花見シーズンもそろそろ!「桜×宴」スタイルが定着していった過程について。
2017年3月7日 更新

花見シーズンもそろそろ!「桜×宴」スタイルが定着していった過程について。

春到来―。そろそろそんな時期になりました。そして、思いつく「花見」。桜が咲く頃になると、宴会を連想する方も多いのはないでしょうか?今回は、花見について。梅ではなく桜が愛でられる花見スタイルが定着していった過程についてです。

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春到来―。そろそろそんな時期になりました。
そして、思いつく「花見」。桜が咲く頃になると、宴会を連想する方も多いのはないでしょうか?

今回は、花見について。

桜は「サ」と「クラ」

以前、このコラム連載の中でも書かせていただきましたが、桜は「サ」「クラ」。「サ」とは「田の神」を意味し、「クラ」は神が鎮座する場所を意味します。古来、サクラは田の神が鎮座する樹木として認識されており、その桜が咲く頃に、桜の樹木にお供え物をし、豊作を祈り、そして農作業を開始する…そんな姿がありました。
その一方で、大陸文化もどんどん取り入れていき、中国の方々が愛でていた「梅」を鑑賞するようにもなりました。奈良時代に作られた和歌には梅を愛でた歌がチラホラ見受けられます。
梅から桜へ

梅から桜へ

私たちが春の到来を感じるのは、この2つの花ですよね。
今も梅が咲くと梅鑑賞をしに梅林などに行かれる方も多いかと思いますが、これは奈良時代の貴族の風習が今に残った姿でしょう。

でも「花見」といえば梅ではなく桜、一体なぜ?

ですが、やはり、もともと桜を見てきたからでしょうか、平安時代に入るころには外国由来の梅鑑賞から桜鑑賞に変化していきます。文献に「(桜の)花見」の風習が登場するのも平安時代。嵯峨天皇が弘仁3年(812年)3月に神泉苑で「花宴の節(せち)」を開いたという記録が残っており 、これが初出と言われています。

平安貴族によって「桜×宴」スタイルが定着

宮廷に桜を献上させ、みんなで桜を見ながら宴を開く…平安貴族が日本人の桜×宴スタイルを定着させていきました。

鎌倉時代に入ると、武家にも花見の風習が

そして鎌倉時代に入ると、武家にも花見の風習がだんだんと広がっていきます。そのまま室町時代、そして戦国時代などにも風習は受け継がれていき、結果、各地に花見の風習が伝わっていきました。戦国武将の花見としては、豊臣秀吉が開催した吉野の花見(1594年(文禄3年))や醍醐の花見(1598年(慶長3年))などが有名です。

江戸時代に入ると文化の担い手の中心は町人や庶民に

江戸時代に入ると文化の担い手の中心は町人や庶民に。花見の風習も彼らに広がっていきます。実は、広がる背景に江戸幕府あり。第8代将軍・徳川吉宗が、一般庶民の娯楽のために1720年(享保5年)墨田川や飛鳥山に桜を植えています。現在も両所は桜の名所として愛されていますね♪

こうやって庶民にも桜×宴スタイルが定着していくわけですが、古代の「サ」「クラ」の遺伝子が脈々と受け継がれてきた故なのだなあとシミジミしてしまいます。

桜といえばソメイヨシノ、でも意外と新種?

…あれ?ソメイソシノは?と思われる方、いらっしゃるかもですね。
ソメイヨシノは江戸後期には染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木屋が開発したエドヒガンとオオシマサクラの交配種「吉野桜」で、これが現在のソメイヨシノ。「吉野桜」だと、吉野山(奈良県)のヤマザクラと勘違いされてしまうじゃん!という指摘を受け、「ソメイヨシノ」と呼ばれるようになりました。
桜としては案外新しい品種のソメイヨシノ

桜としては案外新しい品種のソメイヨシノ

江戸後期からの登場なんですね。
桜としては案外新しい品種なんですヨ♪

そんな花見シーズンも、そろそろですね♪マナーを守って楽しみましょう~!
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