苦悩の登場人物たち
主人公 クリン・カシム
クリン・カシム
声 - 井上和彦
主人公でカシム家の三男。17歳。地球連邦軍士官学校の生徒(卒業・任官で少尉の地位が約束されていた)だったが、フォン・シュタインの反乱事件において父ドナンが拉致されたのを知り、独断でデロイアに渡航、レーク率いる救出部隊に強引に加わる。
その後、父の対デロイア政策に疑問を持ち、やがて独立運動の指導者・サマリン博士に接触する。自身が尾行されたことにより、連邦軍にサマリンとダグラムを奪われるが、その責任を取ってダグラムを奪回、以後ゲリラの一員としてデロイア独立運動に身を投じることとなる。
士官学校でラウンドフェイサーの操縦訓練を受け、また前述の救出部隊で実戦を何度も経験していたため、奪い返した直後からダグラムを乗りこなすことができ、専任パイロットとして最後まで戦う。太陽の牙が独自にゲリラ戦を展開し行動していた頃には、士官学校で学んだことを生かし作戦立案を行ったこともある。後に解放軍のCBアーマー隊が結成された後は、隊長のような立場で指揮を執ることもあった。
地味なヒロイン デイジー・オーセル
デイジー・オーセル
声 - 高島雅羅
本作のヒロイン。クリンの恋人で16歳。オーセル財閥会長・モレアの娘。世間知らずのお嬢様だったが、単身クリンを追ってデロイア星に渡航する。旅の途中でジャーナリストのラルターフの助手として同行し、様々な体験を経て目覚しく成長する。そのラルターフの勧めで野戦病院を訪れた彼女は、現実を目の当たりにし、そこの看護婦に志願、やがてクリンとの再会も果たす。野戦病院閉鎖後は、野戦病院で上司だったダロウェイが設立し運営する孤児院で働き、休戦後もデロイアに残り孤児達の世話を続けた。なおクリンは最終回で地球に一時帰郷する際、ラルターフに「半年経ったらデロイアに戻ってくる」とデイジーへの伝言を託して旅立った。
クリンはまあそれでも主人公なので、元よいとこの坊ちゃん風の二枚目に見えないこともないですが、
ヒロインからしてこれですから、
他の登場人物たちも押し並べて、典型的美男美女などには描かないぞ、という決意が見て取れます。
そういったキャラクターデザインの点でも地味でリアルなアニメがダグラム^^
クリンの設定といい、彼女といい、アニメというより、西洋の古典文学のような造詣とおハナシですね。
もちろんほかも渋い、登場人物たち
ロッキーの右の女性:キャナリー・ドネット
クリンの背後の男性:チコ・ビエンテ
クリンの右の肩車した男性:ナナシ
ナナシに肩車された少年:ビリー・ボール
ロッキーの前の屈んだ男性:ジョルジュ・ジュールダン
デイジーの背後の蝶ネクタイの男性:ドナン・カシム
左端の立っている男性:ヘルムート・J・ラコック
その他の登場人物たちももちろん地味です(褒め言葉^^)。
いままでご紹介したあらすじにも一部出てきましたが、、
クリンが参加するゲリラグループ「太陽の牙」のリーダーは、地球でクリンと知り合った元暴走族のロッキー・アンドル。そのメンバーは、ロッキーの幼馴染みの女性キャナリー・ドネットほか、チコ・ビエンテ、ナナシ、ビリー・ボール、ジョルジュ・ジュールダン。
上の画像でジョルジュ以外は露出の多い格好なんで分かりやすいかと思います。クリン以外は皆デロイア人です。
ドナン・カシムは、クリンの父親にして、連邦評議会議長。デロイアを自治州に押し込め、独立を阻止する画策の首謀者。
ヘルムート・J・ラコックはドナンの補佐官だが、病に倒れたドナンに成り代わりデロイアの実質支配を目論む。
現実のなかに若者たちは真実を見つけたか
しかし前述のようにドナンに代わってデロイア抑圧の指揮を執るラコックは、元ゲリラの情報屋を介して解放政府の和平派と接触、和平協定を結び、実質的なデロイア支配を手中にまさに収めんとします。これによってクリンたちゲリラはデロイア新政府から鎮圧される側になってしまい事態は一転、独立政府とは名ばかりの全面戦争の様相となりかけます。
しかし、見返りの要求に応じなかったラコックが情報屋に射殺されてしまったことにより、この事態は避けられ、武装解除でダグラムを引き渡すことを嫌ったクリンたちは、自らダグラムに火を放ち武器を廃棄します。
荒野に朽ち果てたダグラムの姿—
ご紹介してませんでしたが、ダグラム第1話でこのシーンは既に示されていて、こういった結末は最初から予感されていたものでした。
独立運動は、クリンたちの戦闘と殆ど関係のないところ、大人たちの汚い陰謀術数で動き、いちおうは独立の結末を迎えたのでした。
前述のムック本[要出典]では、「本作品の終盤は、このラコックの陰謀劇を軸とした政治ドラマだけで物語が成立しているため、ダグラム等CBアーマー戦は不要と言える」とまで評されていた)。
以上、複雑な背景に地味なおハナシ、主人公たちの活躍と直接関係しない、すっきりもはっきりもしない結末と、批判もあった「太陽の牙ダグラム」ですが、
ここまでお付き合いいただき、また作品を観ていただいて、どうでしたでしょうか?
しかしとにもかくにも、打ち切りにも遭わず、一年半の放送を乗り切りきちんとドラマを描き切った「太陽の牙ダグラム」。
筆者はその後のサンライズの系譜に繋がっていく、現在のロボットアニメの豊かさに貢献した作品だと思うのですが—。
「ゲリラ」感を出したかったのだろうが、いま思うと、いくら砂漠の星だからって、
シュワちゃんのコナン・ザ・バーバリアンやスタローン、ムキムキマンじゃないんだから、
いくらなんでもこのかっこうはどうだろうか^^;
「真実は見えるか」というコピーが、容易に真実が見えるようなハナシでもオチでもないことを示していますね。