『夏をあきらめて』研ナオコのカバーも大ヒット!哀愁漂うサザンのバラード
2018年7月18日 更新

『夏をあきらめて』研ナオコのカバーも大ヒット!哀愁漂うサザンのバラード

夏の終わり…。季節の移ろいを感じながら聴きたい名曲『夏をあきらめて』。 サザンと研ナオコ、それぞれが歌う『夏をあきらめて』を動画で比較。また、歌詞に出てくる『PACIFIC HOTEL』の実在モデルについて紹介します。

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夏の終わりに聴きたい名曲『夏をあきらめて』

夏の終わり…。
少しばかし浮かれた気分の夏が過ぎ、寂しさを感じ始める。

雨が突如降ったと思ったらいきなり晴れたり、暑かったり涼しかったり。
そんな季節の移ろいを感じながら聴きたい一曲『夏をあきらめて』。

サザンオールスターズの『夏をあきらめて』

サザンの『夏をあきらめて』はシングルカットされていないため、サザンの曲であることを知らなかったり、研ナオコのシングルの後にセルフカバーしていると認識している人も多い。

しかし、この『夏をあきらめて』が収録されたサザンのアルバム『NUDE MAN』のリリースは、研ナオコのシングルリリースより1ヶ月半ほど早い。
『いとしのエリー』、『栞のテーマ』、『YaYa~あの時代を忘れない~』、『涙のキッス』などなど、サザンの名バラードは数多くあるが、『夏をあきらめて』はそれらに勝るとも劣らない名曲である。

NUDE MAN(リマスタリング盤)

2,070
1982年7月21日リリース。
裸の男が海に飛び込み臀部が露になったインパクトの強いジャケット。
当時写真の男は桑田佳祐ではないかと言われたが、実際は現地の男性で「カメラマンがインドかパキスタンの海岸で撮影した写真の中から選んだ」とラジオ番組で桑田は語っている。
『夏をあきらめて』は「NUDE MAN」だけでなく、ベストアルバム「バラッド '77~'82」、「すいか」、「海のYeah!!」にも収録されている。

サザンオールスターズ バラッド '77~'82

2,468~
デビューから82年までの初期5年間のアルバムとシングルから、パラード曲中心に収録されたベスト盤。
他アーティストに提供された楽曲も収録、隠れた名曲『松田の子守唄』なども聞き逃せない。
今も変わらぬ姿勢で永遠の夏を謳歌するサザンの原点を確認できる1枚。

サザンオールスターズ 海のYeah!!

3,668~
1998年、デビュ-20周年を記念して発売された2枚組ベストアルバム。
デビュー曲から始まって、シングルやライヴで人気の高い曲をほぼ時系列ごとで収録しており、サザン入門編としても楽しめる。
また時代を追って収録されているため、サザンの楽曲の変遷を時系列やラブソング編、コマーシャルソング編などと分けながら、楽しみながら聴くことができる。
代表的な曲はほぼすべて収録されており、ドライブに、カラオケに、もっともお買い得な1枚。

研ナオコの『夏をあきらめて』

研ナオコは1971年にレコードデビュー、同時にTBSドラマ「時間ですよ」にも出演。
「カックラキン大放送!!」のお婆さん役や、「8時だョ!全員集合」でのザ・ドリフターズ(志村けん)との共演でコメディアンとしての才能も開花。
1975年には宇崎竜童、阿木耀子コンビでプロデュースされた「愚図」がFNS歌謡祭、最優秀歌謡音楽賞を受賞し歌手としても認められた。
中島みゆきの作詞作曲による「あばよ」ではオリコン1位を獲得、「かもめはかもめ」で日本レコード大賞金賞を受賞。
1982年、「歌いたい曲が無かった」と新曲リリースが途切れていた時に出会った曲がサザンの『夏をあきらめて』であった。
なぜ、女性歌手である研ナオコが男性である桑田佳祐が歌っていた『夏をあきらめて』をカバーすることになったのか。

研ナオコはスタッフと食事をしているときにサザンのアルバム『NUDE MAN』を聴く機会があり、「私の声で歌ったらヒットする」という予感がして、すぐに『夏をあきらめて』を歌いたい願い出たという。

研ナオコ 夏をあきらめて (1982)

癖が強すぎて他の歌手が自分のモノにするのは難しいと言われる中島みゆきの楽曲でヒットを飛ばした研ナオコ。
同じく癖の強い桑田佳祐の楽曲においてもその能力は見事に発揮されている。
ハスキーボイスでポツリポツリと呟くような歌唱によって、天気が悪く薄暗い湘南の情景が浮かび上がってくる。
研の中性的な声とルックスにより、男視点の歌詞も違和感なく伝わっている。
桑田の描いた楽曲の世界観を壊すことなく、自らの個性を上乗せして哀愁と切なさを極限まで高めている。
その表現力はもはや絶望的な明日を感じさせるほどの暗さである。

『夏をあきらめて』の歌唱に関して、研ナオコは意識的に『波 音 が響けば』と音符を切り、その間の部分で自分のシチュエーションに入ってもらえたらいいなと工夫したと語っている。
また、桑田佳祐の声もかすれているので、その世界観を壊さないように声のがさつきにこだわったとも明かしている。

本家サザンよりも研ナオコの『夏をあきらめて』の方が好きであるという人も少なくない。
サザンのファンにおいてもカバーの良作と評価する声は多い。
こうした評価は楽曲をとことん尊敬、尊重してその魅力を伝えることに徹した姿勢が聞く人に伝わっているからではなかろうか。
「歌は自己満足ではダメ。詞をどうやって伝えるか。10あったら自分の感情は1か2でいい。残りは聴くお客様が想像して世界を作ってもらえるようでないとプロとしては失格じゃないかな。」
via 研ナオコ
研ナオコ 夏をあきらめて

研ナオコ 夏をあきらめて

顔写真を載せただけのモノクロのジャケットなのに、これだけのインパクトを出せるのは凄い…。

1982年9月5日リリース。
編曲は『かもめはかもめ』と同じく若草恵。
第24回日本レコード大賞金賞(桑田佳祐には作曲賞も送られた。)、日本有線大賞優秀音楽賞、全日本有線放送大賞最優秀スター賞を受賞している。
さらに『第33回NHK紅白歌合戦』にも同曲で6回目の出場を果たした。

プラチナムベスト 研ナオコ シングル&カバー コレクション

2,651
研ナオコの定番人気を誇る最新ベストを高音質UHQCDで発売
これまでのベストと比較して魅力的なカバー曲も収録。
研ナオコの歌の魅力も改めて堪能できるセレクション。

1982年は記録的な冷夏だった。

この曲が発表された1982年の夏は記録的な冷夏であった。
梅雨明けが平年より大幅に遅れ関東地方、甲信地方及び東北地方では8月上旬までずれ込んだ。
また、東日本以西では7月の平均気温が平年より2℃前後低く、8月も引き続き低温傾向で夏型は長続きしなかった。
冷夏でいま一つ盛り上がらなかったこの年の夏に『夏をあきらめて』がマッチしたというのもヒットの要因であったのかもしれない。

『夏をあきらめて』の歌詞と舞台

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