宇宙戦士ダンガム
かつて存在した玩具メーカー・コスモスが販売していた「宇宙戦士ダンガム」。80年代にビックリマンチョコのシールのパチモン「ロッチ」を制作していたことでも有名なコスモスですが、元々はガンダムの版権を獲得していました。しかし、その後版権がバンダイに移ったことから、ガンダム関連商品を正規で制作することが出来なくなり、ガンダムのデザインを変えた「宇宙戦士ダンガム」というパチモンに手を染めることとなりました。
ガチャガチャメーカーとして名を馳せたコスモスの悲哀。
上述の「宇宙戦士ダンガム」を制作していた玩具メーカー・コスモス。現在40代~50代の方が駄菓子屋などに行くと、このメーカーのガチャガチャがよく置いてあったので覚えている方も多いのではないでしょうか?
via ja.wikipedia.org
1977年に設立されたコスモス。玩具メーカーとしては小規模な会社であったものの、「ガチャガチャ」を使用した販売形態をヒットさせ、全盛期には全国に50万台のガチャガチャが駄菓子屋などに設置され、当時の小学生にとって放課後の楽しみになっていました。
このコスモスを語る上で外せないのは、知的財産権の問題です。これは前述の「宇宙戦士ダンガム」に加え、ロッテのビックリマンシールそっくりの「ロッチ」や、タカラのチョロQそっくりの「チョロカー」といった、流行に便乗したパチモンを知的財産権を無視して多数制作していました。そのため、1988年にはロッテから著作権法に違反しているとして告訴され、多額の賠償金をロッテ側に払うことに。そういった経緯もあり、1988年にコスモスは倒産し、新たな会社に引き継がれることとなりました。
80年代におけるパチモンを語る際によく引き合いに出されるコスモスですが、上述のパチモン系商品の他にもユニークなガチャガチャを多数制作していました。2015年にはバラエティ「マツコ&有吉の怒り新党」にて「新・3大コスモスの冒険しすぎたガチャガチャ」と題した特集が組まれ、コスモスのユニークな玩具が多数紹介されています。その中には、「蛇口のミニチュア模型」「16連打マシーン」「三角形の面積を覚える玩具」「長島一茂のサインボール」などもあり、想像力豊かなクリエイターが同社の商品開発に関わっていたことを伺わせます。
怒り新党なう。新3大コスモスの冒険しすぎたガチャガチャ(´ω`)
— 火拳の坊主 (@fukuisan291) May 20, 2015
長島一茂サインボール
公式カー
鍋焼うどんジグソーパズル#怒り新党#ガチャガチャ#コスモス#ワッキー貝山 pic.twitter.com/ybt1LZSXaO
「長島一茂のサインボール」などの写真。
知的財産権の問題が引き合いにだされるコスモスですが、その一方でテレビアニメ「めちゃっこドタコン」などのスポンサーを務めたり、前述の通りガンダムの版権を獲得していた時期もありました。しかしながら、特に80年代に小学生時代を過ごした人にとっては「コスモス=パチモン」という印象は否めず、ガチャガチャでゲットした玩具についても、何か本物と違う物悲しさを感じてしまう人が多かったかと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?かつてのガンダムのパチモンについて見ていきましたが、実は現在でもガンダムのパチモンは海外を中心に散見されます。特に中国においては、遊園地にガンダムの偽物が飾られていると話題になりましたよね。そんな中国ですが、2021年には上海に正規の「実物大フリーダムガンダム」が進出する予定となっており、また日本のフィギュアの偽物を製造していた現地のメーカーを上海警察が摘発し、それに感謝する形でバンダイが「ユニコーンガンダム」の金色の模型を現地警察にプレゼントしたりと、近年中国では知的財産権の問題意識が高まっています。かつてはパチモンのメッカとも言われた中国ですが、それも過去の話になっていきそうです。
我々の心をなぜか惹きつけて止まない「パチモン」。知的財産権への意識の高まりにより、今後再びパチモンが隆盛を極める可能性は低いと思われますが、古き良き昭和を思い出させてくれる時代の一側面として、今後も語り継がれていくことでしょう。
我々の心をなぜか惹きつけて止まない「パチモン」。知的財産権への意識の高まりにより、今後再びパチモンが隆盛を極める可能性は低いと思われますが、古き良き昭和を思い出させてくれる時代の一側面として、今後も語り継がれていくことでしょう。