ソニー『デジタルマビカ』フロッピーに保存する懐かしの個性派デジカメ
2017年5月13日 更新

ソニー『デジタルマビカ』フロッピーに保存する懐かしの個性派デジカメ

1997年にソニーが発売した3.5インチフロッピーディスクを記録媒体に使うという珍しいデジタルカメラ『デジタルマビカ(Digital Mavica)』。 その特性から業務用などに大活躍した懐かしのデジタルカメラについて紹介。

6,163 view

フロッピーディスクに保存?ソニーが生んだ個性派デジカメ『デジタルマビカ』

1997年に誕生し異彩を放ったデジタルカメラ
『ソニー デジタルマビカ(Digital Mavica)』

当時は内蔵フラッシュメモリかメモリーカードにに記録するものが主流。
内蔵フラッシュメモリは容量がいっぱいになるとそれ以上撮影できないのが悩みであった。
メモリーカード対応のデジカメはカードドライブや専用ソフトによるシリアルケーブル転送など読み取るための機器が別途必要だという弱点があった。

そこで、ソニーが目を付けたのがパソコン用に広く普及していた3.5インチのフロッピーディスクを記録媒体に使うことであった。

3.5インチ2HD (1.44MB) のフロッピーディスクに保存することで、一般的なパソコンであればどれでも簡単に読み込むことができる。
そして、フロッピーディスクは1枚数十円程度と非常に安かった。
撮影時に何枚か用意しておけば容量がいっぱいになれば空のフロッピーディスクと差し替えるだけ。
パソコンへのデータ転送の容易さと記録媒体のランニングコスト低減の両方を一挙に解決。
画期的なデジタルカメラと言われた。

デジタルマビカの前身『Mavica(マビカ)』

SONY Mavica(MVC-C1)

SONY Mavica(MVC-C1)

SONYが1988年に発売したアナログ式の電子スチルビデオカメラMVC-C1。
家庭用「マビカ」の第1号機で、現在のデジタルカメラに通じる写真の楽しみ方の基礎を築いたモデル。
記録媒体にはMavipakと呼ばれるSONYオリジナルの2インチ・ビデオ・フロッピーディスクを使用していた。

1997年7月10日発売 初代デジタルマビカMVC-FD5

現在は1000万画素以上が当たり前だが、MVC-FD5は41万画素(有効38万画素)のCCD。
フロッピーディスク1枚にファインモードで約20枚前後、ノーマルモードなら30~40枚程度の写真が保存できた。

2.5型TFT液晶を搭載し、記録モードはVGA(640×480ピクセル)。
画像形式はJPEGで、特別なソフトが必要なく手軽にパソコンで使用できた。
MVC-FD5(1997年7月10日発売)

MVC-FD5(1997年7月10日発売)

現在は1000万画素以上が当たり前だが、MVC-FD5は41万画素(有効38万画素)のCCD。
フロッピーディスク1枚にファインモードで約20枚前後、ノーマルモードなら30~40枚程度の写真が保存できた。

2.5型TFT液晶を搭載し、記録モードはVGA(640×480ピクセル)。
画像形式はJPEGで、特別なソフトが必要なく手軽にパソコンで使用できた

動画で見るデジタルマビカの使い方

Back when cameras used... Floppy Disks? Sony Mavica

古いパソコンや周辺機器をレストアしてコレクションしているThe 8-Bit GuyによるデジタルマビカMVC-FD5などのレビュー映像。

MVC-FD7(1997年8月1日発売)

MVC-FD5の上位モデル。光学10倍ズームレンズ搭載。
撮影画像を本体の操作で加工できる「ピクチャーエフェクト」機能搭載。
初期製品から10倍ズームを搭載していたことも、人気の要因となった。

利便性が評価され「デジタルカメラ=ソニー」というブランドイメージを確立した『デジタルマビカ』シリーズ

フロッピーディスクを格納するためにサイズは通常のデジカメよりも大きく、記録速度が遅く約10秒もかかってしまうなどデジタルマビカにも弱点はあった。

しかし、コストパフォーマンスに優れコンビニでも購入できたフロッピーディスクを記録媒体に使った利便性が高く評価され、官公庁・教育現場を中心に法人に受け入れられ、そして欧州・北米などの海外市場でも人気商品となった。

ソニーはデジタルマビカシリーズの新製品を続々と市場に投入。
「デジタルカメラ=ソニー」というブランドイメージを確立することに成功した。

主な『デジタルマビカ』シリーズ製品

MVC-FD71(1998年8月1日発売)

MVC-FD71(1998年8月1日発売)

レンズ部、及びディスクドライブを小型化することにより、FD5/FD7/FD51に比べ体積、重量を20%削減した新型モデル。画像処理チップの高速化により、MVC-FD7に比べ撮影画像の記録時間が60%短縮され約4秒(非圧縮モード除く)で可能となった。光学10倍ズーム、35万画素(有効33万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。
MVC-FD91(1998年10月10日発売)

MVC-FD91(1998年10月10日発売)

大型ズームレンズと光学ビューファインダーを搭載したハイエンドモデル。それまでのデジタルマビカシリーズが縦型のコンパクトカメラ様のデザインだったものに対し、大型レンズを装着した一眼レフカメラに似たデザインとなっている。
光学式手ブレ補正機能付き光学3倍ズーム、85万画素(有効80万画素)CCD、2.5型TFT液晶、18万画素ビューファインダー搭載。フラッシュはポップアップ式。
MVC-FD90(2000年6月1日発売)

MVC-FD90(2000年6月1日発売)

“プレシジョン16倍ズーム”(光学8倍+デジタル2倍)、130万画素(有効122万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。MPEG1動画最大60秒記録可能。ソニー独自のデジタル信号処理技術、SRC(Super Resolution Converter)の搭載により、約160万画素相当(1472×1104ドット)の静止画記録を可能とした。
MVC-FD75(2001年発売、日本国内未発売)

MVC-FD75(2001年発売、日本国内未発売)

海外販売専用モデル。光学10倍ズーム、35万画素(有効33万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。
MVC-FD200(2002年2月13日発売)

MVC-FD200(2002年2月13日発売)

“プレシジョン6倍ズーム”(光学3倍ズーム+デジタル2倍ズーム)、211万画素(有効198万画素)CCD、2.5型TFT液晶搭載。“デュアルスロット”、USB出力端子装備。「デジタルマビカ」シリーズの最終機種。
モデルチェンジを重ねるに従い記録速度や記憶媒体の能力向上も図られ、4倍速ディスクドライブやフロッピーディスク型のメモリースティックアダプタを利用できる製品も発売。

中期の製品以降はディスクドライブとメモリースティックスロットの両方を搭載するモデルが標準となった。

高画質化によるデータ容量増加に対応していくため、2000年以降はCD-Rドライブを搭載し、8cmサイズのCD-Rを記録媒体に用いる「CDマビカ」シリーズも並行して発売。
MVC-CD1000(2000年8月1日発売)

MVC-CD1000(2000年8月1日発売)

「CDマビカ」シリーズの初代機種。MVC-FD95をベースにフロッピーディスクドライブに代わり8cmCD-Rドライブを搭載、8cmCD-Rディスクは記録容量156MB、UXGA(1600×1200ドット)のJPEG画像を最大160枚まで記録可能であった。記録4倍/再生8倍速CD-Rドライブ、光学式手ブレ補正機能付き“プレシジョン20倍ズーム”(光学10倍+デジタル2倍)、211万画素(有効192万画素)CCD、2.5型TFT液晶、18万ドットカラー液晶ビューファインダー搭載。MPEG1動画最大85分記録可能。
22 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

ソニー・カセットのすべてを網羅したカセットテープ本『ソニー・カセットテープ・マニアックス』が好評発売中!!

ソニー・カセットのすべてを網羅したカセットテープ本『ソニー・カセットテープ・マニアックス』が好評発売中!!

双葉社より、ソニー・カセットのすべてを網羅したカセットテープ本『ソニー・カセットテープ・マニアックス』が現在好評発売中となっています。
隣人速報 | 302 view
あなたの家にもありましたか?ソニーのハイビジョンテレビ「トリニトロン」が未来技術遺産に!!

あなたの家にもありましたか?ソニーのハイビジョンテレビ「トリニトロン」が未来技術遺産に!!

国立科学博物館はこのたび、「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」としてソニーのハイビジョンテレビ「トリニトロン」やカラーネガフィルム「フジカラーREALA」など新たに15件を追加しました。あなたの家にも遺産が眠っているかも?
隣人速報 | 4,316 view
みんな好きだった懐かしのラジカセ

みんな好きだった懐かしのラジカセ

小中学生の時に親にねだって買ってもらったラジカセ。ダビングが楽しくて仕方なかったですよね。当時愛用していた、憧れていた懐かしのラジカセを画像とCM動画で振り返る。
きちんとチキン | 145,074 view
技術の結晶「ソニー・プレミアム」の一つ「トリニトロン・カラーテレビ」を振り返ろう。

技術の結晶「ソニー・プレミアム」の一つ「トリニトロン・カラーテレビ」を振り返ろう。

ソニーが圧倒的なブランド力を誇った時代。「トリニトロン」「ウォークマン」などのソニーブランドは、昨今のアップルブランドのように消費者に浸透していました。なかでもトリニトロンは、ソニーの発想や技術に裏打ちされたブランドでした。
青春の握り拳 | 25,140 view
【80年代の必需品、ラジカセ】デザインや機能が特徴的だったラジカセから長く支持されている名品ラジカセまで。

【80年代の必需品、ラジカセ】デザインや機能が特徴的だったラジカセから長く支持されている名品ラジカセまで。

80年代、僕らの音楽ライフに欠かせなかった「ラジカセ」。ダビングや録音時の”あるある”なんかも多くの同世代が分かりあえるラジカセは、実は日本オリジナルの家電。そんなこともあってか、とても独創性のある商品が数多く生まれたのもラジカセの特徴でした。そんな特徴的だったラジカセやいまも支持される名品ラジカセを振り返ってみましょう。
青春の握り拳 | 38,329 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト