グレートハンティング
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1970年代のオカルト映画、動物パニック映画などで刺激的な描写に慣れていた観客の度肝を抜いた、ライオンによって人が喰い殺されるシーンを売り物にしたドキュメンタリー映画である。『世界残酷物語』と同様、文明と野生を対比させてその根本は変わらない、むしろ人間のほうがおかしいのではないかと文明批判をするスタイルを装いつつ、キワモノ感覚に満ちたシーンを集めている。
実際にはライオンよりも、人間狩りのシーンの方が遥かに後味が悪い。C・サヴィーナの優しいメロディーに乗せて、動物と人間の戯れる姿を捉えたシーンだけがわずかな救い。
037:『グレートハンティング』 (Ultime grida dalla savana) - YouTube
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映画内容
野生も文明も、根底に流れているのは狩りである。
全世界の動物や人間の狩りを巡るエピソードを紹介していて、猿を飲み込む大蛇、ブーメランを使って狩りをするオーストラリアの原住民、成金となってしまって狩りを忘れてしまったエスキモー、遊びで狩られていく象やシマウマたち。
アフリカのアンゴラでは、バスから降りてライオンを撮影していた観光客が、背後からライオンに襲われ、家族の目の前で食い殺された。
アマゾンの奥地では、飛行場建設に反対する原住民を白人が狩り出し、頭の皮を剥ぎ、首を切り落として嬉々としている。
しかしドイツのジーメン博士のように、野生の狼と共存している人間もいます。
パタゴニアの原野で鹿を狩るハンターに始まり、アボリジニの狩りの様子やエスキモーの生活風景などを、ラブ&ピースを標榜する文明社会ヒッピーたちの集会(景気よく脱いでエロ部門を兼任)と対比させ、「どちらが人間の本来の姿だろうか」なんて勿体ぶったナレーションが挿入される。
もちろんこれを観に来た連中は、どいつもこいつも「人がライオンに食われる瞬間」を期待して集まった、ご高尚な人間ばっかだから、そんなもっともらしいテーマなんか知ったこっちゃない。
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他にもここで詳細できない残酷なシーンが映画では沢山ありました。
「グレート・ハンティング」で話題のライオン襲撃シーンはねつ造?!
今のご時世に、「人がライオンに食われましたよ!」などとはしゃぎまくるCMをゴールデンタイムに投下したら、それはもう大問題になるであろう。
そんなことが大手を振るってまかり通っていた70年代というのは、なんとおおらかな時代であったのだろうか。
モンド映画の祖、ヤコペッティがネタ切れに陥り、そのまま映画界の第一線から退いたのと入れ替わるように登場したアントニオ・クリマーティ&マリオ・モッラ。
そのポスト・ヤコペッティコンビが最初に悪名を轟かせた映画が、この「人がライオンに食われる瞬間」を売りにした、「グレートハンティング 地上最後の残酷」である。
監督/製作/脚本:アントニオ・クリマーティ、マリオ・モッラ
音楽: カルロ・サヴィーナ