yamaken/sfxbooks/narita/narita.html#n1 成田亨の言葉より引用)
via ameblo.jp
こうした様々なアイデアやアプローチが、ウルトラマンを形作っていきました。
さらにここに、大切な要素が加えられます。
それはアルカイックスマイルでした。
さらにここに、大切な要素が加えられます。
それはアルカイックスマイルでした。
アルカイックスマイルとは
クーロスのアルカイックスマイル(国立考古学博物館・アテネ)
古代ギリシャのアルカイック期(紀元前700年~500年頃)に製作された人物の立像(コレー、クロス)に表現された表情から来た言葉。
顔の表情は感情表現を極力抑えている中で、口元だけが微笑みの形を伴っていることが特徴。
無表情にも拘らず口元に笑みをたたえたような表情の事を「アルカイックスマイル」と呼ぶ。
顔の表情は感情表現を極力抑えている中で、口元だけが微笑みの形を伴っていることが特徴。
無表情にも拘らず口元に笑みをたたえたような表情の事を「アルカイックスマイル」と呼ぶ。
弥勒菩薩像やモナリザにもみられるアルカイックスマイル。
見る人によって、その表情の意味が違って受け取られる不思議な微笑みです。
成田さんは「その口にしたかったんですよ」とおっしゃっています。
見る人によって、その表情の意味が違って受け取られる不思議な微笑みです。
成田さんは「その口にしたかったんですよ」とおっしゃっています。
「本当に強い人間はね、戦う時かすかに笑うと思うんですよ」
美の巨人たち 「成田亨 『MANの立像』」
動画の15:08ごろから、成田さんご自身が、アルカイックスマイルについて語られています。
短いコメントですが、ぜひ作者の生の声を聞いていただけたらと思います。
短いコメントですが、ぜひ作者の生の声を聞いていただけたらと思います。
via www.youtube.com
via www.cinra.net
動く彫刻 古谷敏
ケムール人と古谷 敏
ウルトラQで怪獣の製作をしていた時、成田さんは初の試みで、ウエットスーツを使用しました。
それがこのケムール人です。
そしてこのケムール人の中に入っていたのが、俳優の古谷敏さんでした。
成田さんは古谷さんにウルトラマンを依頼しました。
でも古谷さんは乗り気ではありませんでした。
「顔が出ない俳優なんて俳優じゃないから、僕はいやだったんです。成田さんは、
『背が高くて、やせてて、敏さんしかいないから。』『主役は古谷敏なんだ。ウルトラマンが主役なんだ。』と、くどきにかかったんです。」
「美の巨人たち」成田亨 『MANの立像』古谷敏のインタビューより引用
それがこのケムール人です。
そしてこのケムール人の中に入っていたのが、俳優の古谷敏さんでした。
成田さんは古谷さんにウルトラマンを依頼しました。
でも古谷さんは乗り気ではありませんでした。
「顔が出ない俳優なんて俳優じゃないから、僕はいやだったんです。成田さんは、
『背が高くて、やせてて、敏さんしかいないから。』『主役は古谷敏なんだ。ウルトラマンが主役なんだ。』と、くどきにかかったんです。」
「美の巨人たち」成田亨 『MANの立像』古谷敏のインタビューより引用
ヒーローはもちろん、お話の中で毎週様々な怪獣が現れるのも大きな楽しみでした。
あなたはどの怪獣が印象に残っていますか?
私たちの記憶に残っている特徴ある怪獣・ヒーローたちの多くは、成田亨さんのデザインから生まれました。