モーターショーの参考出品車を市販化
画期的だったのは、全グレードが4輪駆動車(4WD)のみというラインナップです。エンジンは1500ccの3A-U型のみ。当初は5速MTのみでしたが、のちに3速ATが追加されています。
1980年代前半は、まだ乗用車タイプの4WDは珍しい存在でした。トヨタは、FF車である2代目ターセル・コルサのプラットフォームを基本に、FR駆動の4代目カローラのリヤアクスルまわりを流用して4WDとしました。なお、2代目ターセル・コルサはFFとはいえエンジンは縦置きなので、4WD化が比較的やりやすい構造でした。
斬新だったリアデザイン
1984年、1986年と2度のマイナーチェンジが行われ、1988年2月に2代目にバトンタッチしました。
1982 TOYOTA SPRINTER CARIB Ad
スプリンターベースとなった2代目
メカニズム面では、初代と同様に全車4WDですが、パートタイム式からフルタイム式に変更。車高調整が可能な油圧式ハイトコントロールを採用し、走行中でも地上高を30mm上げることができました。エンジンはハイメカツインカム16バルブの1600ccを搭載し、100PSを発揮しました。
外観は、スプリンターに準じたデザインとなりましたが、高い車高は引き継がれました。縦長のテールランプも継続され、リアウインドーと同じ高さに設置されたデザインは、その後、多くのクルマで見られるようになりました。
1990年にマイナーチェンジが行われ、エンジン出力は110PSに強化。1993年にも再度マイナーチェンジが実施され、運転席エアバッグを標準装備するなど、安全性が強化されました。そして、初代と同じく日本車では珍しく7年半にわたるスパンを経て、3代目へとバトンタッチしました。
1987年CM TOYOTAカリブ ナショナル
カリブ初のFF車も設定
当初は4WDのみの設定でしたが、1996年にスプリンターカリブ初のFF車が設定され、従来とは違う位置付けにあることが感じられました。実際、RVブームを経たことで、スプリンターカリブのユーザーには4WDが必要ない人も多くいました。RVが各社から発売されている中で、価格を下げて販売台数を増やす必要性もあったのでしょう。
エンジンラインナップも大きく変わりました。廉価版は従来通り1600ccなのですが、上級グレードの4WDは1800ccを採用。一方で、レビン・トレノなどに搭載している1600cc・20バルブDOHCエンジンの4A-GE型を搭載したモデルが、FF専用のグレードとして設定されました。
1995年頃のCM Boyz II Men トヨタ カリブ TOYOTA Carib
欧州仕様のフロントデザインを追加
クロスオーバーワゴンの先駆けとなったスプリンターカリブですが、2002年に販売終了となりました。スプリンターセダンは2000年に製造終了となっており、カリブによってスプリンターというブランドが2年ほど生き延びたことになります。
RVブームによって急成長した一方で、RV市場が豊富になったために自らの寿命を縮める結果になったといえるかもしれません。昨今のクロスオーバーワゴンの隆盛を見ていると、もう一度復活してもらいたい、個性的なクルマでした。