『復讐するは我にあり』とは
今村昌平監督の『復讐するは我にあり』暴力的な緒形拳と知的な先生に変装した時の素敵な緒形拳が両方見れる。西口彰事件がもとになっていて九州の言葉がバンバン飛び交う。カトリック信者のお父さん役は三國連太郎。死ぬまで気が合わない。小川真由美さんが美しい。 pic.twitter.com/Ua4eATfoAb
— 絵理 (@HellSonicBallet) June 14, 2020
ストーリー
昭和38年。当時の日本の人々はたった一人の男に恐怖していた。榎津巌(えのきづ いわお)。キリスト教カトリック信者で「俺は千一屋だ。千に一つしか本当のことは言わない」と豪語する詐欺師にして、女性や老人を含む5人の人間を殺した連続殺人犯。延べ12万人に及ぶ警察の捜査網をかいくぐり、78日間もの間逃亡したが、昭和39年に熊本で逮捕され、43歳で処刑された。映画ではこの稀代の犯罪者の犯行の軌跡と人間像に迫る。
戦後最悪の連続殺人「西口彰事件」
【西口彰事件】
— みつうろこ (@m_uroko) June 20, 2021
前科4犯の西口 彰(1925年〈大正14年〉12月14日、キリスト教カトリックの家庭に生まれる)が1963年10月に2人を殺害し、その後、1964年1月3日に逮捕されるまで逃亡を続け、大学教授や弁護士などを騙って計5人を殺害し、計80万円を詐取した。「戦後最悪の連続殺人」と言われている。 pic.twitter.com/sgnr6RUrBG
その後、指名手配されていることを知った西口は瀬戸内海の連絡船で置手紙と靴を置き、投身自殺と見せかけ、逃亡を続けますが警察も偽装の判断で指名手配を続けます。
西口の逃亡は全国にまたがり、その事実が日本中を巻き込んだ犯行として恐れられていました。
捕まるまで5人を殺害しています。その中には自分と関係のあった女性も含まれていました。
事件の経緯~逮捕後経過
年月日 | 場所 | 犯行内容~経過 |
---|---|---|
1963年10月 | 福岡県 | 専売公社職員、運転手の2人殺害 |
1963年11月 | 静岡県 | 旅館経営親子殺害 |
1963年12月 | 千葉県、北海道、東京都、栃木県 | 金をだまし取る |
1963年12月29日 | 東京都豊島区 | 弁護士殺害 |
1964年1月 | 熊本県 | 未遂~通報により逮捕 |
1964年 | 死刑求刑 | |
1964年12月23日 | 福岡地裁小倉支部 | 死刑判決 |
1965年8月28日 | 福岡高裁控訴棄却 | 控訴棄却 |
1966年8月15日 | 上告取り下げ | 死刑確定 |
1970年12月11日 | 福岡拘置所 | 死刑執行 |
最後、逮捕されたときも弁護士だと偽りバッチもつけていたと言うことです。
連続殺人犯を家に招き入れた家族
エリート弁護士、古川氏と親交のある大学教授や弁護士の名前も知っていたことで信用してしまうことに..。が、古川家の三女、11歳の瑠璃子ちゃんが川村と名乗るその弁護士が連続殺人犯の西口彰だと気づきます。そして西口滞在中に手配書の顔を姉や古川氏本人も確認し、川村と名乗る男が西口彰であると確信します。
そこからおぞましい時間を古川家の人々はおくることになります。連続殺人犯の西口が自分の家にいるという普通だと恐怖で一家全員でその場からすぐにでも逃げ出すところだと思いますが、古川泰龍氏は西口を家に泊まる様に促します。
その意図は?
一家殺害を免れた家族
宗教家として、自分や家族の安全よりも、西口にこれ以上の罪を犯させず確実に捕まえることが大事だと考え、連続殺人犯を自宅に泊めるという決断を下した
古川氏は家族を同じ部屋に集め、うち側からカギをかけられるようにして、朝が来るのを待ちます。この古川家のこの緊迫した一夜を映画『復讐するわ我にあり』では描かれていません。
ただこの事件の中でも実はここが一番のおぞましい恐怖なのではないかとも思える状況です。
この古川家の機転で警察が明け方の古川家にやってきて西口は逮捕されます。
西口の逮捕で12万人の捜査員よりたった一人の11歳の女の子が事件の解決をした、そして古川家の行動は多くの人に賞賛されることになります。
ただ映画『復讐するは我にあり』の作中でも明かされていない、犯人の動機はなんだったのでしょう?警察の取り調べで西口本人が語ったのは「借金の返済と、愛人に気に入られるため」だということです。
逮捕されてから約2年後に死刑確定、死刑確定から4年後に刑が執行されています。
『冷血』も実際に起こった一家殺人事件を題材にし、これまでなかった小説のジャンルに「ノンフィクション・ノベル」が加わったきっかけの作品です。実際に起こった事件をベースにプラス小説としてのフィクションを加えて現実と想像のミックス、または融合された作品が誕生したということです。
佐木隆三氏の『復讐するは我にあり』は1960年代の連続殺人事件「西口彰事件」が題材となっています。