クロスオーバーの先駆け、トヨタスプリンターカリブ
2017年6月4日 更新

クロスオーバーの先駆け、トヨタスプリンターカリブ

今、世界中で人気の「クロスオーバーSUV」ですが、その先駆けともいえるクルマが、1982年にトヨタから発売されました。スプリンターカリブは、コンセプト、デザインともに斬新でした。

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モーターショーの参考出品車を市販化

1981年、トヨタは東京モーターショーに参考出品車RV-5を出展しました。今では「クロスオーバーSUV」としてスバルXVやアウディのオールロード・クワトロなど、乗用車ベースのSUVが多々ありますが、当時は世界的にも珍しいカテゴリーのクルマでした。そして翌1982年8月、スプリンターカリブの名で発売されました。スプリンターの名は付いていますが、前面はターセルにそっくりでした。

画期的だったのは、全グレードが4輪駆動車(4WD)のみというラインナップです。エンジンは1500ccの3A-U型のみ。当初は5速MTのみでしたが、のちに3速ATが追加されています。

1980年代前半は、まだ乗用車タイプの4WDは珍しい存在でした。トヨタは、FF車である2代目ターセル・コルサのプラットフォームを基本に、FR駆動の4代目カローラのリヤアクスルまわりを流用して4WDとしました。なお、2代目ターセル・コルサはFFとはいえエンジンは縦置きなので、4WD化が比較的やりやすい構造でした。
ターセル・コルサ系のフロントデザイン、高い車高、台形の...

ターセル・コルサ系のフロントデザイン、高い車高、台形のリアハッチが特徴だった初代スプリンターカリブ。

北米では、ターセルのラインナップの一員として、ターセル...

北米では、ターセルのラインナップの一員として、ターセルワゴンの名で販売された。

斬新だったリアデザイン

外観では、ターセル・コルサ系の顔とハイルーフの屋根、そして台形のリアハッチと縦長のテールライトが特徴でした。トヨタらしからぬ(!?)斬新なデザインと4輪駆動の機動性、そしてスキーブームが始まりかけたこともあり、初代スプリンターカリブは人気を集めました。

1984年、1986年と2度のマイナーチェンジが行われ、1988年2月に2代目にバトンタッチしました。
北米仕様であるターセルワゴンのリアデザイン。台形のリア...

北米仕様であるターセルワゴンのリアデザイン。台形のリアハッチ、縦長のテールライトが斬新だった。

1982 TOYOTA SPRINTER CARIB Ad

初代スプリンターカリブのテレビCM。デビューした頃は、まだまだキワモノの商品だったのが伝わってくる。

スプリンターベースとなった2代目

1988年2月、スプリンターカリブはフルモデルチェンジをし、2代目になりました。2代目はようやくスプリンターがベースとなり、6代目スプリンターと同様のフロントデザインとなり、型式もスプリンターの系列となりました。すでにRVブームの真っ只中にあり、2代目は発売と同時に好調な売れ行きを示しました。

メカニズム面では、初代と同様に全車4WDですが、パートタイム式からフルタイム式に変更。車高調整が可能な油圧式ハイトコントロールを採用し、走行中でも地上高を30mm上げることができました。エンジンはハイメカツインカム16バルブの1600ccを搭載し、100PSを発揮しました。

外観は、スプリンターに準じたデザインとなりましたが、高い車高は引き継がれました。縦長のテールランプも継続され、リアウインドーと同じ高さに設置されたデザインは、その後、多くのクルマで見られるようになりました。

1990年にマイナーチェンジが行われ、エンジン出力は110PSに強化。1993年にも再度マイナーチェンジが実施され、運転席エアバッグを標準装備するなど、安全性が強化されました。そして、初代と同じく日本車では珍しく7年半にわたるスパンを経て、3代目へとバトンタッチしました。
ようやくスプリンターの顔つきとなった2代目。ほどよいス...

ようやくスプリンターの顔つきとなった2代目。ほどよいスポーティ感と購入しやすい価格で、カリブ随一のヒット作となった。

2代目スプリンターカリブが採用した、リアウインドーと同...

2代目スプリンターカリブが採用した、リアウインドーと同じ高さのテールランプは、その後、多くのクルマに模倣された。

1987年CM TOYOTAカリブ ナショナル

2代目スプリンターカリブのテレビCM。このジャンルがすっかり定着しているのが伺える(動画後半は別の商品のCMです)。

カリブ初のFF車も設定

1995年8月にデビューした3代目は、セダンタイプのスプリンターを1世代飛ばし、8代目がベースとなりました。2代目がデビューした頃のRVブームとは違い、4WDといえばハイラックスサーフやパジェロのようなクロカンタイプが人気を集め、また、エスティマやタウンエースなどのワンボックスカーも一般的になっていたこともあり、従来の独立した存在よりも、スプリンターのステーションワゴン版という位置付けが感じられるようになりました。

当初は4WDのみの設定でしたが、1996年にスプリンターカリブ初のFF車が設定され、従来とは違う位置付けにあることが感じられました。実際、RVブームを経たことで、スプリンターカリブのユーザーには4WDが必要ない人も多くいました。RVが各社から発売されている中で、価格を下げて販売台数を増やす必要性もあったのでしょう。

エンジンラインナップも大きく変わりました。廉価版は従来通り1600ccなのですが、上級グレードの4WDは1800ccを採用。一方で、レビン・トレノなどに搭載している1600cc・20バルブDOHCエンジンの4A-GE型を搭載したモデルが、FF専用のグレードとして設定されました。
リアデザインは、引き続きテールランプが高い位置に設置さ...

リアデザインは、引き続きテールランプが高い位置に設置されたが、すでに多くのクルマに模倣され、2代目ほどのインパクトはなかった。

3代目スプリンターカリブに設定された4A-GE搭載車。...

3代目スプリンターカリブに設定された4A-GE搭載車。FFのスポーティ仕様だ。

1995年頃のCM Boyz II Men トヨタ カリブ TOYOTA Carib

3代目がデビューしたときのCM動画。

欧州仕様のフロントデザインを追加

1997年4月のマイナーチェンジでは、安全性を高めるとともに、4A-GE型搭載車のMT車が5速から6速になりました。1998年には丸型ヘッドライトのロッソが追加されました。これは、欧州仕様(カローラワゴンの名で販売)のフロントデザインです。

クロスオーバーワゴンの先駆けとなったスプリンターカリブですが、2002年に販売終了となりました。スプリンターセダンは2000年に製造終了となっており、カリブによってスプリンターというブランドが2年ほど生き延びたことになります。

RVブームによって急成長した一方で、RV市場が豊富になったために自らの寿命を縮める結果になったといえるかもしれません。昨今のクロスオーバーワゴンの隆盛を見ていると、もう一度復活してもらいたい、個性的なクルマでした。
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