それまでの常識を覆し、最高峰のバレエ大国ソビエトを舞台に描かれた、本格バレエマンガ「アラベスク」
2016年12月8日 更新

それまでの常識を覆し、最高峰のバレエ大国ソビエトを舞台に描かれた、本格バレエマンガ「アラベスク」

お金持ちの習い事というイメージが強かった1970年代の日本のバレエですが、世界最高峰のバレエ大国で、当時まだ共産体制にあったソビエトを舞台にした本格的なバレエマンガがありました。背が高いことがコンプレックスのノンナが成長していくマンガ「アラベスク」を振り返ります。

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マンガ「アラベスク」とは

1970年代の共産体制下のソビエト連邦を主舞台にした長編バレエ漫画。第1部は1971年から1973年に『りぼん』(集英社)で、第2部は1974年から1975年に『花とゆめ』(白泉社)でそれぞれ連載された。
1970年代、日本のバレエはまだ到底世界的に通用するものではなかった事もあり、当時世界最高峰のバレエ大国であったソビエトを作品の舞台に選んだという。そのため、1970年代の社会情勢やバレエ事情が、作中に色濃く反映されている。その後ソビエト崩壊で世界情勢は一変し、バレエ事情も大きく変わっている(当時「規格外」とされた長身バレリーナが現在はむしろ主流、体操出身のプリマもいるなど)。

マンガ「アラベスク」のあらすじ

第1部 キエフからレニングラードへ

キエフのバレエ学校で学ぶノンナ・ペトロワは、母がバレエ学校の教師で、姉もバレリーナとして活躍していました。背が高く優雅さに欠けると言われた劣等生でしたが、たまたま訪れた「ソビエトの金の星」と言われるユーリ・ミロノフに見いだされて、レニングラード・バレエ学校に編入することになります。
背が高いことと、常に姉と比較されてきたことでコンプレックスを持つノンナでしたが、ミロノフは編入早々からノンナに猛特訓を始めます。自分が下手だと思っているノンナにはなぜなのか理解できませんでした。
背が高いことがコンプレックスのノンナ

背が高いことがコンプレックスのノンナ

1970年代当時は、身長160cmを超えるバレリーナは、大成しないと言われていました。

新作公演の主役に

ミロノフはレニングラード・キーロフ・バレエ団の新作「アラベスク」の主役モルジアナ役に、ノンナを抜擢したのですが、自信の無いノンナは驚くばかりです。
失敗しては落ち込むノンナを、ミロノフは厳しい練習をすることで、不安を1つずつ解消していきます。ノンナは周囲の嫉妬や偏見にも負けず、ミロノフを信じてついていくことで成長をし、周囲を納得させていきます。
少しずつ成長していくノンナ

少しずつ成長していくノンナ

ミロノフの抜擢により、ノンナは周囲の嫉妬や嫌がらせを受けることになりますが、ミロノフの特訓により跳ね返していく強さを身につけていきます。

新作「アラベスク」の成功

徐々に周囲の理解を得て、ノンナはモルジアナ役の練習を積んでいきます。ミロノフとの特訓の日々がノンナの支えとなっていました。
ミロノフは新作「アラベスク」のモルジアナ役には、今までのバレエ界での優雅で繊細なだけではない、ダイナミックさを求めていました。長身のノンナがのびのびと踊る姿は、ミロノフの求めていたものでした。ノンナは公演で見事にモルジアナを演じ、ミロノフの期待に応えます。
「アラベスク」公演のノンナとミロノフ

「アラベスク」公演のノンナとミロノフ

ノンナはミロノフの期待に応え、公演は成功します。

「アラベスク」の映画化

「アラベスク」の舞台が成功したことで、当初からの計画であった映画化が現実のものとなりますが、予想外のノンナの好演で、主役のモルジアナをどうするかが問題となります。当初はレニングラード・バレエ団からミロノフ、ボリショイ・バレエ団から天才と言われるラーラ(ライサ・ソフィア)がそれぞれ主役を演じることになっていましたが、初公演のノンナの高評価で、このままノンナとミロノフが主役をという声が出たからでした。ノンナは、ラーラと主役を巡って対決することになります。
ノンナと対決する天才少女ラーラ

ノンナと対決する天才少女ラーラ

天才少女ラーラとの対決は、ノンナには厳しい戦いでした。
ノンナとラーラの対決は、「瀕死の白鳥」の主役をダブルキャストで演じ、評価するというものでした。天才と言われるラーラは、苦も無く白鳥を演じ高評価を得ますが、長身のノンナは白鳥らしくないと酷評されます。ミロノフの指導で少しずつ白鳥のイメージをつかみ、評価も高くなっていきますが、ラーラの企みにより、最後の舞台で失敗をしてしまいます。観客と評論家はラーラを主役に支持し、モルジアナ役はラーラに決まってしまいます。

ノンナの逃避行

ラーラとの主役をめぐる対決に敗れたノンナは、ショックのあまり逃げ出してしまいます。家にもレニングラードにも帰れないノンナは、たどり着いた小さな町で、劇場のベテランプリマのオリガ・デミードウに出会い劇場の仕事を世話してもらいます。長い年月をプリマとして演じてきたオリガから、ノンナは年齢や才能だけではない、バレエの心を教えられます。
行くあてもなくさまようノンナ

行くあてもなくさまようノンナ

行くあてもないノンナでしたが、どこに行っても足はやはりバレエの劇場へ向かうのでした。
オリガの怪我により、急きょ代役を立てることになり、オリガに指名されたノンナが舞台に立ち評判を呼びます。その評判を聞きノンナを迎えに来たミロノフは、相手役の男性とこっそり入れ替わり、久しぶりにノンナと一緒に踊ります。ノンナは相手役が代わったことを知りませんでしたが、顔を見ていなくても踊ることでミロノフだと感じとります。踊り終わったノンナは、ミロノフと一緒に戻ることになりました。
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