2025年大阪万博が決定!成功に向けて考えておきたい提言コラム!!
2018年11月25日 更新

2025年大阪万博が決定!成功に向けて考えておきたい提言コラム!!

大阪の、いや日本にとって大きな意味を持つ2025年の大阪万博開催が決定しました。1964年東京五輪、1970年大阪万博の再現との声も聞かれますが2025年の日本の姿は果たして?本稿は2017年春から夏に連載し好評を博した作家・木原浩勝氏による大阪万博応援を目的とした提言コラムをまとめたものとなります。

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……もちろん大阪万博2025ではない大阪万博1970の方を……。

次回は長かった第一章の最終回だ。

えーっ!?まだ書くことがあるの!?

あるんです。コラムとしてのとどめの一撃が……。

「8回続いた第1章も今回が最後!」

……が、さて本コラムを始めるにあたっては(8回もやっていて本筋にはまだ入っていないのだった)先ず、大雑把であったとしても2025年の予想を記しておきたかった……などと心配しながら書き続けた結果がここまでの長さとなった。

それは8年後の未来の2025年に開催されることを願う万博には、さらなる「未来社会デザインをする」という、いささか茫漠たるテーマを掲げていたからだ。
それで、2017年から8年後の「2025年という未来社会」に予想や空想というデザインを(一足先に)ほどこしてみたいと考えてしまうのは我が「万博好きやん(scan)研究所」としてはもう当然のことなのである。

それにしても……どうして“国際”万国博覧会のテーマに地方自治体のスローガンみたいな言葉を選んだのか外部の我々にはさっぱりわからない。このテーマに沿わざるを得なかったために思わぬ流れとなってしまった。
2017年の現在でさえ“ネット参加型”という企画計算も加えなければならないというのに、そこまで言及することすら出来なかったのは残念でならない。

ただ“ネット参加型”と書いた以上ここで少し触れておきたい点がある。
第4回目の「映像では驚かない」でVR(バーチャルリアリティ)についてほとんど書かなかったことをご記憶だろうか?
2017年現在の我々でさえVRを直接体験すれば、その現実的中身に驚くに決まっているが、VRそのものの存在は知っているので特に驚きはしないだろう……と予想するのだ。
そのVRが2025年の万博内やパビリオン内に登場したところで現在の延長線上なら、きっと「ここまで体感させてくれるのか!」のバージョンアップを味わえるくらいだ。
しかも何時間も大行列の末にやっと……。

ならば、“ネット参加型”のように万博会場の外で“VR参加型”もありなのではないかと思うのだ。つまり夢州外のあちこちに“エキスポステーション”なるモノを設け、ここにVRを設置して“万博会場内やパビリオンをVR体験”していただくのだ。(もちろん有料)
万博にVRではなく、VRで万博という場外万博体験システムを提唱しておきたい。
こちらの“身近なVR”ならきっと驚いてもらえるはずだ。
だって中身は行列や人混みの無い万博なんですから。
えぇ……いくらなんでも無理なことくらい承知していますよ。

さて、1970年の大阪万博には、未来をデザインするために高名なSF作家が多数参加した。(という)
2025年の大阪万博誘致アンバサダーにはダウンタウンが就任したが、今後どのようなジャンルで活躍する人々の参集が、2025年の大阪万博を表現し成功に導いていくのか楽しみにしたい。
相手はフランスのパリ。おまけに8年後は高齢者大国だし、そもそも地震大国だし、日本のロビー活動はいささか頼りない印象を持っていればこそ実現化を願ってやまない。
しかしこのままでは「開催したところで来場者は来ないかもしれない万博2025」なのだ!!

1970年には個人が対応していた様々なことが、2025年にはどこまで「会場が対応すべきこと」として判断されるのか?が問題視されるかもしれない。少なくともこの境界線を引き間違うと、瞬く間に失速する万博となるのではないかと我々は更なる心配をしている。
いや、ひょっとすると風評以前の話かもしれない。

ここまでのデータでもう少し詳しく考えてみよう。
面積 来場者
1970年万博 330ha 6,421万8,770人
2025年万博 160ha 2,800万~3,000万人(見込み)

会場面積が半分で来場者も半分に見込んでいるのだから、会場の来場者密度や混雑は1970年の万博とほぼ同じとなる。

一方……人口と年齢人口をもう一度見てみよう。
開催年 総人口 65歳以上人口(比率)
1970年 1億466万5,000人 731万人(7.0%)
2025年 1億2,065万9,000人 3,657万3,000人(30.3%)

2025年の万博の来場者が見込みとはいえ3,000万人。
一方2025年の65歳以上の人口がおよそ3,657万人だから、単純計算で65歳以上の人口が見込まれた3,000万人の来場者数を657万人(21.9%)も上回る理屈だ。
我々も理屈は理屈だと承知している。しかし国民の総人口が1,600万人増えたところでその内30.3%が65歳以上という数字が出て来る万博開催国は世界中探しても日本だけだろうから多少の理屈に対する覚悟は必要だ。
来場者3,000万人のうち65歳以上が30.3%なら909万人もの人が高齢来場者だという覚悟を……。

ここでさらに大ゲサな飛躍をしたい。
1970年の万博の日本館年齢別来場者パーセンテージを例とすると(1,000人対象アンケート)50代以上の来場者はたったの4.3%だ。
2025年の万博がいかに3,000万人見込もうと65歳以上の3,657万人のみなさんに4.3%を当てはめたとしたなら157.25万人しか来場しない。
かつての日本館のデータの4.3%は“50歳以上”だからその上の65歳以上の来場者は実際のところもっと少ない……はずだ。

47年前の日本館の……それもたった1,000人のデータで万博全体の来場者数を予想するな!というおしかりは覚悟の上で我々は書いている。

しかし、“若く元気な日本”の時代でさえ65歳以上の人は少なすぎて50歳以上のデータに含められていての4.3%だ。(つまり50歳以上が3%、65歳以上が1.3%の可能性も無いとはいえない)
この65歳以上の年齢の人口が2025年の万博の見込み来場者数3,000万人より657万人も多いとなると、全面的に会場が高齢者に対応するシステムを作ってさえなお見込みを下方修正しなければならないかもしれないのだ。

我々はさらに加える。第3回で述べた日本館来場の40代のパーセンテージを見ると7.4%だから、50代以上を加えても1970年の万博でさえ11.7%しか訪れなかったことになる。
1970年の万博で日本館にたどりついたのは40歳代前の若い88.3%の人達だったわけだ。
2025年の万博ではこの40歳代までの若い層が減り、40代以上が莫大に増えているのだからデータ的にこの増えた年代は来ない、もしくはリピーターにならない可能性がメチャクチャ高い。

もう47年前の1970年とは事情が全く違っているのだ。もはや高齢者に「これでもか!」と疲れさせないための導線ケアやサービスが必要だとしか言えない。
もちろん理屈は理屈だが覚悟は覚悟。この未来予想を理解した上で会場コンセプトデザイン対応で戦わなければ相手がパリでなくても勝算は少ない。

全てはオールジャパンで勝つ!それには先ず敵を知り己を知ることなはずだ。
国際万博は日本の祭典!だからといって単に日本の中で騒いで認知を広めて待望を訴えたところで決定会議のプレゼンでは何の役にも立たない。(大丈夫?大阪?)

そこでとどめの提言!「基本的に高齢者は介護(サポート)を求めていると最初から計算すべし!」
我々がここまで書いてきたことの大半は大阪万博独自の個性ではない。
開催地に名乗りを挙げるならば当然に有しているべきただの日本の事情による“標準システム”なのだから。
大阪……いや日本の万博らしいことなどほとんど書かずに終わってしまった。
これでも我々は考え抜いて、我々なりのエールを送っているつもりなのだが……
まあいい。所詮はコラムで書かれた空想の未来として我々は笑われたかっただけなのだから。
だがしかし、決して忘れて欲しくはない。会場内に入った時点で、あまりの人の多さ、混雑から「疲れてしまう」人々が多数発生しているであろう未来であることを。
個人のことであっても会場のシステムは対応しなければならない。
国民の3人の1人が65歳を超えているのに「こんなことになるとは思わなかった」などという言葉は極力耳にしたくないのだ。

さて、最後に2025年の大阪万博がカジノ構想とセットとなっている部分に少しだけ触れて、第1章を終わりとしたい。(まだ言うか!)

2025年の大阪万博開催が決定した場合は、間違いなく西日本を中心に産業は活況を呈するだろう。
そして「宴の後」の経済失速は、カジノ構想で補うなんて腹積もりではないのだろうか?万博開催は単にカジノのため……などとといったら過言だろうか?
その腹積もりが本気なら間違いなく大阪は近々に“都構想”を再考するはずだ。そうでなければ人も金も何もかも一点集中突破が難しいからだ。
万博開催地決定会議は2018年、来年の11月に行われる。相手年はパリ。一枚岩にならねば突破が難しいからこその“近々”なのだ。
先ずは大阪の出方に注目する他はない。

2020年の東京オリンピックよりも2025年の大阪万博がカジノ構想と親和性が高い理由の一つに「開催期間の長さ」、もう一つに「来場者数の規模(とくに海外からの)」を経験出来る点が大きい。(ポッカリ海上にある人工島でインフラ整備の再利用なんて言うまでもない。オリンピックなど再利用どころか負の遺産になりかねない)
オリンピックの開催期間は短く、万博の開催期間は長い。そしてオリンピックは「メディアを通して観戦が可能」で、万博は「会場に足を運ぶ体感」性質のイベント。
国庫に入るお金の桁が違う。
この国庫のお金も“国が豊かになる”という単純なモノではないだろう。人口減少で先細る税収による“何かに当てる”ことになるはずなのだから、日本国にとって重要な国際イベントとなることは今からでも明らかなのだ。

2025年は大阪万博期間内に多くの来場者に楽しみや満足を提供し、同時にそこは世界に対してカジノ構想の(やるかやらないかはともかくとして)強力なデモンストレーション、プレゼンテーションの場となるだろうことは間違いない。

「世界中の耳目を集め」「莫大な来場者数を体験しておく」ことこそ、2025年以降の“日本の未来社会をデザインする”ことに繋がるといってもこちらは過言ではないはずだ。

だがその前に、我々の周りには戦後日本における最大の国際イベント、そしてアジアで初めて開催された大阪万博1970を知らない人が多い。多すぎる。
これでは大阪万博2025が盛り上がるわけはない。
なんとかして現実的体感が出来ないものかを考え、1970年のデータを基にやがての2025年をもう少し形あるモノとして捉えていきたい。

なお本コラムの第2章、テーマは「花壇」。
おっと!万博がテーマでパビリオンからでもコンパニオンからでもなく「花壇」?という声が聞こえた。
そんなのどこにでもあるじゃん!という叫びも届いた。
そりゃその通りです。

でも万博にあって当たり前、万博にあったことくらい憶えているという方は多いと思うが、それが“どんな花壇”であったのかを答えられる人はまずいないはずだ。
2025年の万博にだってきっと花壇はある。共通するなら過去から学んでみようではないか!!(本当に学べるかはやってみなくちゃわからないけど……)
並走するコラムとして「1970年大阪万博駐車場から観たクルマの未来と日本」についても再現する。

「万博好きやん(scan)研究所」は2017年から2025年を予測し、1970年のすさまじい熱意を当時の日本の底力を「ディスカバリー&フューチャー(温故知新)」として、一年間に渡るコラムを開始する。

2025年がその先の「未来に向けて」ならば、私たちはまず2025年を時々の視点から予想しよう。
その第一歩が「花壇」なのだ。
1970年の実績データを基に私たちが考え提言することが、2025年大阪万博成功に向けた一つの道標となるならば、こんなに嬉しいことはない。
※(ところがどっこい!この基本原稿が4月19日に書かれたモノだから現実の万博状況がだいぶおろそかになってしまったので、少しだけ近々の2025年万博を書いてみたい。できれば海外の友人(オタク)も多いので外から見た日本(大阪)の感想も紹介できれば……と思う)

オマケとして今一度1970年と2025年の簡単なデータ対比を記載する。
【2025年大阪万博】
テーマ:「いのち輝く未来社会のデザイン」
開催期間:2025年5月3日から11月3日までの185日間。
会場予定地の人工島・夢洲(ゆめしま)160ha(大阪市此花区)での建設費を約1250億円、
運営費を約800~830億円と想定。
来場者数は2800万人から3000万人を見込んでいる。
………………
※大阪府より

【1970年大阪万博】
テーマ:「人類の進歩と調和」。
開催期間:1970年3月15日~9月13日(183日間)(開会式は3月14日)
面積:330ha
総入場者数:6,421万8,770人(うち外国人 約170万人)
目標入場者数:3,000万人(その後5,000万人に上方修正、結果6,000万人を超える)
………………
※独立行政法人日本万国博覧会記念機構より

-第一章の最後に-

私は先の万博で、3時間近く(……か、それ以上)並んでアメリカ館に展示されていた“月の石”を見ました。
47年後の現在。
日本は月の石どころか、火星軌道をはるかに超えた小天体“イトカワ”の微粒子を持っています。
そして1970年にはあれ程遠かった21世紀という未来を、なんと四半世紀も越えて再び日本で開かれるかもしれない国際博覧会の決定の寸前まで来ました。
だから分かるのです。
もう「未来」や「宇宙」にはそれほど憧れや夢を持ってなどいないということを。
私たちはもう、人類でもなく国際でもなく「地球」として考える時代を迎えつつある……いや、そうでなければならないということを何となく知っているのではないでしょうか?
だからこそ日本に“国際性”とやらを考えるチャンスがやってきたのだと思っています。
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