2016年10月11日 更新

桜は桜では?日本人がもっとも愛する花の一つ「桜(サクラ)」という単語の由来

民俗学を勉強していると、普段当たり前のように使っている単語の由来に触れることがある。今回はそんな「単語」について。 例えば「桜」。春になれば桜を愛でながら花見をする方もいらっしゃるだろう。

1,771 view
民俗学を勉強していると、普段当たり前のように使っている単語の由来に触れることがある。今回はそんな「単語」について。

桜は桜では!?「桜(サクラ)」という単語にまつわる由来

例えば「桜」。春になれば桜を愛でながら花見をする方もいらっしゃるだろう。かくいう自分も花見は大好き。
ではなくて(汗)。
日本人に最も愛される花の一つ「桜」

日本人に最も愛される花の一つ「桜」

桜の由来といわれても、私たちは「桜は桜でしょ?」と感じるかもしれませんね。
ところで、「桜」はなぜ「サクラ」というのか。こんな事を悩んだ人は居ないと思うが、まあ、コネタとして聞いていただきたい(笑顔)。
日本的には漢字の由来より音の由来がポイントなのです(※漢字は中国大陸由来だしね)。

「サ」「クラ」という二つの単語から構成される「桜」

「サ」は「田の神様」

「桜」は「サ」と「クラ」という二つの単語から構成されている。つまり、正しくは「サのクラ」なのである。

まず『サ』。これは「田の神様」を意味している。古来、日本では田の神(サ)に関わる行事として「田植神事」「田楽」などを行ってきた。広島県で毎年6月に豊作を願って行われる行事「壬生の花田植」は平安時代の田植神事を今に伝えている。
一方で「サ」の「オトメ」である「早乙女(サオトメ)」

一方で「サ」の「オトメ」である「早乙女(サオトメ)」

この行事含め、神事として田植えを行う時、田植えを担う女性には若い未婚女性(乙女)たちが選ばれた。田の神にささげる稲を植える巫女と思っていただいてよい。そして、そのような女性たちのことを「早乙女(サオトメ)」と呼んだ。「サのオトメ」である。

「クラ=坐(座)」は「神様が座る場所」

次に『クラ』。これは「坐(座)」と書き、これは、神様が座る場所を意味する言葉である。

つまり、『サクラ』とは「田の神様がやって来て座る場所」を意味するのである。

田の神がやって来る=パワーをいただける➡よし!田植えをしよう!…というロジックである。だから、田植えを意識しはじめる春に花咲く樹を「サのクラ=桜」と呼んだのである。

同様に「神」と「坐(座)」が合体した単語には「神楽(カグラ)」が

ちなみに、神への芸能を「神楽(カグラ)」と言うが、これも「神」と「坐(座)」が合体した言葉。語源は「神座(カムクラ)」である。某ラーメン店を思い出す方もいらっしゃる気がしないでもないが、民俗学的には「神座」は「神楽」の語源である。

最後に。

田んぼの害虫(イナゴとか)についても昔は「サノムシ」

田んぼの害虫(イナゴとか)についても昔は「サノムシ」と呼んだ。「サの虫」だ。ところが、このサノムシ…ある時から怨霊と合体してしまった。その怨霊の名は「斎藤別当実盛(サネモリ。1111~1183年)」。

『平家物語』にも登場する、実在する平家方の武将である。死に様がよろしくなくて怨霊と化したと信じられたのは仕方ないとして、「実盛(サネモリ)」の「サ」と「サノムシ」の「サ」がなぜか一体化してしまい、武将だったはずが田んぼの害虫になってしまった。無残。
斎藤別当実盛の像

斎藤別当実盛の像

(以下、wikipediaによる)

寿永2年(1183年)、再び維盛らと木曾義仲追討のため北陸に出陣するが、加賀国の篠原の戦いで敗北。味方が総崩れとなる中、覚悟を決めた実盛は老齢の身を押して一歩も引かず奮戦し、ついに義仲の部将・手塚光盛によって討ち取られた。
この際、出陣前からここを最期の地と覚悟しており、「最後こそ若々しく戦いたい」という思いから白髪の頭を黒く染めていた。そのため首実検の際にもすぐには実盛本人と分からなかったが、そのことを樋口兼光から聞いた義仲が首を付近の池にて洗わせたところ、みるみる白髪に変わったため、ついにその死が確認された。かつての命の恩人を討ち取ってしまったことを知った義仲は、人目もはばからず涙にむせんだという。この篠原の戦いにおける斎藤実盛の最期の様子は、『平家物語』巻第七に「実盛最期」として一章を成し、「昔の朱買臣は、錦の袂を会稽山に翻し、今の斉藤別当実盛は、その名を北国の巷に揚ぐとかや。朽ちもせぬ空しき名のみ留め置いて、骸は越路の末の塵となるこそ哀れなれ」と評している。
17 件

思い出を語ろう

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

花見シーズンもそろそろ!「桜×宴」スタイルが定着していった過程について。

花見シーズンもそろそろ!「桜×宴」スタイルが定着していった過程について。

春到来―。そろそろそんな時期になりました。そして、思いつく「花見」。桜が咲く頃になると、宴会を連想する方も多いのはないでしょうか?今回は、花見について。梅ではなく桜が愛でられる花見スタイルが定着していった過程についてです。
山崎敬子 | 173 view
有名な絵本『泣いた赤鬼』、赤鬼を助けた青鬼はいま何処?

有名な絵本『泣いた赤鬼』、赤鬼を助けた青鬼はいま何処?

学校教科書にも採用されたことがある有名な絵本『泣いた赤鬼』。浜田廣介さんが書かれた日本の児童文学の代表作です。絵本をご存知の方も多いかと思いましたので、今回はこのお話。赤鬼を助けた青鬼についてです。
山崎敬子 | 586 view
「あんぱん」の木村屋が生んだ広告手法と芸能について。

「あんぱん」の木村屋が生んだ広告手法と芸能について。

桜がだんだん咲き始めましたね。空気も暖かくなってきた気がします。ああ、ようやく春…。桜といえば、木村屋(銀座木村屋總本店)の「桜あんぱん」を思い出した自分。木村屋のパンが、ある芸能の成長と関わりがある事をご存じでしょうか?
山崎敬子 | 255 view
「4月4日」は五節句に由来した新たな記念日です、さて何の日か分かりますか?

「4月4日」は五節句に由来した新たな記念日です、さて何の日か分かりますか?

ふと気がつけば、3月3日の桃の節句(雛祭り)が終わり、デパートからあっという間に雛人形が消えて、5月5日の端午の節句用の五月人形やら兜の飾り物がデデンと飾られています。年に5回の節句、それに由来した新たな記念日が4月4日に設けられました。
山崎敬子 | 1,066 view
アナタも泣かされた?子供を泣かせるナマハゲ、その意味は一体何だったのか。

アナタも泣かされた?子供を泣かせるナマハゲ、その意味は一体何だったのか。

「泣く子はいねが~!」「悪い子はいねが~!」と叫びながら子ども達を泣かしまくる鬼をもてなす行事が秋田県男鹿市にあります。「ナマハゲ」です。実は日本各地には、ナマハゲのような存在がポコポコ存在しています。さらに子供をわざと泣かせる行事は他にもあります。「泣き(笑い)相撲」です。こちらも全国でポコポコ見られる行事です。
山崎敬子 | 431 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト

懐かしい!記憶をくすぐる商品

(PR)アマゾンで購入可能