70年代を駆け抜けた向田邦子の魅力あふれる作品。その代表作がこちらです。
2021年2月24日 更新

70年代を駆け抜けた向田邦子の魅力あふれる作品。その代表作がこちらです。

70年代、倉本聰、山田太一と並んで「シナリオライター御三家」と呼ばれ売れっ子だった向田邦子。ホームドラマといえば向田邦子の右に出る脚本家はそうは居ませんよ。その魅力あふれる代表作がこちらです。

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長女・綱子は夫に先立たれ生花の師匠として生計を立てている。次女・巻子は中学生の一男一女をもつ、平凡なサラリーマン家庭の主婦。三女・滝子は図書館の司書勤めで男っ気がまったくなし。四女・咲子は親兄弟にも内緒で無名ボクサーと同棲している。
そんなある日、滝子が興信所に調べさせ、四姉妹の父親に愛人と子どもがいることが判明。四人は集まって母親を気遣いながら対処について話し合う。
しかし、自分たちも「秘め事」や「隠し事」を持っていて、周囲のさまざまな人を巻き込みながら疑心暗鬼が頭をもたげる。
「嫉妬」そして「男と女」。家族でちゃぶ台を囲みながら、庭先で白菜を漬けながら、日常のひとコマの中にちらっと覗く、内なる「阿修羅」。それでいてホームコメディのように人間模様を描いた作品。

阿修羅のごとく

嫉妬心や猜疑心を辛辣かつ繊細に描き出した「阿修羅のごとく」は、間違いなく向田邦子の代表作と言ってよいでしょう。またこの時期は円熟期と言えるのかもしれません。向田邦子は当時50歳です。

この作品もまた1999年に脚本が文庫化され、2003年に森田芳光監督によって映画化、2004年には舞台化もされています。

まさにこれからという時でしたね。1979年は他に「家族サーカス」「愛という字」を担当し、「源氏物語」「阿修羅のごとく パートII」「あ・うん」「幸福」を1980年に書きあげ、1981年「蛇蝎のごとく」「隣りの女 現代西鶴物語」「続あ・うん」という3本の作品を残して8月22日、51歳という若さで亡くなってしまうのです。取材旅行中の飛行機事故でした。

惜しい。あまりにも惜しい。巨大な才能を失ってしまいました。
時代に合わないということもあるのでしょうが、最近はホームドラマはあまり作られることがなくなってますからね。今日、向田作品を見ることが出来る喜びは大きいです。
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