映画のモデルになったブランドン・ティーナの生い立ち
事件が起こった年:1993年
被害者:ブランドン・ティーナ
生年月日:1972年12月12日
出身地:アメリカネブラスカ州リンカーン
産まれる前に父親を亡くしたブランドンは、3歳上の姉と共に祖母のもとで育てられていましたが、3歳になると母親が引き取っています。
姉と共に幼少時から叔父に性的虐待を受けていたブランドンは、その件でカウンセリングを受けた事もありました。
小さい頃はお転婆だと思われていたブランドンでしたが、青年期に入ると自分は男性だと自認するようになり、女子とデートする事もあったのです。
でも母親はブランドンの心が男性であることを認めず、女性との恋愛も認めようとはしませんでした。
辛い思いをしてきたブランドンは、法的なトラブルにも見舞われたため20歳の時にリチャードンソン郡へ引っ越して男性として生活を始めるようになったのです。
そして恋愛関係になるラナや事件の加害者となるジョン・L・ロッターやマーヴィン・トーマス・ニッセンとも知り合いました。
事件の概要
ラナと恋愛関係に発展し、性行為を持ちます。
ただラナを愛撫しても、自分は決して裸になりません。
ブランドンは身体が女性である事を、恋人のラナにも隠していたのです。
そして小切手偽造で逮捕されたブランドンは、新聞に性別が女性と掲載された事で、身体が女性であることがバレてしまったのでした。
Boys Don't Cry (1999) [Trailer]
でもブランドンが実は女性である事を知り怒り狂います。
ラナの前でブランドンの下着を脱がせ、女性である事を確認させました。
ブランドンにとって自分の身体は認めたくないし、誰にも見せたくないはずだった事は容易に想像がつきます。
そんなブランドンにとって好きな女性の前で、自分の身体を見られる事は耐え難い屈辱でした。
それでもブランドンを愛するというラナでしたが、ブランドンはジョン達に連れ去られレイプされてしまったのです。
無理矢理下着を脱がせて確認させるシーンや、暴力的なレイプシーンは胸をえぐられるほど見ていて辛いです…。
ジョンたちは性欲というより、ブランドンを傷つけ辱める事が目的で性的虐待を加えているように見え、あまりにおぞましく残酷なシーンでした。
結末
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— 胡麻(goma) (@goma_jazzyism) March 1, 2019
3.鬱映画
ボーイズ・ドント・クライ
誰も救われないまま終わるんだけど、何が大切かを考えるチャンスをもらえる映画です(*´ω`*) pic.twitter.com/u11BRZhfwQ
そして警察に届け出たブランドンですが、理解のない捜査官にアレコレ聞かれて余計に傷ついてしまったのでした。
まるでセカンドレイプ…。
そして捕まったジョンとトーマスは、警察に届けたブランドンのことを怒り狂って探します。
ラナの友人の家に匿われていたブランドンとラナは、街を出て2人で暮らそうと将来の事を語り合い、ひと時の幸せを味わっていました。
でもジョンとトーマスが友人の家にいるブランドンを探しあて、友人の子供の前で友人を射殺します。
そしてブランドンも射殺されてしまいました。
実話だから仕方ないのですが、ずっと一人で自分の性に苦しんできたブランドンが、やっと最愛の女性に巡り合い二人で幸せになる前に殺されてしまうという結末は受け止める事が難しいです。
なぜブランドンは殺されたのか?
The Brandon Teena Story (Legendado)
この街で髪を切り、男恰好をして男として出かけるブランドンに、「バレたら殺される」と忠告するゲイの従兄弟。
性別が女性なのに男性として生きる事は、差別や偏見を通り越して、殺されかねない程大変な事なのです。
トランスジェンダーへの偏見はアメリカより日本の方があるように思いますが、殺されるほど憎悪の対象になるなんて考えられません。
アメリカは広いので都市部と田舎など、場所によって全然違うようですね。
心は男性で恋愛対象が女性なのですから、その事実を変える事の方がブランドンにとっては無理な事なのに、無理解な人達に囲まれる絶望。
その中でやっと出会えた愛しい恋人。
何も悪くないブランドンに次々に襲い掛かる悲劇、そして救いのない結末。
これは1993年に起こった事件ですが、こんな事件が2度とないように、誰もが自分の心に正直に生きられる世界になる事を願ってやみません。