極道の妻たち
ヤクザ映画に市民権を持たせることに成功した「極道の妻たち(極妻)」
好評を博し、主演女優・監督を替えながらシリーズ化された。なかでも人気だった岩下志麻の劇場シリーズは1998年のシリーズ10作目「極道の妻たち 決着(けじめ)」で一応の完結となっている。
「極道の妻たち」は家田荘子のルポルタージュを原作にそれまでのヤクザ映画では脇役が多かった女性側の視点から描いた異色のやくざ映画シリーズ。
愛する夫を組同士の抗争や内部の謀略で失った「極妻」が自らの手で仇を取るという復讐劇です。
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Amazon.co.jp: 極道の妻たち: 岩下志麻, かたせ梨乃, 佳那晃子, 清水宏次朗: generic
「極妻=岩下志麻」といってもよいほどのハマり役だったキャスティングの経緯
シリーズを通して岩下志麻、かたせ梨乃が輝いていました
そこでマンネリと言われたヤクザ映画の見方を変えるべく、主婦やOLに違和感なくヤクザ映画には縁のない、テレビなどで好感度の高い大物女優を主人公に起用するアプローチがとられました。
「極妻」は当初、一作目の主演女優を岩下志麻、二作目を十朱幸代、三作目を三田佳子、四作目を山本陽子、五作目を吉永小百合とする構想がありましたが、四作目に再び岩下が主役を演じて以降は長く岩下が主演を務め、「極妻は岩下」の代名詞となるほど岩下志麻の当たり役シリーズとなりました。
極道の妻たち最後の戦いのかたせ梨乃姐さんの迷彩柄の服&真っ赤な下着ww
— パール@デレ6thLVメラド両日 (@LiPPSsyokomaka) October 27, 2016
やっぱり似合うね(*´ω`*)#映画で印象に残っている服 pic.twitter.com/fTTusTERJj
かたせ梨乃
かたせ梨乃は、官能的で毒の部分を表現できる女優が、ヤクザの男たちの好みのタイプとしてキャスティングされました。
第1作ではかたせと世良公則の濡れ場シーンが大きな話題に。最初はお色気担当のような役割だったものの、次第に姐さんとともに闘う重厚な役どころに変身していきました。かたせ梨乃は出演者の中で最多の8作品に出演し、女優として大きな成長を遂げました。
「極妻」岩下志麻の役作り
とにかくカッコよかった「極妻」の岩下志麻
背中に刺青、懐にはピストル。どこから見ても筋金入りの極道一家の姐さんだった岩下志麻の役作り。
「刺青」
京都撮影所の俳優センターに「刺青部屋」が当時あり、専属の刺青師が朝の5時から3時間かけて岩下の背中の刺青を描いた。勿論実際の彫り物ではなく後で落とせるものであるが、絵の具を伸ばす際に使う刷毛がチクチクするのと、絵の具を乾かすときに塗るベンジンに刺激があり、少し痛みがあったという。
「ファッション」
衣装は五社監督と相談したものだが、着こなしは岩下自身が工夫したもの。着物にピアスやネックレスをすると下品になるが、岩下はあえて、ちっちゃいイヤリングとプチネックレスをつけた。着物は襟首の下で合わせるのが普通だが、岩下は胸のところにほくろがあり、ほくろを目安に襟を開けた。
また着物を着たときは内股が常識だが、歩き方も外股にし、あごを上げて上から見下すような感じで、声のトーンをなるべく下げてものを喋ってみた。一作目はそんなに低くないが『新極道の妻たち 覚悟しいや』(1993年)あたりがかなり低い。
「くわえたばこ」
岩下はもともとたばこを吸ってなかったが役作りのために、周りの同世代が禁煙を始めるころからたばこを吸い始めた。以来たばこ中毒になったが、"極妻"が終わって5年くらいでたばこをやめた。
「イメージ」
岩下は『グロリア』(1980年、ジョン・カサヴェテス監督)が大好きで、"極妻"をやってるときにはいつもジーナ・ローランズのイメージがあったという。『グロリア』をベースにした脚本やシノプシスを自身で作り、企画を出していたが実現できずに結局諦めたが、「実現できててたら『レオン』(1994年)よりずっと早かったのに」と話している。
極道の妻たち(1986年)
岩下志麻主演の「極道の妻たち」を振り返っていきます。
岩下志麻の演技にくぎ付けになりました。